【詩】連鎖と伝播/憎しみと悲しみの連鎖/愛と幸せの伝播 Cir「憎しみと悲しみの連鎖」に寄せて
「連鎖と伝播」
憎しみと悲しみは
激しく巻く渦に似て
境界を侵し
何もかも呑み込んでゆく
愛と幸せは
星々の光と瞬きに似て
おのずとこぼれ出て
闇の中を伝わりゆく
「憎しみと悲しみの連鎖」
憎しみと悲しみは
激しく巻く渦に似て
境界を侵し
何もかも呑み込んでゆく
何も感じないでいることはできず
何も感じまいと閉じ込めていても
どちらにしても
わたし自身が壊れゆくのが見えるだけ
世界が崩れゆくのが見えるだけ
壊れゆくわたしを
渦の中で抱きとめてほしい
崩れゆく世界を
渦の中に包み込んでほしい
知りたくもなかった感情に
もう一度言葉を与えるため
知りたくもなかった世界の姿を
もう二度と見誤らないため
「愛と幸せの伝播」
愛と幸せは
星々の光と瞬きに似て
おのずとこぼれ出て
闇の中を伝わりゆく
光は闇の中でこそ
その存在を告げ
瞬きが奏でる調べは
沈黙の闇を震わせる
その存在を感じたいのに
その存在に触れたいのに
それ自体を我がものとしたいのに
地上の明かりは
闇を昼のように覆い尽くし
月の輝きは
瞬きさえも凍らせる
その存在を確かめたければ
足元の闇は濃くあれ
自身の影をも塗り尽くすように
頭上の闇は深くあれ
月の輝きを吸い尽くすように
そして
わたしたちは既に闇を抱えている
わたしは目を閉じる
濃く沈んだ闇の中に
その光を浮かび上がらせるため
あなたは耳を塞ぐ
深く黙した闇の中で
その調べを受け取るため
Cir さまの詩「憎しみと悲しみの連鎖」の感想を形にしました。
Cir さまの詩はnoteを始めた初期に出会い、爽やかで透明感のある恋の詩や家族への暖かな眼差しを感じる詩、そして美しいタペストリーを見るような、教養に裏打ちされた壮大なストーリー性のある詩、など、いつもその作品に魅了されてきました。
その詩にインスパイアされてわたしの詩のイメージが生まれることも多く、また、詩の創作の姿勢も含めて尊敬してやまない、勝手にわたしの詩の師匠と呼ばせていただいています。
そんなCir さまですが、今回のいつもとは異なる剥き出しの憎悪を描いた詩に、わたし自身の中でいつもとは異なるところが揺さぶられ、受け取ったイメージを形にしてみました。
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