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ゲーム業界の就活ってどんなもの?ESや面接の特徴は?選考経験もあるゲームプロデューサーに聞いてみた!-大解剖-山中拓也編 ゲームプロデューサーになるまでの軌跡【前編】

ゲーム業界、多くの人が憧れ、未だに人気の業界。関わる職種は数あれど、その中でも、ゲームの仕様を考えるプランナーもまた人気の職種の一つでしょう。ところが、この職種、情報が少ない!情報を取りに行きたくても中々取りに行けない!!!ゲーム業界に特化していない学生だと特にです。

だからこそ、困っている人もいるのではないか?と思い、今回、お忙しい中ゲームプロデューサーの山中拓也さん(以下、山中さん)にお願いし、ゲームプランナーについてのお話をご自身の就活経験まで遡って聞いてきました。

【前編の内容👀】
l 山中さんの就活経験談
l 企画書や草案書の作り方やそのヒント
l 就活課題の草案書や企画書はどこを見られているのか、そのヒント
などについてお話し頂いています。

Interviewee

山中拓也

ゲームプロデューサーを務めつつ、脚本など多方面でマルチに活躍中。四年制総合大学で心理学を学ぶ。卒業後、開発系のゲーム会社へと入社。その後、転職を経て、現在はフリー。「カリギュラ」や「ミルグラム」など数々のプロジェクトを手掛けている。

Graphic design

パンチ

広告会社で働きながら絵を描くグラフィックデザイナー。美しい色合いのグラデーションや、反射で表現された唯一無二のイラストレーションは圧巻。tarou2氏の同人誌やDUSTCELL Exhibition「白炎」のキーヴィジュアルなどを手掛けている。

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カウンセラー志望からゲーム業界に入った異色のゲームプロデューサー

─本日は、取材をお受けくださり、ありがとうございます。それでは、早速ですが、自己紹介をお願い致します。

山中さん:山中拓也と申します。現在、34歳になります。職業的にはゲームプロデューサーというのがおそらく本職になるかなと思っています。現在は、それに加えて脚本家。アニメとかゲームとか、その他諸々のメディアの脚本を書く仕事をサブでやっているというイメージです。会社には、所属しておりません。フリーランスとして2018年からやっております。代表作といってもらえるのはカリギュラというゲームです。アニメ化もしておりまして、恐らくそういうタイトルに当たるのかなと。

ちょっと特殊な経歴でいうと、僕は四大卒で、元々ゲームを作ろうと思っていたタイプではなくて。むしろ僕は大学三年生ぐらいまで、本当にカウンセラーになろうと思って心理学の勉強しておりまして、そういう経歴からゲーム業界に入ったので今回の取材意図的にも共感しました。実情に基づいたお話ができるかなと思っております。

―ありがとうございます!なぜアニメでも漫画でもなくて、ゲーム業界を志されたのでしょうか?

山中さん: ゲームとかアニメとかってある程度嗜んでいたというか好きでやっていたんですけど、自分が作るものだというイメージが大学の3年生までなかったんですよ。まだ遠い世界で作られていて僕はそれを享受する楽しいものだと思ってたんです。

(でも、)実際にカウンセラーになるっていうのを諦めたときに、就職どうしようって思ったときに、合同説明会みたいなものにゲーム会社があって。「ゲームって誰かが作ってるんだな」っていうのをそこで初めて知るというか、気づくというか。

(それまでは、)なんか魔法的なもので作られているような気がしたんですけど。「そういえばこれって職業としてあって、実際に誰かが作っているもので、ここにその入り口があるんだな」っていうのを、そのタイミングで運よく気づいたというか、意識の外にあったものが認識できたっていうタイミングで。そういえば自分はゲームで育ったなあっていうところもあって、そこまで心理学しかやってこなかったから、他にある程度知識があるものって言ったら自分の好きだったものになるのかなっていうとこで、そっからゲーム会社向けの就職活動を始めたっていうイメージかな。

―なるほど!ちなみにどんなゲームを遊ばれていたんですか?

山中さん:僕は元々みんなでワイワイ遊ぶ系の「スマブラ」とか、あの僕らの世代だと、Nintendo64の「ゴールデンアイ 007」とか流行ったんですけど、そういうのがとても苦手で。1人で遊ぶ系、それこそアトラスさんの古いRPGで「女神転生シリーズ」とか、僕が好きなゲームだと、コーエーさんが昔RPGで出していた「ジルオール」っていうゲームがあったりするんですけど、そういうマイナーなRPGゲームみたいなものを嗜んでいました。

タイトルをいっぱい出しておくと、例えばそうだなあ「東京魔人学園」とか「サモンナイト」とか「ガンパレード・マーチ」とか。今は雑誌としてないんですけど、「電撃プレイステーション」っていう雑誌で特集されていたような、ちょっとメジャーよりも、「ドラクエ」・「FF」よりもマイナーなRPGみたいなものを楽しんでいましたね。

―「女神転生」って、今じゃメジャーですけど、当時はマイナーだったんですね!?

昔は、僕らの、それこそ20年前ぐらいの話していると、子供たちはわかんない。大人たちは楽しんでいたかも知んないけど。僕らの世代の小学生だとやっぱ「ドラクエ」・「FF」をやっていて僕らは背伸びしたくて、ちょっと大人な雰囲気の女神転生を遊んでるみたいな位置付けだった感じですね。

就活経験から見えたゲーム業界のエントリーシートの特徴

─そうだったんですね…!ゲーム業界に就職をしよう!とご決断された後、どう就活を進められたんですか?

山中さん:先ほど言った合同説明会でエントリーシートを開発会社に出しまして。それがね、書類で落ちたんですよ。エントリーシートで落ちたんです。

─どんな質問がありましたか?

山中さん:覚えてないや。多分その段階では、プレイしたことあるゲームとか、そういう割とざっくりした話だったと思うんですけど。普通に僕一般の企業だと書類で落ちることってあんまりなくて。だから、ちょっとエントリーシートで落ちてびっくりして、悔しくなって、「ちょっと本気でやったろう」と思ってゲーム会社に割と熱が入ったというか、そういうところはありますね。多分、今思うとゲーム会社ナイズされていないエントリーシートというかそういうものだったのかなあと思いますね。

─ゲーム会社ナイズされているエントリーシートとされていないシートの違いは、何なのでしょう?

山中さん:後になって思うんですけれど、結局のところ、(ゲーム会社の)エントリーシートで必要なものっていうのは一般の企業のものに加えてなんとなくクリエイティブの匂いがするとか、作りたいものがあるとか、そういう(もの)。

人事の方や開発のある程度ポストがあったりそこら辺の知識がある方がざっと目を通していくと思いますが、そん中にやっぱりそこの熱意だったりとか、作り手になるためのそこの意気込みとか思い的なものはある程度エッセンスとして含まれていないと恐らく目には止まらないんだろうなあと。

今色々ね、会社員になって人事とかにも軽く関わるようになって思うところですよね。やっぱり、普通の会社よりもエンタメの会社なんで。情熱というか、熱意みたいなものが、もうちょっと重視されてんのかなって思っています。

─いわゆる一般企業の総合職のようにまとまりがあってわかりやすくて丁寧というよりかは大雑把なものでも何かその人がやってきたことが伝わるようなものの方が、よいと?

山中さん:多分引っかかり、引っかかりがあるというかね。これも多分後で出てくると思うんですけど、パブリッシャーとデベロッパーっていう位置付けでも違うと思いますし。

─どういう違いがあるんでしょう?

企画とかをメインにやってるところが開発メインで単純にクリエイターを求めているのか、ビジネスとしてのゲーム作りに必要な人材なのか。

そうだな、商品としてのゲームに必要な人か、作品としてのゲームに必要な人か、で求めてる部分が違うと思うんで、おそらく最初のエントリーシートを書いた段階では僕はそこの業界研究というのが足りなかったのかなと思いますね。

─今ご自身でもし書けと言われたらそういったポイントを重視して書かれる?

山中さん: はい。

ゲームでいう草案書・企画書・仕様書とは何なのか。

草案書=”相談ベース”で使われる書類

─続いて、課題でなにかと書かされる草案書・企画書・仕様書について。まず、草案書についてどういうものなのか教えていただけますか?

山中さん: ゲーム業界における草案書は、こういうコンセプトで、こういうテーマで物を作りたいですっていう相談ベースに使われるものかなと僕の中では思ってます。「こういうものを考えてるんですけど企画書にしていいですか」っていう自分の頭の中をさらっと周りだったり上だったり、伝えるためのもので、体裁が整っている必要がないもの。

─なるほど!草案書の書き方はどうすればいいんでしょう?ゲームのルールやコンセプト、人数やイメージに近いゲームなどを記載していく形なんでしょうか?

山中さん:基本そうなんですけれど、恐らく草案書の中に入れてくれると僕が見やすいなって思ってるのは今既存でこの市場にあるゲームとの違い。

山中さん:結局のところどうしても企画って0から1で作ることはないじゃないですか。そのぐらいに他でされているアイディアとかそういうものが含まれていて。イメージ的には、これもすごく概念的な話をしますけど、オリジナリティって、コーヒーとかに例えると、新種の豆を作りましょう。という話じゃないんですよ。この豆とこの豆をこの店ではこのブレンドで出しますっていうのが、オリジナリティなんですよね。

山中さん:実際のビジネスベースでいうと、世の中で流行っているゲームがあるんだけども、それのすごく価格が安いものを作りましたって言ったら、需要があるじゃないですか。そうですね。例えば、いま流行っているゲームのこのキャラクターたちを乗せて、お話も楽しめるようにしましたっていうのは需要があるじゃないですか。今、この世の中にないものを提案してるんですよっていうのがわかると、凄く僕は見やすいんじゃないかなと思います。

─今、現在存在している市場のコンテンツのそれぞれの要素を掛け合わせて、これは市場にないものなんだという理由をきっちりかいてあげると、草案書として説得力が増すと?

山中さん:そうそう。草案書だけでゲームの全部って語るのは難しいと思うんですよ。恐らくページ数も限られているし、その中でやっぱり何が一番読むの止められるかっていうと、例えば、こういうのを見て、「Dead by Daylight」やればいいじゃん。「第五人格」やればいいじゃんって思わせたら負けなので。それじゃダメで、それ(既存のゲーム)だとここが満たせてなくて、このゲームがこの世の中に必要だっていうところが最初にあると読むのをやめられないっていうのもあるかな。

─ だからこそ最初にそれを持ってきてこのゲームはちゃんと存在する理由を書く必要性があるということですか?

山中さん:そうそう。

─それはどれぐらい書かれるものなんですか。

山中さん:多分会社によると思うんですけど、僕はあんまり草案書の段階では出さない。これ、ちょっとひっくり返しになってすまないんですけど、草案書の段階って文字だけなので面白さが想像しにくい場合があるんですね。だから、実務でいうと僕は企画書まで作っちゃって相談する。初手で面白いと思わせないと、そのあとは結構きついので。

企画書=”誰であってもそのゲームの面白さが伝わる”書類

─草案書は全体に見せずに、企画書を見せるって感じですか?

山中さん:そうです。企画書ってゲーム作りのプロだけが見るわけじゃないんですよ。例えば、そうだなあ。ゲームを作る知識がある人だけじゃなくて、その企画にOKを出す人ってゲーム作りから上に上がった人じゃない場合もあるでしょう。社長さんとか部門の上の人っていうのは。もしかしたら、そういうビジネスベースから上がってきた人の可能性もある。

だから、ゲームのことを知らなくても面白さが伝わるものっていうところまで企画書を仕上げる必要があって。そういう段階にまで持ってってから、人に見せるようにしています。

─その基準は、ゲーム会社が企画書を参考に選考するときの基準としてはおなじなんですか?面白さっていうところを企画書では見ている?

山中さん:恐らくですね、僕が関わってきた会社では、実際にビジネスにおいてこの企画をやるかやらないかの判断をする企画書と就職面接で応募してくる企画書っていうのは全く別物だと思います。

(おそらく)ちゃんと書類を作れるかとか、その書類に客観性があるか、他の人が見て伝わるようになっているかとか、ちゃんと企画の筋道がロジックに組み立てられているかとか、この人のやりたいことがあるかとか、そういうものを見るのが就活の企画書かなと。

─つまり、商業で実際に求められる面白さは求められていない。しかし、書類としてきちんと正しく作れているかなどいわゆる論理的な構成になっているかとか、伝わりやすさを重視していそうだと?

山中さん::ちゃんと面白いことを考えるっていうことに対して、ロジカルに設計できているかっていうところが伝わると、かなり印象はいいかなと思いますね。だから、例えばそうだなあ、何か物事の面白さってすごく感性的なもののように感じるけれども、実はそれぞれ理由があって、ロジックがあるじゃないですか。

─そういうところがこの人は理解できて書いてるなっていうのはわかると。

山中さん:そうなんでしょうね。結局のところ、そのまま企画書が商品になるっていうレベルのものを持ってくることは期待していなくて、この方、ある程度地頭が良くて、ちゃんと考えてるなあっていうのが書類とか書類の構成とか内容とか文面から伝わってくると、かなり受け入れやすい部分もあるかなと思います。

─なるほど!新卒の場合だと、(商業で通じる)面白さというところよりかはきちんと論理的に面白さを捉えてそれをゲームとして落とし込めているかっていうところが書ければいい?

山中さん::そうですね。

企画書作りのコツは、"最初に●●感という体験を打ち立てる"こと

─では、実際の企画書、特に、ゲームコンセプトの作り方を教えてください!

山中さん:コンセプトって大事ってよく言われるじゃないですか。ゲームにおけるコンセプトは、ゲームの面白いところはもちろんなんですけど、もっと分解すると、ゲームって体験なので、このゲームをプレイするとプレイヤーはどんな体験ができるのか。転じてこれは何を感じさせるゲームか、これをプレイすればどんな気持ちになるのかっていうのを書いてあげなきゃいけない企画書には。ていう話なんですね。

つまり、ゲームにおけるコンセプトっていうのは、そのゲームによる体験がプレイヤーに与える感情、このゲームをするとプレイヤーはこう思いますっていうのがコンセプトです。

(このコンセプトを作る時に、)僕が初心者におすすめしてるのは、ゲームコンセプトを作れって言われたら、●●感と言い切ってしまいましょうということです。

わかりやすい例で言うと、三国無双の一騎当千の爽快感でコンセプトがあるんすけど、スーパーわかりやすいでしょ。このゲームをしたら一騎当千の爽快感を味わえるんだってめちゃめちゃわかりやすい。一騎当千の爽快感を提案した三国無双だと仕様が決まるんですよ。敵の数はうじゃうじゃいるし、難易度は誰でもクリアできるし、誰にも触れやすくて敵の体力も吹けば飛ぶようなもの。そういう気持ちよさを作ります。

三国無双という同じ側でも、もしコンセプトが違って手に汗握る緊張感を表現したゲームならあの画面のまま、敵の数は手に汗握る緊張感を感じるためにいっぱいいるよりかは、ちょくちょくいた方がいいし、難易度は難しくなきゃいけないし、手軽さはプレイヤースキルを求めなきゃいけないし、敵はかなり手ごわくしなきゃいけないというコンセプト、この言葉によって実装が変わる。コンセプトが違うと何をやらなきゃいけないかが変わってくるので、コンセプトってのが大事なんですよっていうのを言ってます。

企画書を説明するときも、コンセプトがないとですね、よくあるんですけど、「豪華スタッフを集めたハイクオリティなシューティングゲームを作ります。」みたいなことがマジでビジネスの現場でもあったんですけど、でもこういうことを言って、プレゼンを始めると、みんなの頭の中に浮かぶものが違うんですよ。その後に、ゲームの内容とか説明しても、いっぺんみんなの頭の中がばらついた状態でスタートすると、入ってこない。

でも、コンセプトっていうのは、一撃必死の緊張感を感じさせる2Dシューティングゲームを作りますと言ったら、なんとなくみんなの頭の中に浮かぶゲームは一緒になるんですよ。どんな気持ちにさせるかっていうところがまず頭に説明できていると、その後の内容が入ってきやすい。

多分企画書で全部を表現できるわけじゃない中で、いろんな絵を使って組み合わせて、それこそ草案書だったらテキストで、ってやって、頭の中に浮かぶものをみんなバラバラにしてしまったら駄目なんですね。だから、みんなが共通してわかる、人間がどういう感情になるかっていうのは万人に共通するものね。で、僕はそれをコンセプトだと読んでいて、コンセプトっていうのは超大事ですよみたいなこと言っとるわけですね。

ついでにもうひとつ言うと、「メタルギアソリッド」のコンセプト。これゲームのホームページに書いてあるんですけど「だんだん近づいていく敵をやり過ごす時の緊張感。見つかった瞬間の衝撃は全身を駆け巡るの焦燥感そして見つからずにやり過ごすときの安堵感と爽快感、緊張&焦燥&安堵の連鎖が織りなす極限のスリル」ってめっちゃわかりやすい。

これを見るだけでだいたいどういうゲームで、どういうゲームを作ればいいのかがわかりますよね。この何とか感っていうものが、僕はゲームのコンセプトとして、それを説明するのにいいなって思ってる。

なので、企画書の書き方っていうのは、まずこれを立てちゃおう。これをやったらどういう気持ちになるっていうのを先に説明してしまうとそれが確かに今までなかったかも!とか。

これは実際に感じたいね、これはゲームに求めてるねっていうものだったら、その後の内容っていうのはかなり入ってきやすいんじゃないのかなと思います。

─いい企画書ってどんな企画書なんだろうずっと疑問だったんですが、最初のコンセプトで、どういうゲームだろうっていうのが相手にある程度(イメージとして)ざっくり伝わる感じなんですね?

山中さん:そう。だから、この感覚は感じたいよねっていうのは共感できれば勝ち。だからカリギュラっていうゲームがあるんですけど、あれのコンセプトは背徳感なんですよ。とにかく背徳感を感じるゲームにしたいと人の秘密をのぞいてるときのそわそわした感じとか、知っちゃいけないものを知ったときのそわそわとかやっちゃいけない展開をやってるときのそわそわとか、そういう何か背徳的な感情って魅力的じゃないですか。人の秘密知ったときドキドキしますよねとか、こんな展開があるんだ、やっちゃいけないけどもやりたくなるみたいなところっていうのを、このゲームではふんだんに盛り込みますっていうのが、1ページ目に書いてます。その後の人の心に踏み込むとかは、全てその背徳感を満たすためのアイテムでしかないわけですよ

─ということはコンセプトで提示した例えば爽快感とか背徳感みたいなところをシステムで実際感じさせるために。

山中さん: そういうのを感じさせるための機能としてシステムとか、要素、世界観、キャラクターがある。やっぱり全部の要素が返ってきてる企画書っていうのはすごく美しいというか。

─初志貫徹というか?

山中さん:そうそう。最初に決めたことが、全部筋が通っている。本当にその体験を体験させるための機能だから。プロになると、どんなに面白いことが書いてあるページでもコンセプトにのっとってなければいらない。っていう判断をする。そこはもう結構シビアにって感じです。そうだから、例えばさっき言った「メタルギアソリッド」で緊張感を味合わせるって言ってるのに超面白そうな範囲攻撃とかが入ってたら、確かに面白くて派手で魅力的かもしんないけどメタルギアソリッドにはいらないよねっていう話になるわけですね。

─なるほど!1個単体で見たときに面白いシステムであろうとも、コンセプトにそぐわなければ、ゲームとしては要らないよねという事ですね?

山中さん: その通り。いらないし、実際にプレイしたら、これノイズだねってなるわけですね。だから、もっと言うと、面白い企画書って何だろうって思うじゃないですか。本来は企画書っていう段階で既に面白いはずなんですよ。なぜなら、背徳感とか爽快感とかって面白いじゃないすか。既に企画書が始まった時点で面白いはずなんですよ。だからもう、そこの最初にこういう感じを味合わせますって言われたら、それはもうその後にそれを実現するためのアプローチは全部面白いはずなので、もし企画書が面白くないんだったら、面白さをまず提示できてないんだろうなっていう感じ。コンセプトさえはっきりしていれば、面白くなくなりようがない。

面白さとか感性的なものだと思っちゃうんだけれども、その面白さを紐解くと全部言語で説明できて、それができてるかどうかってとこかなと。

ゲーム業界の就職面接のあれこれ

ゲーム業界の面接は案外とフランク!?

─なるほど。ありがとう御座いました!では、次は面接についてお伺いしたいと思います!早速ですが、ゲーム会社の面接質問って、どんなものが多いですか。

山中さん:: 僕4社しか受けてなくて。その4社で言うと、面接自体は一般の企業とそんなに変わらなかったです。普通に志望動機とか、そういう、よくあるものを聞かれていて、その中にどんなゲームが好きなのとかそういうゲーム業界っぽいものが入ってくる。

─なるほど。一般の質問+ゲーム業界らしい質問みたいな、、、?

山中さん::そうですね。ある会社とかだと、何か課題みたいなのが出た記憶だけうっすらありますね。こういうお題で面白い企画を考えてくださいみたいなシートを書いたような記憶だけあります。

10年前のことなので覚えていませんが、そこの雰囲気っていう部分で言うと普通の会社よりかはフランクなイメージはありましたね。

実際に現場レベルの方が出てきたら、なんか空気を和ませようとしてくれたり、割と砕けた方が多いので。スーツで出てこないっていうだけで僕らからするとある程度緊張感ないじゃないですか。

─そうですね。私もゲーム会社へ面談に行きましたが、結構フランクな印象でした。他の会社でもそうなんですねぇ。

山中さん:: そうっすね。人数とか規模とか役職も上に行くほど上がっていってって感じですね。多分二次(面接)とか三次(面接)とかから現場の方が出てきて。いろいろなんでしょうね。僕だけかもしんないけどゲーム会社って、上に行けば行くほど(面接が)フランクになってくるイメージがあります。どんなの(ゲーム)が好きなのとか、偉い人が聞いてくるようなイメージありますね。だから、多分一緒に仕事して楽しいかとか、実際に何だろう、こういう空気の中で物が言えるかとか。

ゲーム作りってどうしてもチーム作業なので、そこら辺で特にプランナーは、集団の中で混れなさそうだなとか、コミュニケーションになんか(問題)あるなって思われるのは結構不利かなって感じがしますね。

─なるほど。私達が友達と会話をするような感じのコミュニケーションをできればよいということでしょうか。結構難しいですよね?

山中さん:: 結構難しいと思う。そんな場がないものね。あと、実際僕が面接するときには、すごく気をつけていること、一番聞きたいこととしては、みんなゲームが作りたいのは当たり前で、ゲームに対する熱意とかあるのは当たり前なので、ゲーム会社に入ってくるまでにどんな経験をしたのかっていうのが面白く語れるといいなと思います。

例えば僕だとゲーム会社志望として必要なゲームを作る能力っていうのは乏しいんですけど、そのゲームだけを作ってきた人にない心理学の経験とか、カウンセラーでの椎谷とか、心理的な知識みたいなものを面白がってもらったっていうとこが結構大きいと思っていて。ゲーム業界に入っちゃうと、もうそっから人生ゲーム作るしかないわけですよ。

(なので、) それまでにしてきた経験みたいなものがその人のオリジナリティだったり、その人が何か企画出そうってなったときに出てくるものだったりすると思うんすね。そういうところを、多分毎年何人も何人も面接してる人ってなると、そういうのが結構目立つというか、この人にゲーム作らせてみたいなとかこの人に何か面白いものをつくらせてみたいなっていうものになるのかなと思います。

─何かゲーム以外の経験を四年制大学生、(経験談として)出せるし、(経験)している?

山中さん::(経験)してる。してるはずだもんね。そうそう、結局のところね、ゲームの専門学校御出身の人がゲームをずっと作り続けてきたっていうのに対して戦えるだけのバリューみたいなものは、僕は必要だと思っていて。

ゲーム作ってない代わりにこういう経験をしてるんだから、面白いものできそうでしょって言えないと駄目かなって思いますね。

自分の実現したい事がその会社でできるかどうかを主軸にした逆質問

─ありがとうございます!続いて、逆質問についてお伺いします。どういった内容の質問をどんな風に言えばいいんでしょうか?

山中さん::難しいよね。僕が一番言われて困ったのは、僕それは新卒じゃないんですけど、大阪の開発会社から東京の会社に転職する時に何社か当たって。そのうちの1社の社長に、「あなた純文学は読むの?」って言われて。「どういうこと?」って思って。「何でそれが必要なの?」みたいな話をさせてもらった気がする。

逆質問ね、多分就活だと結構最終面接とか、最後の方かなと思うんですけど、結構ね御社に入る前に何かやっておいたほうがいいことありますかとかそういうのになっちゃうんですけどね、僕もなんかそういう無難なことを聞いた気がする。そんなんでいいんです。逆質問でこいつやるねと思わせるって難しいから。

でも、基本的にみんな自分のこと語りたがりだと思うので。そうだなあ、好きなゲームなんですかとか聞いてもいいと思うんですけどね。相手のことを知りたいですっていうのの中でも何か、どういうゲームを作っていきたいのかとか。この会社が、今、こういう代表作があって、その次に業界内でどういうポジションにいきたいのかとかは、多分普通に興味あることだと思うので、聞いたってもいいんじゃないのかなあと思います。

例えば、僕が、1個目の会社を辞めた理由というのは、この会社では自分の望むジャンルのゲームに手をつけることがないなと思ったからなんですよ。海外向けのアクションゲームを作る会社で、それをずっと強みとして作っていく会社なので、そこで僕がやってきた、日本向けのRPGを作る機会っていうのは、そこにずっといたら一生訪れない。そういうところも含めて、この会社がどういうゲームを作っていきたいか、一生そのゲームさえ作ればよくて好きなジャンルとか、そういうものを関係ないっていう方がいいと思うんですけど。新卒入社した会社ってのはプロレスと格闘技とかのゲームを作る会社で、こっから30年間、あんまり好きじゃなかったプロレスのゲームとか格闘技のゲームを作るっていうところが現実的に耐えれるかどうかとか、結構重要だと思うんですよ。

例えば、よそで聞いた話だと、社名は伏せますけど、大きいRPG作ってて、10年間ぐらい開発してるとしたら、新卒で入って、デザイナーで入って、新卒もう6年目とか7年目とかでもう中堅なんだけど、そのゲームの小物ばっかり5年6年作っているっていう状況があったりするわけですよ。ゲームの全体がどうやって作られてるかわかんなくて、そのゲームに必要なものを作り続けている。それって、ゲームが作れるようになってるわけではなくて、そのゲームを作るっていう経験しか得られていない状態だったりするので、自分が将来的にどういうものをやりたいかっていうところもある程度考えながら会社を選ぶ必要もあるし、そういうプロジェクト、どういうプロジェクトが行われてるかっていうのを差し支えない範囲でイメージだけでも聞いておくと、ある程度覚悟できるかなと思いますね。

もちろん技術は上がっているけれども、それが自分の望んでるとか自分の将来設計に対して、ちゃんと正しいベクトル進んでるのかっていうところが多分入る前は見えないので、自分はこういうゲーム作りにおいてこういうことをやりたくて、それがこの会社で実現できますかみたいなことをもうちょっと自分の言葉で柔らかく聞き出せるといいのかなと思いますね。

─確かにそれは将来、自分がどういうキャリアを歩みたいかっていうのと、関わってきますよね。

山中さん:: ゲーム作りたいって一言に言っても、やりたいものがそれぞれ違うと思うんですよ。僕みたいに1から企画立てて、その物語を作ってキャラクターを作ってっていうのがやりたい人っていうのが、いたとしたら、デベロッパーに入るのは間違ってるんですよ。間違ってるというかそれの近道ではないんですよ。デベロッパーっていうのは、パブリッシャーから企画を受けて、その中身を開発するっていう業務が主になってくるし、自分で企画を立ててゲームを制作販売するっていう会社ではないので、誰かの作った企画誰かの作ったゲーム、何だろなお話とか誰かの作ってキャラクターを実現するっていう業務が主になるので。

─ 確かにそうですね。コンシューマーだと、ゲームの仕様一つに長期間拘束されるし、プロデューサーになりたかったら20年仕事って話を私も聞いたことあります。

山中さん::そうです。確かに、スマホの会社の方がそういう上流工程に入るのが早いからね。圧倒的に。

─各社それぞれモバイルとコンシューマーとあとパブリッシャーとデベロッパーとでそれぞれちゃんと(何ができるのか、メリット・デメリットなどは)見なきゃいけないなあというのは痛感しましたね。

山中さん:: ゲームが作りたいの解像度というかね、【ゲームのどこが作りたいか】かな。

わかんない、いるかもわかんないけどゲームが作りたいって言って一生データシートの数字だけをいじっていきたいかっていうことを最初から思っている人はいないと思うので。やってみて楽しくて、これがやりたいなではいいと思うんですけど。

たぶん世のゲームクリエイターとかゲーム作りたいって、そういうものだと思うので、そういうものが今から行こうとしている道の先にあるのかどうかいうところはわりと考えておかないといけないかなと思いますね。

─有難うございます!

次回は、実務編(後編)を2月下旬に配信予定です📻⚡️
お楽しみに───!

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