読んだ本 『神様のカルテ』夏川草介

「無」を象徴するような暗闇の中だからこそ、より美しく輝く星々。輝きながら、廻っていく星々。

命を救う医者は、確かに生命に介入することができる。医者は、患者の生き死にを運命づける。だから、患者にとって医者は「神様」のような存在に感じられることが、しばしばある。

しかし、おそらく生命は、何者にも介入し得ない部分をもっており、そのことが栗原医師に「無力」を感じさせる。

しかし、そのような周囲の「無力感」は、医療とは関係なく廻っていく、生命の美しい一面の表れでもあるのではないか…と考えてみたりした。

闇があるからこそ光があるという、夜空に浮かぶ星々のあり方と同じように。


『草枕』の冒頭 (本当にまだ数ページだが)を読んでみた。確かに『神様のカルテ』との重なりが感じられた。

カスヤナガトさんによるカバーイラスト+夏川草介さんによる解説つきの、『神様のカルテ』バージョンがあるらしい。

このカバーイラストの感じ、ちょっと『四畳半神話体系』とかの中村佑介さんのイラストと雰囲気が似てるように思う。『神様のカルテ』の表紙も、『草枕』の表紙も、ポップかつしっとりした感じが好きである。『四畳半神話体系』の方は、ポップだがどこか奇妙で、不思議の国をぎゅっと凝縮したような感じがする。

教科書に出てきた、『坊っちゃん』の一部と『こころ』の一部、『現代日本の開化』の一部以外では夏目漱石を読んだことがないので、『草枕』は私にとって小さな挑戦でもある。

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