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『なぜ自主トレーニングをやらない? 原因は我々セラピストに問題がある?』


こんにちは。てつです!

このノートでは専門学校時代の同級生3人と日々感じたことや勉強したことを発信していくアカウントです。

四年目の経験からお話しすることもあるので何かご意見ありましたらコメント残していただけると嬉しいです。


はじめに


私は現在、外来リハビリテーションに携わることが多く、整形疾患・脳卒中の患者様を主に担当しています。

リハビリテーション時間は40分、頻度は週1回、2週1回、月1回と頻度は様々。

そんな中、私はこんな疑問を抱いています。

40分の理学療法実施、自主トレーニングを提案して終える。
だが次の週には機能が戻っている。
患者さんに話を聞いたら自主トレしていない、、、


なぜ自主トレーニングを実施しない人が多いのか?

この疑問に対して、要因が患者側の問題を挙げると、、、

例えば「やるっていうのを忘れていました、、やり方を忘れました、、多忙でできませんでした」などを良く聞きますよね。

そこには、トレーニングの必要性が分からないやっても効果を感じていない難易度が高いなどの理由が経験上多いです。


私もそうでしたが、そもそも患者自身が変化を認めていない状況で自主トレーニングを提示しているセラピスト側の問題もあると思いませんか?



私自身の実体験


ここで私の実体験を少し話ますが、2024年2月にACLの再建術を受けました。

患者としてリハビリテーションを受け、現在も週1回行っています。

もちろんセラピストなのでトレーニングの重要性や必要性に関しては充分に理解していますが、
上記で述べた、やっても効果を感じていない、難易度が高いという考えは非常に共感できました。

今まではやらない理由を患者側の要因で考えていましたが、リアル患者としての経験から、
セラピスト側の問題もあると思ったのがきっかけです。

そこで今回は、リハビリテーション実施内で、運動動作の効果説明とその動作の成功体験・運動学習を与えたあとに自主トレーニングを提示することで

「この内容をすれば良くなる(目標動作に対して)から毎日少しでもいいからやろう」

という動機付け(目標指向的活動が開始、維持される過程)に着目し臨床で実践することにしました。



臨床での実体験


・症例紹介
左外側半月板損傷の70代女性

発症から1か月、私が介入したのは初めてだが3回程外来リハビリテーションを受けている。

身体機能は膝屈曲135°伸展0°

内側広筋の萎縮と大殿筋や中殿筋の出力低下

片脚立位 左3秒 右12秒、荷重感覚の低下などが挙げられる。


仕事が忙しいのもあるけど、面倒くさくて、、、」と運動習慣や
自主トレーニング実施無し。

主訴は「歩行荷重時の膝内側の痛み(時折+軽度)、特に階段降りるのが痛くてできない(2足1段)」

HOPEは「痛み無く階段を降りたい」

歩行・階段降段どちらも共通した客観的問題点として
「左立脚中期での体幹右側屈・knee in」を挙げました。

細かい身体評価をしたのち、自主トレーニングとして提示する運動内容を実施しました。


内容として性格を考慮し簡単で分かりやすい、
弱化している筋力増強訓練と骨盤動作を意識したCKC-exの2つのみ指導しました。

実際のリハビリ場面では、様々な環境変化を加えながら行ったが、最終動作確認では、上記で述べた問題点は改善されており、階段降段時の痛みは無く1足1段で可能・左片脚立位が8秒できるようになり、支持脚としての知覚も良く成功体験を与えることができました。

ここで初めて自主トレーニングの運動内容を提示・動機付けを行いました。

⇒階段昇降ができるようになる!!!

すると次週リハビリに来た際に、

この間教えてくださった事を時間がある時にやったら、
今も痛み無く歩けるし、家で洗濯物持ったまま階段降りても痛くないです!

と言ってくださり、外部環境の変化にも対応できており、自主トレーニングを提示する際の動機付けの重要性について再確認することができました。



おわりに


動機付けは大脳基底核が関与し、特に線条体前部は、前頭葉から行動やその関連情報を受け取り、中脳(ドーパミン)からは報酬の予測的誤差信号を受け取り、やる気の脳内ネットワーク(図1)の要としての役割を担っています。

図1 やる気の脳内ネットワーク


本稿では、自主トレーニングによる運動内容の動機付けがなされたことで、機能が維持できなかった症例に対して、リハビリテーション実施内での成功体験(報酬)を与え、「良くなるから自主トレーニングをやろう(報酬の価値)」という動機付けに繋がったと考えています。


自主トレーニングを実施しない理由には、色々な要因があり正解はないと思いますが、セラピスト側の要因もあることを忘れてはいけないと思います。


理学療法における自主トレーニングの重要性を考える:鈴木 俊明
やる気と脳-価値と動機づけの脳機能イメージング:松元 健二


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