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地域リハビリとエリアの再生:ひまわり畑を通じたリノベーションプロジェクト

 こんにちは。私は作業療法士で、2011年に免許を取得してから、現在は訪問看護ステーションで勤務しつつ、個人事業主としても活動しています。私は常に好奇心を持ち、行動することを大切にしており、新たな挑戦を楽しむことを心掛けています。

 今回の記事では、作業療法士13年目の私が、過去に自らリハビリ旅行会社を立ち上げた経験を基に、新たな試みに挑戦した様子を綴っています。当時、「どこに行きたいですか?」と問いかけても、利用者の皆様からなかなか具体的な回答が得られないことが多かったのを思い出します。

 月日が流れ、再び外出をサポートしたくなった私は、今度は目的地を自ら創り出そうというアプローチを取りました。そこで目をつけたのが、「遊休不動産」という、価値を十分に発揮していない土地や不動産です。日本各地で荒れた土地や雑木林をリノベーションし、新たな価値を創出する試みがあることを知り、私は心躍らせました。

 今回の秋ひまわりプロジェクトにおいては、ひとつの小さな雑木林を丁寧に整備し、その過程を訪問の度にご利用者様にお伝えしました。ひまわり畑が形をなす頃、ご利用者様がこの場所を直接訪れ、その美しさを自らの目で確かめていただき、担当の療法士や看護師と会話を楽しむ、そんな外出の機会を創出したいと考えました。こちらの記事では、そのような新たな挑戦の一部始終を綴らせていただいております。


1.リノベーションとまちづくりとは

①美大で学んだコミュニティアート

 私の興味が遊休不動産のリノベーションに向かったのは、美大での経験が大きなきっかけです。31歳の時、美大に3年次編入で入学しました。アートライティング学科でアート作品や映画、旅行などの批評と論評を学びました。その中で、コミュニティアートという分野に強く引かれました。

 コミュニティアートは、人や街のコミュニティそのものをアート作品と捉えます。そして、少子高齢化によって、コミュニティが壊れてきているなか、リノベーションで解決しようしている取り組みがあることを知りました。それは、「リノベーションとまちづくり」という企画で、遊休不動産(建物、道路、公園など)として十分な価値を提供できていない土地を、補助金を使わずにリノベーションし、街の潜在価値を引き出し、街を活性化する試みです。

 全国各地でそのような動きがあり、私も福井県出身という背景から、地元でそのアイディアを卒論として具現化しようと試みました。しかし、作業療法と地域活性化の組み合わせは容易ではなく、計画は中断してしまいました。卒業論文の方はなんとか合格を果たしましたが、私はその探求を続け、一つの事例に出会いました。

②事例:地域リハとリノベーションまちづくり

 大阪府大東市は公民の協働により、地域の活性化と社会的課題の解決を目指しています。その中心的役割を果たしているのは、市が主導して設立したまちづくり株式会社「coomin」です。この会社は公的施設のリノベーションを行いつつ、数多くの地域活性化プロジェクトを実施し、新たな経済サイクルを築き上げています。特筆すべきは、地域リハビリに関連した事業も手がけていることです。

 「coomin」は、介護予防に特化した専門的な知識を提供するコンサルティング事業、大学との連携による健康や長寿をテーマにした商品の開発といったLABO事業を展開しています。さらに、2019年からは事業は一層の拡大を見せ、全国で初めて機関型包括支援センターの運営を委託されるまでに至りました。

 「coomin」の魅力は、まちづくり事業と地域リハビリ関連の事業を進めることにより、シナジー効果を生む点にあります。シナジーは、異なる要素が結合して、単独の効果を超える大きな成果を生むことを指します。大東市のリノベーションまちづくりと地域リハビリの結びつきは、まさにこのシナジー効果を体現しています。

※詳細はこちらの記事にまとめていますので、チェックしてみてください

 この事例を知って、大東市のような大規模な企画は難しいかもしれませんが、自分の手の届く範囲で何か始めてみたくなりました。
 私が所属する訪問看護ステーションの店舗の隣には、10台分の駐車場があります。駐車場裏は、2018年の大阪北部地震でフェンスが倒れ、自生してきた木や草で、雑木林となり、遊休不動産となっていました。これを何かのプロジェクトに生かせないかと考えました。

日曜日は防犯のため社用車を1台停ているのみ。駐車場奥は荒地となっている。

2.秋ひまわりプロジェクト

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