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【詩】抱 く

親なら
できるものなら
代わってあげたいと
思うよね

そんな
言葉に撫でられて

その言葉が突き刺さる

親ならそう思うでしょ
親ならそうしなくては
親なら当然のこと

胸に抱く子は
ぐじゅぐじゅの膿みで
真っ赤になった顔を

わたしの
髪に
顔に
胸に
こすりつける

気管支も弱く

座ったまま
抱いて寝てください
との忠告も
いつの間にか横になり

疳も強い子には
平穏な眠りも望めない

夜は
疲れが重なり

抱く手も
こころもとなくなる

風呂の中で
布団の中で

何度
あなたを
とりこぼしそうになったか

とりこぼしそうになり
重みを感じ

とりこぼしそうになり
熱を感じ

親ならそう思うのだろうか

そんな感慨は
とりこぼしていた

わたしの手は
あなたを抱くためにあるのだ

わたしが
あなたに
代わってしまったら

誰が
あなたを抱くというのか

わたしは
抱く

泣いている
あなたを抱く

わたしは
抱く

大声で泣く
わたしを抱く

今は
ただ
あなたを
わたしを
重みと熱を

とりこぼさないように

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