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自作の詩や詩にかかわる文章を掲載します。 自身が気付いたこと、他の人の表現からインスピレーションを得たもの、など、つぶやきを詩のような形にしました。
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記事一覧

【詩】雨上がりの月

まっさらな夜空に まっさらな月が 貼り付いて 一筋の迷いもなく 真っ直ぐに 届く輝き あまり…

しおん
1日前
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【詩】月夜の手紙

わたしのポストは 湖の中 配達員は 向こう岸から 手紙を葦舟に乗せて 送り出す 葦舟は 月の…

しおん
3日前
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【詩】みだれ髪

昼月の 褥に降りる 霧の帳 みだれし髪に 濡れかかりたり

しおん
10日前
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【詩】言葉のかくれんぼ

ほんのすこし むかしのこと 見つけて欲しいから 隠れてみた 誂えたような窪みに すっぽり収…

しおん
2週間前
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【詩】脇道-そして、ブランコと断頭台-

脇道が好きだ 通りから脇に延びる 細い路地 連なる軒が 手を差し伸べるように 影をつくり …

しおん
2週間前
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【詩】媚薬

その一滴は どこを滲ませたのだろう いつ 零れ落ちてきたのだろう その一滴は わたしの現実…

しおん
2週間前
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【詩】満月の夜のスカボローフェア + 「note創作大賞」参加作品ハードボイルドの世界へのご招待

満月の夜に スカボローフェアを聴きながら 胸の中を静かに満たしていくものに 心は揺らぐ 輝く月は 風に流される雲の隙間から 視線を投げかけ わたしを誘う パセリ、セージ、ローズマリー、タイム 呪文を唱えながら 緑の露に 足指を染め パセリ、セージ、ローズマリー、タイム 呪文の帷を降ろし 月の影が生み出すあわいの世に 聖なる結界を結ぶ あわいの世は ただ、在ることが そのままの意味になり パセリ、セージ、ローズマリー、タイム 緑の息吹の呪文に結ばれた 結界の

【詩】月の眼差し

そのむかし 空に貼り付いていた月を 少し爪をたてて剥がした 今、思うと それはコンタクトレ…

しおん
3週間前
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【詩】月の雫

月から零れ落ちる 沈黙の雫を 貴女にあげよう 貴女は その雫を 言葉の帳に 挟み込み わたし…

しおん
1か月前
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【詩】言葉を囓(かじ)る

わたしの言葉たちは 調子に乗りすぎたようで 貴方の周りを ぴょんぴょん飛び跳ねながら 貴方…

しおん
1か月前
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【詩】想いの姿

わたしの鼓動は キーを打つ わたしの想いが 鼓動で打たれる まだ、 わたし自身が気付いてい…

しおん
1か月前
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【感想詩】眼差し ビクトル・エリセ監督「瞳をとじて」に寄せて

わたしはアナ、と 瞳をとじてつぶやき 心の奥深くにしまい込んだ もう会うことがかなわない …

しおん
1か月前
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【詩】緑の息吹

遥かに見える山なみ 刷毛で掃いた水彩画のように 笑い声で滲んでいた色彩たちが 柔らかな緑に…

しおん
1か月前
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【詩】縄跡の戒め

“固結びの紐”と わたしを 喩えた貴方は 結ばれたままの わたしを縛る 腕、首、胸、臀部、鼠蹊部 ゆるやかな作法で 回りながら 次々と取り出された麻縄は 身体を這うように まとわり 色褪せた赤い縄は わたしの秘部を開き 貴方の美学に結ばれる 固く結ばれた紐は 縄とともに 貴方の手で解かれ 古い紐跡に 新しい縄跡が 上塗りされると 倒錯の歓びに誘う 扉を開けた わたしの心に 新しい 痛みと戒めを 刻む