私を不安にさせる「桜」と「花火」

私は子供の頃から、桜と花火が苦手だ。無性に避けたいトップ2だ。

何か苦い思い出があるとかではなく、小1のころにはすでに。桜と花火を目にすると胸がギューっと締め付けられる。

誰からも共感されたことないし、同じような人に出会ったこともない。誰かに言ったものなら「変わり者ぶってる」と思われかねないから、公言を控えるようにしている。

まず、桜。
葉がなくて全部ピンクというのに不自然さを感じるからか、満開の桜を見るとなんか不安になる。。桜並木とか特に。

満開から一週間ほど(?)経って、ハラハラと散っていく桜も見ていてなんかいたたまれない。地面に落ちて踏みつけられた花びらたち。雨に濡れてつるつる滑るのも嫌だ。

幼稚園~大学までの経験ゆえ、卒業シーズンと相まって年々桜に対する切なさは増していく。

よって、桜味も好きじゃない。桜スイーツも見たくない。桜の香りもいらない。食べ物もコスメも桜であふれかえるが、早く桜のシーズンが終わることを無心で待つのみ。

葉桜になると、新緑の季節。生命を感じてポジティブな気分になる、というかほっと一安心。

満開の桜に至っては未だ克服できずにいる…

次に花火。まず、音が嫌だ。うるさい。そして、暗くて怖い。

子供時代の花火大会といえば、スイカと蚊取り線香の匂い。親戚での集まり、大人たちは宴会。

花火が一発打ち上がって次の一発を待つ微妙な間になんとも言えないわびしさを感じる。自分とはなんぞや?なんのために生きてるんだろう?とか普段考えもしないような余計なことが頭を過る。そして、どうしようもない虚無感と喪失感に苛まれる。

花火大会が終わると、大人の宴会はお開きになって、人が散っていく淋しさ。この急な変化に気持ちが追い付かなかった。一種の鬱状態に陥る。こういうのを“祭りのあと症候群”っていうらしい。

子供の頃のこういう記憶を呼び起こすから、未だに花火を観ると憂鬱な気分になる。できる限り、花火大会の賑わいから遠ざかりたい。

「夏」と「夏休み」がちょっと嫌いなのは、花火大会があるからというせいもある。

西洋では王宮での祝祭として花火を打ち上げていたらしい。現代でも年末年始とかお祝い事とか、セレブレーション!!って感じで、明るい雰囲気なんだと思う。死者の魂を鎮める日本の花火とは対称的だ。こういうところにも、東西の感性の違いが現れている。

ディズニーランドの花火もずっと敬遠していたが、案外イケるということに10年程前に気づいた。西洋式の祝祭感のある花火だから、切なくならない。音がうるさいのは仕方ないとしても、音楽が流れていて陽気な感じだ。余計な考え事を浮かばせるような間もない。

終わった後は、ちょっと淋しいけど、それ以上のわびしさはない。花火を克服できたなってちょっと嬉しくなった。

桜と花火。儚くてわびしい。日本的なわびさびに「美」だけ見出だせればいいんだが、私は度が過ぎて過剰反応してしまい、それゆえ、観ていて不安に陥るんだと思う。


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