真夜

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小説|『棄てて拾って』目次

目次です。 あれば便利だなぁと感じたので、作ってみました。 『棄てて拾って』① 『棄てて拾って』② 『棄てて拾って』③ 『棄てて拾って』④ 『棄てて拾って』⑤ 『棄てて拾って』⑥ 『棄てて拾って』⑦ 『棄てて拾って』⑧(完結)

    • 【ショートショート】『写真に写りたい男』

      ほら、何処にでも居るものだろう? 例えば仲の良い数人で写真を撮っていて、いつの間にか写り込んでいる。 例えば集合写真を撮っていて、いつの間にか中央で寝そべっている。 例えば行事の度に、何人もの人とツーショットを撮っている。 そんな人。 私、遠山優奈が在籍していた高校のクラスにも、当然のように居た。 目立ちたがり屋で、空気読めよ、とか思うことが多かった気がする。 そいつはクラスのみんなから、若干煙たがれながらも、全く折れずに愚直に写真に写りに行った。 「優奈ー、手が止まってるぞ

      • 【ショートショート】『バスってさ、いつも遅延してるよね』

        トントントントン。 『次は〜第3小学校前ェ〜』 ピロロ〜ン。 『次、停まります』 ________まだ第3小前かよ……! 心の中で悪態をつき、しきりに腕時計を確認している彼の名前は、山田圭佑。 しがないリーマンである。 彼が会社に入社してから、かれこれ3年が経った。 オフィスまで実家からバスで行けるということが決め手となり、いくつかの候補の中からこの会社を選んだのだが……。 「すみませェ〜ん、両替していいですかぁ?」 (んんんんっ!!イマドキICカードだろーがァァァァァ!!)

        • 【ショートショート】『ノスキャン』

          俺の名前は孤山太狼。 高校2年生だ。 自分で言うのもナンだが、俺は容姿端麗・頭脳明晰、クラスのヤツらからは尊敬の眼差しを向けられている存在だ。 昼休みの今だって席に座り、イヤホンをつけながら読書している俺を、皆遠巻きに眺めている。 教室の中心に有る俺の席の周り八席分は、いつも空いていることが多い。 俗に"俺フィールド"と呼ばれている。 「フッ……恥ずかしがり屋どもめ……」 まあ、未だに他の誰からもその名を聞かないのだが。 それどころか、コレがホントの村"八分"だとか言われてい

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        小説|『棄てて拾って』目次

          【ショートショート】『素敵だっ!(現在形)』

          素敵だっ! 私が一番、すきな言葉。 素敵だっ! ステキだっ! すてきだっ! あぁなんて、いい言葉。 朝焼けの空が素敵だっ! 揺れる草花が素敵だっ! 貴方の笑顔が素敵だっ! あぁなんて、素敵なことば。 真冬の蒼く澄んだ空。 真夏の青く茂った木。 春日のそよ風薫る一時が。 儚げに月下に開く秋桜が。 あぁなんて、素敵…………だったのに。 事故で失明したあの冬の日から、私の世界は暗闇に閉ざされた。 素敵だった! ステキだった! すてきだった! あぁなんて、かなしい

          【ショートショート】『素敵だっ!(現在形)』

          【ショートショート】『幸せの音』

          「今月の内閣の支持率は遂に20%を切り……」 「や〜ねぇ……。来月の総選挙には政党交代かなぁ。」 「お母さんなにみてるのーーー!!??」 ドシーン! リビングのソファでテレビを観ているお母さんに、思いっきり飛びついた! 「やっ!ちょっと危ないでしょ!」 「あ!お母さん、おせんべい食べてる……」 お母さんからいい匂いがする! 「………欲しいの?」 「うん!」 「はぁ……。はい、あげる。」 ガリッ。 「お母さん!これおいしい!」 「そう?よかったねー。」 お母さんが、最近買って

          【ショートショート】『幸せの音』

          小説|『棄てて拾って』⑧(完結)

          <<前話 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あれから、約十年の月日が経過した。 僕は、大学受験に失敗し、一浪したものの大学には結局落ちた。 というより、就職を選んだ。 大学に行っても、やりたいことがなかったからだ。 就職したといっても高卒なので、給料はそんな高くはなく、毎日節約の二文字が頭から離れない生活を送っていた。 だが、勤めていた会社が他の会社と合併するにあたって、僕は会社を辞めた。 それが、二年前の話。 それからは何をするでもなく、ハロワ

          小説|『棄てて拾って』⑧(完結)

          小説|『棄てて拾って』⑦

          <<前話                 次話>> 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ずっと不思議に思ってたんだ。 ここは何処なのか、オマエは誰なのか。度々僕の頭に流れてくる生前の僕の記憶は何なのか。 「おや、気づいていたんだネ。」 気づいたのは、ついさっきだよ。ケンちゃんを此処に直接招き入れたのは、やり過ぎだったね。 お陰で、僕がずっと生前の思い出を追体験させられていることに気づけた。 そして、現状の異常性にもな。 「異常?キミはそもそも、死後

          小説|『棄てて拾って』⑦

          小説|『棄てて拾って』⑥

          <<前話                 次話>> 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ___________ソレは、失望だった。 高校に入ってからひたすらテストで低い点数をとり、課題を出さず過ごしてきた。その結果。最早誰もが僕に期待していない。たっくんでさえも。いや、それさえ……。 それさえ、僕の幻想に過ぎないのかもしれない。いつかケンちゃんが話していた話を思い出す。 「思わず縋ってしまいたくなるような幻想で心の声を覆い隠して、自分を棄てて生きて

          小説|『棄てて拾って』⑥

          小説|『棄てて拾って』⑤

          <<前話                 次話>> 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その知らせを、俺はたっくんからの電話で聞いた。 「……………………………えっ?」 瞬間、スマホが手から滑り落ちた。 ゴトンッ! 思ったより大きい音がして、ハッとした。 「健太ー?どうしたー!」 一階のリビングから、おふくろが心配して呼び掛けてくるのに「なんでもないー!」と答えようとして、 「あっ……。」 代わりに涙が出た。 膝から崩れ落ち、現実感の喪失した視界が

          小説|『棄てて拾って』⑤

          小説|『棄てて拾って』④

          <<前話                 次話>> 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー オレ達はずっと一緒だった。 中学の受験期も、同じ志望校(某高偏差値都立高校)を目指して切磋琢磨し、そして二人とも合格した。 高校ではやっと同じクラスになれて、部活も同じサッカー部と、ますます一緒にいることが増えた。 オレの中では、高校生活は充実していたし、毎日がとても楽しかった。勉強は勿論大変だけど、なんだかんだでどうにかやれてるし、部活も頑張っていたら段々評価

          小説|『棄てて拾って』④

          小説|『棄てて拾って』③

          <<前話次話>> 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「…っ……。信じねーからな、っこんな、こと。オ、オレはぜってぇ、信じねぇから……。ああっぁぁっぁ!!」 誰かの泣く声が聞こえた。とても聞き慣れた、どこか安心する声。 そうだ、この声は、 「たっくん、だろ?」 また聞き慣れた声がした。 段々思い出してきたぞ。確か僕は、死んであの世に行ったんだ。そこで正体不明クッキー人形に出会って、そいつと話してて…? 「そうそう、大体合ってる。正体不明クッキー人形

          小説|『棄てて拾って』③

          小説|『棄てて拾って』②

          <<前話次話>> 《目次》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ようこそ、死後の世界へ。」 目を開けると、そこには何もなかった。ただひたすらに白い世界。雪が生み出す銀世界とは似ても似つかない、不気味なほど何も感じない景色。 「オイオイ、何もなかった、はヒドイんじゃあないかキミィ。」 何もなかった。 「見えてるよね?ココ!ココ!!見えてるんでしょー!?無視しないでヨぉ。」 僕は断じて何も見てはいないし、聞いてもいない。だから、僕に向かって手を振っているよう

          小説|『棄てて拾って』②

          小説|『棄てて拾って』①

          初投稿です。 ①〜⑧で完結します。 ぜひ最後まで読んでみて下さい!狂喜乱舞します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー _____202X年10月4日水曜日。 僕は、自殺した。 どうやって? 家にあるエタノールを飲んだのさ。口、喉とエタノールが通ったところは凄くヒリヒリして痛かった。それを、とても覚えている。 どうして? 特に、理由はない。 どうして? だから、そんなちゃんとした理由なんてないって。……強いて言うなら、『積み重ね』だよ。色んなことが少しずつ、

          小説|『棄てて拾って』①