【詩】一小節の声
今、なんて言ったのかな?
音の連なりが
風にのって
僕の鼓膜をかすめたんだ
銀の鈴を一振りしたような
青空から降る一粒の雨のような
小鳥が一声さえずったような
僕の鼓膜は
君が風にのせた
音の形を
どうも
とらえそこねたらしい
なのに
鼓膜の奥は
こぼれてきた音の雫が
無数の波紋を広げるように
君の声の響きに
満たされた
今、なんて言ったのかな?
もう一度
風にのせてほしい
星のひと雫が
シロフォンにこぼれるように
君の一小節の声を
響かせていたい
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