見守りたい
0日から数えて22回目の誕生日となるエマには見守り隊がいる。
2021年3月28日現在在籍している見守りたい1号は私、老いぼれジィジiだと確信しているが、次女である2号も負けてはいない。
一日に数十回『かわゆい』を少ない時間内で連発している。
見守りたいは、眠ってじっとしている時もウンチを出している時も、勿論長女が授乳を与えながら抱いて貰っている姿も全て『かわゆい』から、見守りたいなのである。
世に言うところの見守り隊は広義の意味としては、地域の安全を守ることを目的としている様に思うが、今こうして見守りたいと行動していると、やはり狭義の子供を守ってあげたいと感じる心にこそ、意味があると感じざるを得ない。
仕事、仕事で一度たりとも世に言うところの見守り隊を経験したことが無い、老いぼれジィジiがこんな感情を抱くとは夢にも思わなかった。
そして、こんな発想をする悪いクセが止まらない老いぼれジィジiである。
NY時間をトレードして過ごした朝にはコーヒーを飲んでもドーパミンが出ているのか、暫く眠れないことがある。
何時もなら牛乳をカップ一杯レンジで1分40秒温め、半分をコーヒーに、半分をそのまま少し熱めのホットミルクにして飲んで落ち着かせて早朝の布団に潜り込む。
コーヒーを飲んでも眠れそうにないので、7時30分からパソコンをチャート画面から防犯カメラの画面に切り替え、マイクもセットした。
個人で対応可能な防犯カメラの画面は4分割と1画面の2種類あり切り替えも出来る。
暫くすると、5人の小学生が列を作って歩いてきた。
年長の女の子を先頭に歩く、何時もの5人組と分かった。
マイクを近づけ準備をし、パソコン画面で5人組の先頭が10メートル位に近づいた時、私はマイクに向けて少し大きな声で話掛けた。
「おはようございます。今日の桜は5分咲きです。」
すると、5人の小学生が大きな声で口を揃えてこう言った。
「ありがとうございます!」
私のパソコンの音声から元気の良い声が聞こえた。それと共に締め切った窓の向こうから、微かに同じ声が響いた。
『パソコン見守り隊』に登録して1年になり、5人組の子供達の返事が「ありがとうございます」に変わってもう半年くらいになる。
コロナ感染が広がり、世に言うところの見守り隊の活動が停止に追い込まれ、『リモートパソコン見守り隊』に市役所が移行して1年が過ぎたことにもなる。
通常であれば、見守り隊員が子供たちに私的な声を掛けるのはご法度なのだが、老いぼれジィジiは「おはようございます」の後に〇〇ですといった、季節の単語をマイクに向けて必ず声を掛け続けている。
年長の女の子がそれを察して相談したのかどうかは知る由も無いが、通常であれば「おはようございます」の一言を「ありがとうございます」の置き換えて、5人組の小学生は返事を返してくれている。
粋な小学生の一言を聞き終えた私は、パソコンの画面を1画面から4分割に変える設定をした。
個人が設置する『リモートパソコン見守り隊』アプリは1画面の場合だけは、音声の受け答えが出来るからだ。
そして暫く子供たちの通学風景を眺めた老いぼれジィジiは、「寄り前(よりまえ)」の相場に戻るため、何時もの4画面チャートに切り替えた。
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