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雑感。許せない人との折合い。とある母子関係の話を聞いて思うこと。

高尾美穂からのリアルボイスというラジオ番組が好きだ。

リスナーは女性が多く、年齢も幅広い。
特に40、50代の女性の悩みが多く寄せられる印象がある。
子離れ、親の介護、夫婦関係、更年期障害…
人生の先輩の話は貴重でありがたい。

この回の女性の悩みは、口ごたえを許さず制圧的だった母親との関係について。

お誕生日にも「親に感謝する日」と言い放つこの母親はおめでとうを言ってくれない。長年、胸に痛みが走る誕生日を過ごしてきたが、今年LINEで「おめでとう」とメッセージが来た。念願のおめでとうだが、これまで抱えた苦しみに押され既読スルーがやっと。

高尾先生はこの方に最大限に寄り添い、こうアドバイスする。

LINEを返さないことが気になって苦しいのであれば、スタンプでも絵文字一個でも返しておくのもよいんじゃない?

高尾先生は、この方のお母さん自身が、大切に扱われてこなかった過去があるのではと指摘して、長年おめでとうが言えない状態からやっとこさ立ち上がったのでは、とおっしゃっていた。ならばこの悩みを寄せた女性がいつ母親にLINEで「ありがとう」と返そうが、あるいはここから長年返せなかろうが、高尾先生はきっと寄り添ってくれるんだろうなと思う。

その上で、一歩踏み出すことを勧めていた。

この悩みの女性はきっと、LINEを返せない自分を変えたくて投稿したのだろうな、と思う。

ずっと、誕生日はお母さんにおめでとうを言ってもらいたかった。けど言ってもらえなかった。51歳になりやっと、母親からおめでとうが聞けた。けど…。

母との関係、子との関係、夫婦の関係。長年の違和感から脱皮したい女性が多くレターを投じているラジオ番組だと思う。

投稿者の女性は「これまでおめでとうと言えなくてごめん」とも言ってもらいたい気持ちもあるかもしれない。簡単に「ありがとう」と言えないのは、過去を消化できていない、というのがありそうだ。

こうしたことは、誰にでも起こりうる気がする。

例えば、なぜ兄は大学院まで行ったのに私は短大にもいかせてもらえなかったの?とか。

例えば、なぜ弟は東京に出たのに私は地元に残らさせられたの?とか。

例えば、友達が持っているもの、おもちゃや文具やおしゃれな服を買ってもらえなくて悲しかったとか。

母子関係や親子関係に限らず、長年自分の中にひんやりと冷たかった場所を抱えると言う経験は誰にもあるかもしれない。

私は投稿した女性に対して思う。

これまで傷ついた自分をよしよししてあげてほしい。

お母さんを恨む気持ちがもしあって許せないことに罪悪感があるなら、そんな自分は悪くない。

まだありがとうと言えない自分を許してほしい。何も悪くない。

すぐにLINEを返せなくても「まだ私は傷ついているんだね」と慰めてほしい。

高尾先生のエールでLINEを返せたら、ずっとこのやり取りをしたかったんだ!と過去の自分も満たして欲しい。

🍁

私からの意見がこの方に届くことはないけど。

長年の心の痛みに向き合うための力を遠くの誰かに送りたくなった秋のひるどき。

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