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無理やりオックスフォード大学の学生になった話 その18最終回:これまでとこれから 

学問にも、高等教育にも縁がなく日本で育った私がイギリスに渡り、オックスフォード大学の学生になるまでと、なってからの逸話自伝エッセイ。経済的、精神的な苦労もなく甘やかされてワガママに生きてきた日本女性の半世記。


ここまでが今の時点まで私が経験してきたことである。
冒頭に毎回書いてきたように大した苦労もなくわがままに生きてきた。辛いことは多々あったがトラウマになるような酷い目にも遭わずにこれた。

わがままに生きるために父親から一度は勘当されたが、私が自分で見つけた生き方で幸せに暮らしているのでのちに和解した。

そうやって私はいつでも欲しいものを探して手に入れてきた。でもいつも方向性がはっきりしていたわけではない。時にはやりたいことよりも、やりたくないこと、嫌いな事の方ががはっきりしていて、それをやりたくないからそれをやらないための努力に力を注いだりした。日本脱出したのも,元々は日本に居たくなかったから。それも両親には愛されていないと思っていたから。

でも彼らは愛情の表現の仕方を知らなかっただけで、私に対して安全性や経済的な援助は惜しまなかった。放っておいてくれて、自由にやらせてこくれたことにも感謝している。それも私のことを信用してくれていたからだということも今ならわかる。子供の頃は後継の弟の方が大事にされていると思っていたけれど、弟には私のような自由は約束されていなかった。あとで知ったことだが、弟は私に自由があることを羨ましく思っていたそうだ。

両親だけでない。最初の夫ロバートだって結局はすれ違いになって別れることになったけど、彼が教えてくれた堅実的イギリス人気質、イギリス的ユーモアは私の元々の性格に全くシンクロして私はここで生きていけると確信させてくれた。

でも彼と別れた時、私は成長し、彼と一緒にいるべき時が終わって、その時期を卒業したようなものだったのだ。一緒にいる時にはいい時も悪い時もあったけど、 今となっては私を自由にしてやろう、というロバートの計らいでもあったのかもしれないとも思うことがある。

他人を頼ってきたつもりはないが、私のわがままを通すためにたくさんの人々が助けてくれたのは間違いない。

私を助けてくれた人たちへの恩は忘れないが、その方達への恩返しに菓子折りを持ってお礼に伺うことはしない。それはうちの両親のやり方だ。

その人たちが私にしてくれたことをその方本人でなく自分の子供や、他の人たちにもしてしてあげればと思う。彼らからの見返りは期待しない、だってそれが私の恩人への恩返しだから。誰かに助けてもらって申し訳ないと思う代わりに、助けて良かったと思われるように幸せに暮らしていきたい。自分だって誰かを助けてそれが役立ってると思うとそれだけで嬉しいから。

これを書いてみたのは自分で自分のことを知りたかったからである。しばらくは非公開で書いていたが、公開しないつもりで書いていると誤字脱字にも気をつけないし、忘備録の延長のようで、いつまでも自分が知りたい自分にたどりつけないでいたので公開することにした。名前などを仮名にしたが他は全て私が実際に体験してきたことや考えてきたこと。

ここまで書いて自分のことを知れたかというと、客観的に他人事のように俯瞰することはできた。

忘れかけていた、出来事や感情を書き留めておくことで、それらが私にとって大切な経験だったとういうこと、ここまで今の私を培ってきた出来事を残しアルバムを開くようにその時の様子を思いここすことができる。
過去を洗いざらしてちょっとスッキリした。

今まで前進のみで未来にしか興味のなかった私が自分史と世界の歴史という過去を検証しながら自分の将来を考えていくという今までと違う方法で新しい生き方を探している。

私は28年前の4月のいまごろ、28歳になる直前に、イギリスにやってきた。それまで生きてきた日本の環境を全てを振り払って新しい世界に挑んでいくという恐怖からその飛行機の中で12時間ずーっと泣いていた。300mlくらいの涙を搾り出したんじゃないかと思う。ヒースローについた時、私の心はスコールの後の晴れ間の景色のように、キラキラしていた。

これからの28年(前後)をどう生きるか。どれだけワガママに生きていけるか楽しみにしている。

君は自由だ。選びたまえ。つまり創りたまえ。

ジャン=ポール・サルトル


あとがき:
この連載はスキ集めで書いたものではない。スキやフォロワーがもっと欲しかったら、知人や他のSNSからのリンクで知り合いからの義理スキ集めをすることもできたであろう。でもこれは赤裸々に書きすぎで実際に私を知る人には読んでもらいたくないとも思っている。恥ずかしいからではなく私のミステリアスな印象をのこしておきたいからでもある。

それでも見知らぬ方々がスキを押してくださったりフォローをしてくださったりすると、本当に嬉しく励みになりました。改めて、ありがとうございます。

ご感想をいただけたら、さらに参考になると思いますのでコメント大歓迎です。

ここでひとまずこの連載は終わります。


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