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詩集 廃屋の月 野木京子

災厄が来るのを知りながら
曇天の野原で談笑した
水の匂いが這う遊歩道を歩き
すれ違うひとは夕陽を浴びていた

ノートを開いて 夢を記すことを日課にしています
昨夜見た夢は
詩を書くことの意味はなんですか と
問われて答える立場に追い立てられるもので
詩を書くことは生きることです 

答えようと文を考え
それでは直球で
生きることです どころか
薄気味悪くて これ以上生きていくことができない
だから 大きく 道を曲げて廃屋に入っていこうと
考え直した
詩を書く意味とは
知らない廃庭か 廃屋に入っていくことです

「廃屋の月」の一節です 未だ生きる意味も 詩を書く意味も分からないまま ○○歳になってしまった私としてはこの一節が心にしみました 詩集全体としては宇宙というか 時空の中に存在する人間の不可思議なあり様感覚を゙儚く美しく表現していると思われました



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