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【エッセイ】逃げるばかりが、能じゃない。

逃げたほうがいいときもあるけど、逃げないほうがいいときもある。
今はちょっと昔。
嘘つきました、だいぶ昔です。

上京した冬の夜道、いつものように一人で歩いていると、
男性が着いてくるのです。
小学校の壁が続く道で、人通りはありません。
私が走ると、男も走り、私が速度を落とすと、男も速度を落とします。
思い切って振り返ると、ニヤリ。
私は、怖くなって灯りのついている家に逃げ込みました。

常連だった喫茶店のマスターに迎えに来てもらい、そのときは
難を逃れました。

春休みに入り、郷里に帰省。
それでも怖くて怖くて、2年生になっても東京に戻ることができません。
パソコンもメールもない時代でした。
ゴールデンウイーク前、友人から手紙が来ました。
「何やってんのよ。履修届出さないと、留年になっちゃうよ。しかたないから、私と同じにして出しといたけど、文句言わないでよ」

大学は卒業したいけど、東京にはもどりたくない。
思い悩み、恐怖にふるえる日々。
ふと、思ったんです。
女の子を怖がらせるなんて、相手がわるい。
夜道を一人で歩いた私もわるいけど、どっちが正義かといえば、私!

正義は負けちゃいけない!!
いや、負けはしない!!!
むくむくと湧きおこる闘争心。
反比例して委縮する恐怖心。

いざというときは闘う!
その思いで、連休明け、東京に戻りました。

以来、怖い思いをすることはなくなりました。
そして、男の人は一切、寄ってこなくなりましたっ!
あれっ!?

それはさておき、正しいと思うことで、
闘争心を使いこなすのは有意義なことだと知りました。


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