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【名盤伝説】 ”England Dan Seals / Stones” どこか懐かしいAORアルバム。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。フォーク・デュオの片割れ、イングランド・ダン・シールズのソロ『ストーンズ』(1980)です。

ジョン・フォード・コリーとのデュオで活躍していたダン・シールズが、主にカントリーのジャンルで活動していたカイル・レーニングのプロデュースで制作したソロアルバムです。時代はAORなサウンド全盛、アダルトなロックテイストのアレンジにチャレンジする気持ちはよく分かります。歌い方や節回しなどは、カントリーそのものですが、バックのアレンジはそんな時代の音といえます。

当時、輸入盤屋でこのジャケットを見かけた時に「カントリーの人でしょ」と思ったものの、ショップの「AORファン必聴」の手書きの紹介文と、クレッジットのネイザン・イースト(Bs)、マイク・ベアード(Drs)、ポール・ジャクソン Jr.(G)、スティーブ・ルカサー(G)、リッチー・ジトー(G)、デビッド・フォスター(Key)らの名前を信じて購入。このアルバムもお家に帰ってガッツポーズした1枚です。

アルバムハイライトはこの曲。M3「Love Me Like The Last Time」 ミディアム調のロック・バラード。後半のルークのソロは痺れます。この曲が聴けて、ホント買ってよかったと思いました。

M5「How Do I Survive」 ポール・ブリス作で自身のバンド、ブリス・バンド『Neon Smiles』(1979)収録。マイケル・マクドナルドの奥様エイミー・ホーランドが、同名アルバム(1980)でカバーしています。ポール・ブリスが1997年にリリースしたソロ『The Edge of Coincidence』に収録されたバージョンが私は一番好きですが、このダン・シールズのテイクも好みです。

M6「Holdin’ Out For Love」 こうしたロックチューンも悪くないです。リッチー・ジトーのルークばりのソロが印象的。サビの女性コーラス陣との掛け合いに身体が自然とリズムをとり始めます。

M9「When It’s Over」 ストリングスアレンジが美しいスロー・バラード。ダン・シールズの優しい声質には、こうしたタイプの曲が一番似合うと感じます。

1982年にリリースした『Harbinger』でも、懲りずにAOR路線を推し進めます。名盤エアブレイの収録曲「It Will Be Alight」をカバーしていますが、正直、中途半端感は否めません。いずれもAtlantic制作。レコード会社の制作意図が馴染めなかったのかもしれませんね。

以降の作品で、無事にカントリー・フィールドに戻ります。彼のように根っからAORというよりも、AORテイストのアルバムを作りましたというミュージシャンは多いのかと感じます。どんなにお気に入りのミュージシャンでも、この作品はどうも…ってあります。逆に、え?この人が…というミュージシャンでも、これは格好良いというものは、逃さず押さえておきたいものです。


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