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「悪い人じゃないんだけどね」は悪い人だよ。

常々これはと思っていることがありまして。それは特定の誰かのネガティブな部分を話すときに使われるこのセリフ「悪い人じゃないんだけどね」だ。

聞くたびにおや? と思うが、いざその人のエピソードを聞いてみると本当にそれほど悪い人でもない。すごくすごく嫌な人に対して、その人のいないところで「これは悪口ではないのだよ」と棘のある話をやわらかくするときに使う、免罪符的な一言というわけでもないのだ。

ただね、といつも思う。「悪い人じゃないんだけどね」と言われる人は、けっこう悪い人だよ。

だって、暴力を振るったり、お金をだまし取ったりする人は周りにそうそういるものではない。そしてそれより間接的な、言葉で追い詰める人や不機嫌さを態度に出しすぎる人は、悪い人というより「迷惑な人」として、きちんと敬遠される。

だから実は、私たちの身近にいる悪い人は、「本当に悪い人」ではなく「悪い人じゃないんだけどね」と呼ばれる人たちなのだ。

ーー「そう思うんだけど、ここまでどう?」と私は友人の女の子に聞いてみた。

その人は「確かにそうだ、あおくんの言うとおりだ」と笑った。そして「なんか他の人もどう思っているか気になるから、今度かなり仲の良い友達たちと会うときに聞いてみる。『ねぇちょっとみんな聞いて。悪い人じゃないんだけどねって言われる人って結局悪い人だよね』って聞いてみる」と冗談を言った。

変な人たち

その人のすごいところはここからだった。

その人は何日か後に本当に、仲の良い友達たちに聞いたらしい。「ねぇちょっと皆聞いて!」をやったらしい。

「それでどうだった?」と私は聞いてみた。

「うん、みんなやっぱり『確かに』って笑ってたよ」

自分たちの身近にいる悪い人は、「本当に悪い人」じゃなくて「悪い人じゃないんだけどね」といわれる人たちだね。って言ってたよ。と彼女は言った。そして、でもさぁと言った。

「でもさぁ、本当に悪い人は身近にいないけど、『けっこう変な人』は身近に沢山いるよね。って話になったよ。『変な人』は実害が少ないから放置されるんだろうね」

「・・・・・・本当にそうだね」

おそらく色々な方面に向けられたその言葉を私もきちんと受け止めた。

変な人、僕は好きだけどなぁ。

投げかけた言葉は、思いも寄らない形に変わって、手元に戻ってくるのだなぁ。「悪い人」も「変な人」も、ほかにたくさんある「〇〇な人」たちも、みなに幸あれ、と私は思った。

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