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リハビリテーション課会議の再創造: スタッフ間の尊重による新たな展開

こんにちは。私は2011年に作業療法士の免許を取得し、現在は訪問看護ステーションで常勤職員として勤務する傍ら、個人事業主としても活動しています。私は「人は皆クリエイティブである」という信念を持ち、日々の疑問からアイデアを生み出し、それを実践に移すことの大切さを感じています。

今回の記事では、リハビリテーション課の会議のデザインに挑戦した経験をお伝えします。

私の勤務する訪問看護ステーションは2016年に開設され、現在は大阪府と兵庫県に7店舗を展開しています。2018年に2店舗目が開設されたことを契機に、リハビリ会議がスタートしました。当初はトップダウン型のスタイルでしたが、私はよりスタッフの意見を反映する形への変革を試みました。このトップダウン型の会議にボトムアップの要素を加えることで、スタッフの信頼度向上と行動意欲を高める会議を目指しました。

この変更がどのように実現されたか、会議ルールの設定、議題の選定、ディスカッションの進行方法について記述しています。これらの変化がスタッフや管理者にどのような影響を与えたかについても詳しく書いています。この記事が皆さんにとって、新たな試みへの一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。


1.初期のリハビリ会議:参加意識の低さ

2016年の開設当初はスタッフも少なく、コミュニケーションは取りやすい環境でした。私は2017年に入職し、会議はほとんど行われず、スタッフ同士で、事務所に戻った際に会話をしたり、その場で伝達事項を伝えたりしていました。

しかし、2018年に2店舗目が開設されたことをきっかけに、スタッフが増加しました。その結果、しっかりとした会議の必要性が高まり、月に1回のリハビリ会議が始まりました。

**2018年頃のリハビリテーション課の会議の様子**

リハビリ会議の初期段階では、管理職会議で決定された事項をリハビリ主任が報告し、スタッフが質問するというトップダウン型の形式が採用されていました。質問は常に同じスタッフに限られ、ディスカッションはほとんど行われない状況でした。議事録にはリハビリ主任の報告と質問への答えが記録されるだけでした。

スタッフの会議への参加意識はあまり高くありませんでした。通常の勤務は9時から17時半までで、残務がある場合には18時まで勤務することになっています。月に1回の会議は17時半から始まり、これも残務としての対応が必要でした。しかし、会議に全員が参加することは少なく、報告を担当するリハビリ主任も時には17時半に間に合わず、他のスタッフは彼が到着するまで待機している間に「質問はせずに早く終わらせて帰ろう」と話していました。また、遅れて到着したリハビリ主任も「遅れてごめん、早く終わらせて帰りましょう」と発言していました。

たまに主任の上司である管理者が参加し、ネガティブな事項への指導が行われることもありました。カルテの記載方法やクレームへの対応、風紀に関する指導などです。

このような状況の中で、私は会議の必要性について疑問を抱いていました。決定事項の伝達が会議の主な目的であるならば、文章での送信だけで十分なのではないかと考えていたのです。実際に会議を行う必要があるのか、そしてもし行うのであれば、どうすればそれを有意義な時間に変えることができるのかについて、深く悩んでいました。

そこで、私はこの会議のデザインを改善するためにチャレンジしようと決心し、その想いを社長、管理者、リハビリ主任に伝えました。彼らは「チャレンジしてみたらどうか」という反応を示し、業務時間内でのこの取り組みを許可してくれました。

2.会議の新しいデザインへの挑戦

(1)リハビリ会議の課題分析

リハビリ会議の課題を、観察やインタビューを通じて再検討しました。

課題1:管理職の視点からの課題
会社の規模拡大と訪問範囲の増加により直行直帰が増加し、コロナ感染症対策の必要性も生じていました。これにより、管理職とスタッフ間のコミュニケーションが不足している状況となっていました。スタッフは優れたサービスを提供しているものの、管理者にはそれが十分伝わらず、会議ではネガティブな指導が目立っていました。

課題2:リハビリ主任の視点からの課題
会議は月に1回、17時半から6時までの30分間と時間が限られています。リハビリ主任はポジティブな内容も共有したいが、管理職会議の決定事項の伝達が必要です。彼は中間管理職として伝えるべきことがある一方で、参加スタッフに対して申し訳なく感じ、時間内に終わらせる意識が強かったことが明らかになりました。さらに、売上に関する話題も提起したいが、なかなか機会が得られないという課題がありました。

課題3:一般スタッフの視点からの課題
一般スタッフはネガティブなコメントを受けることが多く、質問すると会議が長引くため、多くの場合は黙って聞いている状態でした。会社の規模拡大とコロナ対策の影響でスタッフ間のコミュニケーションが減少しており、より効果的なコミュニケーションを図るための策を求めていました。

(2)参考にした会議形式

この会議をデザインするにあたり、私はいくつかのマネジメントに関する本や会議の種類について調べました。その中で、一番参考になったのは「Teal組織」という本です。この本を基に、Teal組織で行われている会議の方法を取り入れることにしました。

ここで、簡単にTeal組織について説明させていただきます。Teal組織は、フレデリック・ラルーによって提唱された組織運営の概念です。この考え方では、従来の階層的な管理方式を超え、自己管理、全体の目的への貢献、進化する組織といった原則に重点を置いています。個々の従業員が自身の内なる指針に従いながら、組織全体の目的の達成に貢献することを目指します。これにより、従業員の自律性と創造性が促進され、組織全体の進化と成長を図ることができるとされています。

このTeal組織の考え方を会議のデザインに取り入れることで、スタッフ一人ひとりの自律性を重視し、より活発で創造的な議論を行うことを目指しました。この新しいアプローチにより、会議が単なる情報伝達の場から、意見交換と創造の場へと変化していくことを期待しています。

組織の進化の歴史を説明した図(Teal組織より)

(3)リハビリ会議が目指す方向性

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