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弟と姉ちゃんの思い出をめぐる考察。益田ミリさんの本をお守りに。


弟の誕生日がお正月なのでそれにちなんで弟についての文章を。

20代の頃、私の悩みに寄り添ってくれた一番の友達は益田ミリさんの本だった。
当時夢中に読んだ。
「ほしいものはなんですか?」「どうしても嫌いな人」「すーちゃん」「すーちゃんの恋」「結婚しなくていいですか」「週末、森で」などなど。

今日に至るまでも素敵な本を産み出し続けている益田ミリさん。
久しぶりにまた読みたいと思うきっかけがあった。

これまた大好きなラジオ、「北欧、暮らしの道具店」のチャポンと行こう!で店長さんが益田ミリさん原作の「僕の姉ちゃん」にハマっているという話が出ていたことがある。Amazon Primeにもあったので早速一気見。映像もまた、よき。

こちらの記事に書かせていただいたのだが私には弟がいる。
同じ記事に書いたが私は父に似て地味で、弟はどちらかというと母に似ている。
お買い物やおしゃべりが好き。
私は芋っぽく友達は少なめ、弟はおしゃれに気を使い体育会系で友達も多かった。

18歳、大学進学で実家を離れた私はそのまま都内で就職し結婚し、地元に就職した弟とは別々に住む人生のほうが長くなってしまった。
「僕の姉ちゃん」を見て、こんなふうに弟と語り合うのもいいなと思った。

弟が都内に用事で来たついでにうちに寄ることはあるにはあった。
コロナ以前でかなり古い記憶になってしまいつつあるが、実家でも会っている。
けれど私の息子の「おじさん」としての顔をしていたり。
奥さんを連れて「夫」の顔をしていたり。
逆も然りで私も嫁ぎ先の「嫁」や「妻」の顔をしている。
なぜか「姉」と「弟」という関係性ではない気がした。

無性に弟と日々の他愛もないことを「姉」「弟」の顔をして話してみたくなった。

何を話そう?
きっと弟も長い時を経てネタは変わっている。
猫を飼っているようだし、副業をしているようだし、持ち家もある。
そのどれも私にはない。

何よりかわいい弟分だったのにアラフォーで、「おじさん」なのだ。
おじさんとおばさんの会話。
弟は健康オタクだから、健康的な食事や筋トレの話になるかも知れない。

弟と姉の関係を、今の自分たちバージョンにアップデートするのは少し怖い。
両親が間違いなく年老いていることや、弟と私に今後降り掛かることが得体が知れないからな気がする。
それか「弟がこんなに歳を取ったら私も歳を取るわけだ」というオチが怖いのか。
困ったことに私の中では弟は後を追ってくる幼児のままなのだ。
私とふざけ合って母親の足元に隠れたりするようなちびっこの。

弟の登場しない人生が増幅したため思い出が圧縮されて美化され、結晶化されたのかも知れない。
人間の脳みそは人生最後の「走馬灯」のフィルムをまだ生きているうちに勝手にこしらえてしまうのだろうか。

人生の流れに自分が着いて行けていないようで焦る時。
きっと益田ミリさんの本が効く。
またそっと寄り添ってくれるような気がする。
だから弟と私が他愛もない話をする前に読みたいと思う。


あなたの心に寄り添うお守り本はありますか?



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