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【名盤伝説】 “Gino Vannelli ” 見た目と音が一致する熱唱ボーカリスト。

MASTER PIECE カナダ出身の暑苦しい系ヴォーカリストの第一人者、ジノ・ヴァネリの代表的なアルバム2枚を紹介します。

当時のジノは、毛髪もじゃもじゃ、胸毛わさわさ、ツバキと汗を周りに撒き散らしながら、そこまで歌い上げなくてもいいのにという位の熱唱スタイル。音楽もポップチューンからバラードまで、ここまで詰め込まなくてもいいのにと思えるほどの音の渦・・・これほどまでに見た目と出す音が一致しているのも珍しいです。プロのシンガーの中でも熱狂的に支持している人が多いと聞きます。それだけ圧倒的な歌唱力・表現力が魅力のシンガーです。

BROTHER TO BROTHER (1978)
M1 ミディアム・チューンながら迫力満点のロックチューン。バックで跳ねるベースラインが印象的です。

M2 こちらも跳ね系のリズムに乗せるジノと女性ボーカルの掛け合いが魅力。

M3 超人気の極上バラード。こんな曲が聴けるのだからAORファンが黙っていませんね。

M6 長尺7分にも及ぶプログレチックな組曲のようなタイトル曲。ステージでこのイントロが流れると客席から悲鳴が上がっていました。ジノの代表曲。カルロス・リオスの奏でるギターソロは名ソロですね。後半のドラムと各楽器との掛け合い部分は、まさに暑苦しさの極致。この世界観についていけない気持ちも分かります。

ちなみにこのM6原曲でドラムを叩いているマーク・クラニーはディープ・パープルでリッチーの後釜トミー・ボーリンのツアーに参加していたそうです。これだけ叩ける方なら、トミーの超絶技法にも対抗できるなと思いました。

M7 「ブラザー…」の暑苦しさからクールダウンさせてくれるようなバラード。私はこの曲、結構好きです。


NIGHTWALKER (1980)
M1 静かなのはイントロだけ。気づけばいつものジノの音でした。
M6 こちらも超人気な絶品バラード。ただ前作の「I Just Wanna Stop」とこの「Living Inside Myself」だけを聞いていると騙されます。


旧ブルーノートで初めて彼のスタージを見た時は、あの狭いステージに直立して上半身だけ激しく揺さぶりながら熱唱していた姿が目に焼き付いています。

そして2度目の時は、なんと幸運にも楽屋に行けたのですが、あまりの緊張で至近距離にいるにも関わらず話かけることも出来ず、もちろん写真も撮れませんでした。共演者やスタッフが談笑しているテーブルの隅で、ステージでの熱唱とは裏腹に、まるで周囲に遠慮しているかのように静かに座っている姿が印象的でした。

最近はあまり彼のニュースを聞きませんが、彼も今年で72歳(1952年生まれ)。あのボーカル・スタイルは無理ですよね。

2019年にアップされた動画では、物静かに歌い上げるジノの姿がありました。


例えば真夏に音楽を聴くとして、マイケル・フランクスが木陰で涼風に吹かれなが聴く清涼剤ならば、ジノの曲はエアコンが壊れた車で渋滞にハマっている時に似合うって感じでしょうか。どちらがお好みですか(笑)。



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