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シックイ、シッパイ 〜移住の記録〜

縁側にウッドデッキを作り薪ストーブを設置した事で、和室が少しずつ快適になってきた。

次の修繕箇所は、和室の壁である。
ポロポロと粉が落ちてくる茶色の砂壁を白い漆喰に塗り替えるのである。

漆喰は元の壁の素材によって上から塗れたり塗れなかったりするらしい。
調べた結果、砂壁の上からは塗れるらしい。

ただし、しっかりと下地を整える必要がある。
私はこれで失敗した。

砂壁に漆喰を塗る手順は下記の通り。

1.ポロポロ落ちてくる表面の砂をホウキなどで落とす。

2.塗料が壁以外に付着しないようにマスキング、養生等をする。

3.下地シーラーを塗る。

4.漆喰を塗る。

僕は手間と費用をケチって下地シーラーを塗らず、いきなり漆喰を塗ってエライ目にあった。

「霧吹きで壁を濡らせば、シーラーを塗らなくてもイケる。」
という曖昧な情報を信じたのがいけなかった。

マスキング、養生を済ませて漆喰を練る。

はじめてで要領がわからないので、大体のかたさに練り上がったら塗っていく。

コテに漆喰を乗せ、ペタッと壁につける。
そしてコテを左右に動かし均一にのばしていく。

が、しかし。

想像ではスーッとコテで広がるはずだった漆喰が、ペタッと壁に貼りついたまま広がらないではないか。

コテで強く押しつけても硬くてのびない。
もっと水を加えろというのか。

それともなにか、漆喰がボロ小屋の壁に塗られるのはまっぴらゴメンだと座り込みの抗議活動でもはじめたのだろうか。

無理に広げようとすると表面がバサバサになるか、砂壁ごとボロリと剥がれる。

これは困った。
仕方がないのでどうにかのびてくれるよう漆喰に水を加えて薄めいくと、ホットケーキでも焼くのかというほどトロリとしてしまった。

それでも壁につけるとすぐに固まってしまってのびないから驚きである。
なんて頑固なヤツだ。

だがこの時の私は無知である上に冷静さも欠いていた。
一度立ち止まって原因を考えて対策すればいいものを、無駄に勢いづいてその日は2面塗った。

次の日は朝からずっと塗り続けて7面ほど作業し、さらに2回目の塗りもほどこした。

時刻は夜中の2時を回っていた。
そして漆喰を塗った壁は、砂壁のアクがにじんで黄色いマダラ模様になっていた。

丸2日間かけて出来上がったのが、ボコボコで黄色マダラ模様の壁だとは。
絶望的な気分だった。

遠くから見ると目立ちませんが、近くで見るとヒドイもんでした。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。