マガジンのカバー画像

高校化学演習(全15章 全問解答付き) さくら化学教室編

17
さくら化学教室による高校化学演習の問題と解答・解説全15単元分を収録したマガジン。理系上級レベルの問題集・受験対策として好適です。
単体記事による購読より大幅に割引きとなっております。
¥980
運営しているクリエイター

記事一覧

高校化学演習 さくら化学教室編

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

第1章 【原子構造・周期表】

●高等学校で習う原子構造の基本事項は実はあまり多くなく、原子番号、中性子数、質量数の定義と書式、電子配置と構成原理から周期表の成り立ちが理解できれば、元素各々の性質を体系的に論じる準備ができます。 ●同位体についてはそれぞれの存在比と原子量の関係が昔から入試に頻出の領域であり、期待値の計算に帰着します。最近は分子の同位体に関する問題も散見されます。これらは化学というよりは確率・統計の問題なので、確率論を応用できる程度の数学が必要となります。 ●放射性同位元素はその量が指数関数

有料
100

第2章【物質量・化学量論】

●化学では物質量はモルを単位としてはかります。今日では当たり前のようですが、原子説の提唱以来、歴史的な経緯が複雑にからみあって原子・分子の実在については20世紀初頭までその正否をめぐる議論が続いていました。重要な法則や人名はこの際、復習をかねて覚えましょう。科学史は正しい道筋に沿って学習を行うための素養であり、文化的教養でもあります。 ●アボガドロ数の測定は単分子膜の方法が定番であり、入試にも頻出ですが、それ以外にもいろいろなものが考案されていますので、物理の考え方も援用して

有料
100

第3章【結合・分子構造】

●結合や分子構造を考えるにあたっては、まず、電子の数を数えることが大切です。とくに価電子と呼ばれる外殻の電子は結合を形成する重要な役割を担っており、結合にほとんどあずからない内殻の電子とは一線を画して扱います。 ●分子構造を予測する経験則はいくつかありますが、いずれも厳密なものではなく、とくに対称性の問題を先験的に予測する方法はないと言ってよいでしょう。これはいわゆる対称性の破れの問題を含んでおり、最終的な答えを求めるには実験か分子構造の数値計算によるしかありません。高等学校

有料
100

第4章【結晶・分子間力】

●高校化学で求められる結晶の知識はそれほど難しいものではなく、単に幾何学の問題であることもあり、基本的なパターンさえ押さえておけば問題ないでしょう。配位数、充填率、結晶学的密度、イオンの限界半径比は頻出で、入試では型が出尽くした感さえありますが、型を学ぶことが学習の第一歩です。 ●分子間力は奥が深い分野で、それ自体が理論的に重要であるばかりでなく、状態変化の起源でもあり、近年研究が盛んな超分子の構築にも欠かせないものです。いわゆる親水・疎水性効果もこのカテゴリーに入れてよいで

有料
100

第5章【気体の性質】

●気体の性質として最も基本的で重要な概念は状態方程式です。いわゆるボイルの法則とシャルルの法則の組み合わせとして理解することも教育的ではありますが、分子運動論の観点から理解しておくと後々便利です。 ●実在気体の状態方程式はかなり複雑な形をしており、いろいろなタイプのものが考案されています。とりわけ、ファンデルワールスの状態方程式の物理的意味は頻出の項目であり、高校生もよく研究する価値があります。 ●蒸気圧はなかなか考えにくい概念ですが、要は気液平衡時に蒸気が器壁に及ぼす圧力の

有料
100

第6章【溶液の性質】

●溶液の性質として最も重要な項目は、不揮発性物質の希薄溶液が示す束一的性質といわれる現象で、凝固点降下、沸点上昇、浸透圧が代表的です。蒸気圧降下もこれに含める場合がありますが、これは沸点上昇と同じ機構で起こります。束一的性質は同温同圧では物質量のみに依存し、物質の種類には依らないので、これらはすべて熱力学から一般的に導出できます。高校化学の範囲では法則そのものを経験側として理解しておけば十分でしょう。 ●入試ではかなり凝った設定が見られ、面倒な計算問題も出題されますが、基本的

有料
100

第7章【熱化学】

●熱化学方程式は各化学式をその物質1モルがもつエネルギー含量とみなして代数的に扱えば原理的にはほとんどの問題が解けるようになっています。しかしながら、実際の問題ではエネルギーの収支を図式的に考える方が直感的にわかりやすく、計算も簡単になることが多いため、まずはエネルギーのダイアグラムを作ることを強く推奨します。 ●熱化学では物質の状態を指定しないとそのエネルギー含量が定まらないので、生成熱や反応熱、燃焼熱などはどの状態について定義されているのかよく確認する必要があります。常温

有料
100

第8章【平衡】

●平衡は化学の理論上最も重要な概念の一つで、熱化学や反応速度論とも密接に関係しています。平衡定数は素反応については反応速度のつりあいから導出できますが、もっと一般的には熱力学から導かれます。 ●平衡定数は濃度や分圧など、異なる形式で表すことができます。このため、高校化学では平衡定数は無次元ではなく単位をもつ量として考えます。この際、固体や液体の濃度は一定と考えられるので平衡の式から除外します。 ●平衡反応では反応熱の絶対値が小さいことが多く、正反応・逆反応の進行度が拮抗するた

有料
100

第9章【反応速度】

●反応速度は奥が深い分野で、熱化学が静的なエネルギー関係を扱うのに対し、速度論では動的、つまり時間のファクターが導入されています。熱力学からは速度論は出てこないので両者は独立した体系ではありますが、互いに矛盾なく理論構築ができる点が面白いところです。 ●反応速度論では微分・積分を使った方がよい場面が多く、物理で微分・積分が必須であるのと同様です。簡単な微分方程式も運用できた方が有利です。このあたりは指導要領の枠にとらわれずに学習していただきたいと思います。 ●温度依存性は速度

有料
100

第10章【酸と塩基】

●酸と塩基は化学反応の理論としてきわめて重要なものです。高校化学で習う酸・塩基の定義は古典的なものですが、平衡論に基づいて無機・有機を問わず適用できます。 ●pHの計算はしばしば化学の専門家にとっても難しいもので、各問題に応じた近似法を自在に適用できるかどうかが解法の鍵になります。この種の計算にはある程度の慣れが必要で、さまざまな技巧も知られています。平衡計算は現在では数値計算ソフト等を使って解くこともできますので、厳密解に興味がある方にはパソコンでの計算をおすすめします。

有料
100

第11章【酸化・還元と電気化学】

●酸化と還元は反応に与る化学種のあいだで電子の増減を伴う化学反応の総称で、電気化学と密接な関連があります。化学では便宜上、酸化数を定義して電子の授受を化学量論的に記述します。なぜ酸化数を用いるとうまくいくのか最初のうちは戸惑うものですが、酸化数の割り振りは化学種の電子数を数えることと同じことですので、正しく電子が数えられれば結果として化学反応式が矛盾なく導かれるのです。 ●電池と電気分解はお互いに逆の過程として理解できます。金属の腐食や生体の呼吸といった現象も酸化過程と言えま

有料
100

第12章【無機化学】

●高校化学における無機化学はおおむね周期表における族ごとの各論になっており、ある程度は系統的に理解することができますが、個別に覚えなければならない事項も多く、一度は教科書を精読することをお勧めします。 ●無機反応には工業的に重要なものがあり、ソルベー法やハーバー・ボッシュ法、硫酸・硝酸の製法、製鉄などは基幹産業として不可欠な技術です。最近ではケイ酸塩工業、半導体や合金の知識も問われるようになっており、エネルギーや環境の観点から化学工業を考える機会も多くなっています。 ●無機定

有料
100

第13章【有機化学】

●高等学校で習う有機化学は内容量も覚えるべき事柄も多いように感じられる一方で、低分子に限って言えば出題のパターンはほぼ決まっており、あまり有名でない化合物をことさらに記憶する必要は全くありません。むしろ、最近では高分子化学や生化学の比重が大きくなりつつあり、有機化学の知識を関連分野へ適切に応用できることが大切です。 ●有機化学では異性体の問題が必ずと言ってよいほど問われるので、構造異性体や立体異性体の基礎はしっかりと理解しておく必要があります。入試では化学というよりもパズル

有料
100