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大きくなったら何になりたい?と聞かれなくなって。或いは聞かれてドキっとした話。

小学校の時、卒業間近にメッセージ帳みたいなのが流行った。
名前や好きな食べ物、将来の夢やメッセージを書いて交換する。
そしてもらったものをバインダーで綴じる。

主に友達に書いてもらったが私は司書の先生にも書いてもらった。
小学校を卒業したのは30年近くも前のことだ。
しかもそのメッセージ帳は何処かへいってしまった。
けれどそこに書いてあったことが、いまだに忘れられない。

将来の夢:もうそろそろ終わりが見えてきちゃった

当時の私はあまり意味がわかっていなかったけれど。
司書の先生は「司書」という夢をもう叶えてその道を歩いているから"上がり"かな?くらいに思っていた。でもずっとそれから私の心に引っかかっていた。

将来の夢には終わりがあるかないか?

考える機会は意外にも度々訪れた。

例えば。
乗馬を習っていた時、先生の周りを生徒が馬に乗って円状にくるくる走る。
先生はくるくる回る生徒たちに話しかける。
一人小さな女の子がいた。
「将来何になりたいの?」
その子が何と答えたかは忘れてしまった。
「今からなら何にだってなれるもんね」「いいねえ」と生徒の皆さんは口々に言った。
他の生徒は私同年代かご年配で、私は「この質問ってあの女の子だけにされるんだよな」と悟った。

もう一つの例。
息子の保育園ではお誕生日会の主役が前に出てインタビューを受けるらしい。
ここ数年、お誕生日会の後はインタビューブームが我が家にもやってくる。
「好きな食べ物は何ですか」
「好きなおもちゃは何ですか」
「大きくなったら何になりたいですか」

息子は質問して!とせがむので一通り質問する。
息子の将来の夢は「電車」だったり「ブルドーザー」だったり、人じゃない時期もあったがここ2年ほどは「バスの運転手さん」だ。
このインタビューごっこは、息子からの質問もセットでついてくる。

「大きくなったら何になりたいですか?」
夫も私も最初、答えに窮していた。
「もうおっきくなったからなあ」なんて、キラキラ瞳を輝かせている息子には言えない。

私は言った。
「大きくなったら●●(息子の名前)くんのお母さんになりたいです!!」
夫も言った。
「大きくなったら●●(息子の名前)くんのお父さんになりたいです!!」

これは大きくなったら、というよりも実は「生まれ変わったら何になりたいか?」という質問の答えだ。
だって、今よりもっと大きくなった時、私は息子の親であることには変わりはないけれど、きっと”ただ息子の幸せを願うことしかできない”存在になってしまっている。
きみのお母さんでいたいという時のお母さんは、”今”なんだ。大きくなってからじゃないんだよ。私は心の中で叫んだ。

だとすると私は何になりたいのだろう?

これは考えるに値する質問だ。
やりたいことが溢れていつも何かを学んでいる。
そんな大人になりたい。
けれどそうなれなかったとしても不幸であるとは限らない。

次に同じ質問を聞かれるときまでの宿題にしよう。息子が両親が大きくなってしまったことが解ったら、質問してくれないのかもしれないけど。


皆さんの将来の夢は何ですか?

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