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高校野球と人権【読書感想】#理不尽な世界の人間達(その3)〈日大アメフト部と人権〉

「旧時代の名将像」〈栄京学園の城山監督〉

『タッチ』作者であるあだち充氏の作品で『H2』という漫画がある。
30年前の作品なので当時の名将像が良くわかる。
この作品に名将中の名将という監督が登場する。
栄京学園の城山監督である。

あだち充『H2』7巻31Pより抜粋

城山監督についての解説はこうだ。

春1回、夏2回の甲子園全国制覇の経歴を持つ。高校野球界では名将と呼ばれているが、勝つためならば手段を選ばない冷酷な監督。選手を勝つための駒として扱い、その為なら危険なプレーの指示も辞さない。本人曰く「監督や指導者は実績があってこそ評価される」という持論ゆえの方針。

勝利至上主義=名将という図式である。
『H2』の作中では対戦相手の主力選手に対する故意死球や悪質クロスプレーを指示して、不出来だった選手は容赦無く懲罰交代させられる。
日大アメフト部「反則タックル」の図式が30年前に見事に描かれていた。

城山監督も日大アメフト部と同様、絶対王政のコントロールを実施している。
これは20世紀の強豪野球部監督が選手を統制するために実施していた王道の手法であり、それには以下3点の特徴がある。

①暴力や暴言による「吊し上げ」
②懲罰交代や選手を干すことによる「見せしめ」
③保身のための「お気に入り」

<次回は栄京学園を例にしてこの3点を解説します。>


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