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高校化学演習(全15章 全問解答付き) さくら化学教室編

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さくら化学教室による高校化学演習の問題と解答・解説全15単元分を収録したマガジン。理系上級レベルの問題集・受験対策として好適です。
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2023年4月の記事一覧

第1章 【原子構造・周期表】

●高等学校で習う原子構造の基本事項は実はあまり多くなく、原子番号、中性子数、質量数の定義と書式、電子配置と構成原理から周期表の成り立ちが理解できれば、元素各々の性質を体系的に論じる準備ができます。 ●同位体についてはそれぞれの存在比と原子量の関係が昔から入試に頻出の領域であり、期待値の計算に帰着します。最近は分子の同位体に関する問題も散見されます。これらは化学というよりは確率・統計の問題なので、確率論を応用できる程度の数学が必要となります。 ●放射性同位元素はその量が指数関数

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第2章【物質量・化学量論】

●化学では物質量はモルを単位としてはかります。今日では当たり前のようですが、原子説の提唱以来、歴史的な経緯が複雑にからみあって原子・分子の実在については20世紀初頭までその正否をめぐる議論が続いていました。重要な法則や人名はこの際、復習をかねて覚えましょう。科学史は正しい道筋に沿って学習を行うための素養であり、文化的教養でもあります。 ●アボガドロ数の測定は単分子膜の方法が定番であり、入試にも頻出ですが、それ以外にもいろいろなものが考案されていますので、物理の考え方も援用して

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第3章【結合・分子構造】

●結合や分子構造を考えるにあたっては、まず、電子の数を数えることが大切です。とくに価電子と呼ばれる外殻の電子は結合を形成する重要な役割を担っており、結合にほとんどあずからない内殻の電子とは一線を画して扱います。 ●分子構造を予測する経験則はいくつかありますが、いずれも厳密なものではなく、とくに対称性の問題を先験的に予測する方法はないと言ってよいでしょう。これはいわゆる対称性の破れの問題を含んでおり、最終的な答えを求めるには実験か分子構造の数値計算によるしかありません。高等学校

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第4章【結晶・分子間力】

●高校化学で求められる結晶の知識はそれほど難しいものではなく、単に幾何学の問題であることもあり、基本的なパターンさえ押さえておけば問題ないでしょう。配位数、充填率、結晶学的密度、イオンの限界半径比は頻出で、入試では型が出尽くした感さえありますが、型を学ぶことが学習の第一歩です。 ●分子間力は奥が深い分野で、それ自体が理論的に重要であるばかりでなく、状態変化の起源でもあり、近年研究が盛んな超分子の構築にも欠かせないものです。いわゆる親水・疎水性効果もこのカテゴリーに入れてよいで

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第5章【気体の性質】

●気体の性質として最も基本的で重要な概念は状態方程式です。いわゆるボイルの法則とシャルルの法則の組み合わせとして理解することも教育的ではありますが、分子運動論の観点から理解しておくと後々便利です。 ●実在気体の状態方程式はかなり複雑な形をしており、いろいろなタイプのものが考案されています。とりわけ、ファンデルワールスの状態方程式の物理的意味は頻出の項目であり、高校生もよく研究する価値があります。 ●蒸気圧はなかなか考えにくい概念ですが、要は気液平衡時に蒸気が器壁に及ぼす圧力の

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第6章【溶液の性質】

●溶液の性質として最も重要な項目は、不揮発性物質の希薄溶液が示す束一的性質といわれる現象で、凝固点降下、沸点上昇、浸透圧が代表的です。蒸気圧降下もこれに含める場合がありますが、これは沸点上昇と同じ機構で起こります。束一的性質は同温同圧では物質量のみに依存し、物質の種類には依らないので、これらはすべて熱力学から一般的に導出できます。高校化学の範囲では法則そのものを経験側として理解しておけば十分でしょう。 ●入試ではかなり凝った設定が見られ、面倒な計算問題も出題されますが、基本的

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第7章【熱化学】

●熱化学方程式は各化学式をその物質1モルがもつエネルギー含量とみなして代数的に扱えば原理的にはほとんどの問題が解けるようになっています。しかしながら、実際の問題ではエネルギーの収支を図式的に考える方が直感的にわかりやすく、計算も簡単になることが多いため、まずはエネルギーのダイアグラムを作ることを強く推奨します。 ●熱化学では物質の状態を指定しないとそのエネルギー含量が定まらないので、生成熱や反応熱、燃焼熱などはどの状態について定義されているのかよく確認する必要があります。常温

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