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このデザインが好き。セイバンの天使の羽。ランドセルに救われた日。


ツィッターで、ランドセルを4月も目前になって買おうと思ったら店頭にはもうないという話題があった。

知ってる人からしたら常識だ。
そう。
ランドセルは、新一年生が春を迎える頃には次年度のカタログが出ていて、年長さんの親が求めにくるのだ。

そんな、我が家は4月になってからランドセルを買った。

健康上の理由で4月半ばに家から遠い私立から近所の公立小へ転校したためだ。

公立小に行くことを決めた時、急いで買ったものがいくつかあった。

制服、体操着、学校指定のサイズの様々な袋やランチマット、防災頭巾入れなど。

下敷きや筆箱や傘など、そのまま使えるものもあった。

そして、問題は、ランドセルだ。
前の学校で使ったランドセルは学校指定のもので校章のエンボス加工があり、もう使えない。
店頭には新一年生のためのランドセルはないことはわかっていた。
けど、買うしかない。
それも転校が決まってから転校まで2日しかない中で…。

どんなランドセルがいいか我が子に聞いてみたら色以外特に好みはなし。色もオーソドックスそのもの。

よかった。何とかできるかも。

まだ体調がすぐれないからお店をハシゴすることは難しい。

ランドセルを買うにあたり私には願いがあった。

虚弱体質で同年代の子より小さくて細い我が子が背負って登校できること。

そして、私の頭に浮かんだのは昔、テレビで見たキャッチフレーズだ。
天使の羽。

天使の羽で検索し、うちから行ける店舗に電話をかけた。

「黒のランドセルがほしいんです。その場で買って持ち帰りたいんですけど、ありますか?」

きっと、店員さんも驚いたのではないだろうか。でも、返ってきたのは落ち着いた優しい声。

「店頭見本でしたらいくつかございます。予約不要です。どうぞお越しください。」

我が子に「ランドセル買いに行こう」と声をかけてタクシーでかけつけた。この時間にいかないと、このあと転校先の先生との面談がある。

ひょろっと、起きて、半分パジャマのような格好でタクシーに乗り込む我が子を見て胸が痛んだ。

せっかく受験して受かった学校に行けなくなったこと、体調がすぐれないなかで新しい学校に転校すること。いくら子どもは適応力があると言っても相当過酷だろうなと思う。

前の学校のランドセルは、本革製だった。
それを何とも思っていなかったけど、入院を経て痩せた我が子の肩からずれ落ちてきたし、ランドセルそのものが身体の小さい子には重くて負担だと初めて知った。

天使の羽を求めて。
タクシーを降りた。
セイバンの店舗だ。

電話でお伝えした者です、と伝えると、ランドセルがすぐに出てきた。
飾りのないシンプルなものと、縁にカラーがついたものが2種。
我が子はシンプルなものが良いといい、試しに背負った。

私は、そのランドセル姿を見て確信した。
ああ、よかった。
この子はやっと、小学生になれるんだと。
涙が出てきた。

まず、肩からずれ落ちないように巧妙な形に設計されている。それに、ランドセルがピタっと背中にくっついているような?

店員さんが教えてくれた。
背中にくっつく面が広く、重心が高く、軽く感じるんです。
ランドセルそのものも、合皮で本革より200gほど軽いです。

我が子はランドセルを背負ったままでニコニコして私に話しかけてくる。これにしよう、と。

来店してわずか10分でお会計を済ませてまたタクシーで家に向かった。そして、お昼をたくさん食べた我が子。

よかった。
ほんとに、よかった。

小学校に行きたくない。
具合が悪くなるのが怖い。
そう言って泣いた夜のことを私はずっと忘れないと思うけど、ランドセルを背負ってニコニコ顔のこの日のことも忘れないと思う。
これからも、不安と期待の間を何度も行ったり来たりするんだろう。
でも、後押ししてくれる人との出会いも増えていく。

セイバンのランドセル。

「病気で転校することになって。ランドセルが重いのが不安だったんです。このランドセルに出会えて安心しました。」

涙を浮かべた私が店員さんにもらすと、店員さんは言ってくれた。

よかったです。ランドセルだけを100年以上作っている会社なんです。

セイバン、ありがとう。
天使の羽、ありがとう。

このランドセルとともにこれからがんばります。

セイバンの中にもしも、仕事が楽しくなくて、私何してるんだろ?と思っている人が万が一にもいるのなら私から伝えたい…

素晴らしいランドセルを長年に渡り作ってくださりありがとうございます。あなたのその頑張りに救われている人がここにいます!

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