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今日の一福(2024/04/12)

 新発売の日焼け止めをチェックする。
 安定のニベア。これをクレ・ド・ポーでございますわよと、自分にクドめに暗示しておく。その勢いで使い倒す。所詮は人間風情。ただの認識の生きものよ。

 帽子をふたつ、見比べる。
 まあいつもの深めの麦わらになるんでしょうねと。そこを悩む。あえてさ迷う。もったいつける。装飾のリボンの色や大きさなど、ひと晩寝ればすっかりどうでもよさそうなところを気を揉んでみる。何度もしつこくこね回してみる。
 この時間の無駄よし。おたのしみで仕方がない。

 サンダルもこの際どうよ。黒い冬靴などもはや不快。目の端でも入れたくない。
 ビーサンはさすがに早いか。底のすり減ったそれとヨガパンツで勤務先までのこのこ歩いて行ったら、お金ないんかと上司に心配されたのがつい先日。
 ここは自重だ。
 あの真顔はもう見たくない。
 へたなあわれみは受けたくないと、高めのヒールやらワンピやらで女の見栄を切りたいところだが、結果はビーサン。ヨガパンツ更新。
 これが意地でもこだわりでも何でもないから、ひと息ニヤニヤ。店員の変な目など気にしたら負け。オススメされていたウェッジソールを、ごく丁重にお断りする。

 あとはバッグか。今シーズンこそ、容量最優先はやめたいところ。
 詰め込みが過ぎて探す労力を惜しみたくなってきたあたり、加齢を感じる。
 冷酷なリアル。
 まさに刃物。
 ピタリと首筋にあたるそれには息も凍る。そりゃあ足腰もガタつくわけだ。まともに立ってやいられやしない。
 ええいまだまだと起き上がる気力体力があるうちが花だが、花はしおれる。そのうち枯れる。
 そんなくらいならと、いっそ開き直ってスケルトンのキャリーにでもしてくれようか。リュックやらボディバッグやら機能重視もほどほどにして、もう少しばかり、人生あそんでやりたいところ。
 そんなわけでと、こちらは保留。そろそろ肩がこってきた。

 そんなこんなで。
 春夏に向けての衣替えはうれしいもの。きもち華やぐ。労力も時間も無駄も惜しくない。
 一日、また一日と、輝きを増す陽射しに肌も粟立つ。
 がっつり着込んだままの古着を一枚、また一枚と脱ぎ出したくなる。
 この自然のいざないには手を取りたくなる。爪先立って、空に向かって飛び立ちたくなる。その先の心配は今はよそうか。気に入りの帽子とサンダル、それに真新しいバッグが片手にあれば、もう十分。
 と言いたいところだが。
 日焼け止めをたっぷり塗りたくるのを、万が一にもお忘れなく!

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