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時空のはざまで真実を追求する少女 5

洋裁の道

 独立のめどがついた私は、離婚して家にいた姉と「婦人服洋裁研究所」を立ち上げ仕事を始めました。仕事はデパートの注文服の制作です。
 私は洋裁の文化式と伊東式を学んだので、両方の良いところを取り入れ、私にしかできないオリジナルの製図を作り出しました。
それによって、文化式の中に伊東式を取り入れた美しい流れるような線ができました。
他にもデパートの仕事をしている人はいたのですが、伊東式の製図ができるのは私だけでしたので仕事はたくさんさました。
 仕事は流行の最先端を行くデパートの注文服、お客様はお金持ちの奥様やお嬢様です。
高価で高級な布地を用い、とても洗練されたデザインの美しい洋服ばかりでした。そんな素敵な洋服を作り上げていくのですから、とてもやりがいのある毎日でした。
 デパートから洋服地とデザイン画を貰って来て、デザイン画を見ながら製図し、裁断し、仮縫いをしてデパートに届けます。デパートでお客様の仮縫いが終わると、それを取りに行き補正し本縫いにかかります。
そうして出来上がった洋裁を、またデパートに届けに行く・・・・・
そんなふうに毎日が忙しく、休みなしで夜遅くまで仕事をしていました。
 あるお嬢様の新婚旅行に着て行くスーツとコートを預かった時には、ほとんど徹夜ででした。
 それでも、新婚旅行に出かける当日の朝五時に出来上がり、すぐにタクシーを飛ばしてその方の家まで届けに行きました。
 どんなに忙しくっても、若かったせいか好きなことをしていたせいか、疲れを感じるようなことはありませんでした。
姉とは喧嘩もしましたが、姉は私を一生懸命助けてよく働いてくれましたので、本当に充実した毎日でした。

                         では またの日に


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