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マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~事業家集団(新橋)編⑦~

前記事:マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~事業家集団(新橋)編⑥~

最初から読む:マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~ライ○バンテージ編①~

今回の体験をベースにした小説:マルチ商法女と戦っていたら、もっととんでもないものと戦うことになってしまった件

このシリーズは、大仏がとあるマルチ商法女をおちょくり撃退したことから、それと知らずにとんでもなく危険な集団と接触していたことを知り、その真相に迫るという、ハイパースペクタクルファンタジックサスペンスロマンである!

以前の記事で、事業家集団に入ると受講を薦められる、A○Kのセミナーがいわくつきであると書いた。今回はその理由について記載したい。
まず、この記事を読んでもらいたい。

話題のキンコン西野氏による近大卒業式「時計」スピーチが孕む危うさ。問われる近大の良識


このシリーズを読んでいるあなたなら、ある部分に目が止まったことだろう。

自己啓発セミナーが単独のビジネスとなった後も、マルチ商法関係者が自己啓発セミナーに販売員を送り込み「研修」させるということが行われてきた。これは現在も変わらない。2010年には、日本で最初に創設された自己啓発セミナー会社(2000年に解散)の残党が経営する「A○Kグローバル・コミュニケーション」(現A○Kアカデミー)という会社のセミナーで受講生が死亡する事故が起きた。受講生は、当時、マルチ商法会社「ニュ○ウェ○ズ」(現モ○ーア)の販売者集団「ワ○ダーラ○ド」のメンバーだった。

 「ワ○ダーラ○ド」は、販売員をマンションの一室で共同生活させながら勧誘活動などに従事させる過激な集団だった。その販売員を教育しやる気を出させるために利用していたのが、A○Kのセミナーだった。

モ○ーアのワ○ダーラ○ドとは事業家集団の前身である。つまり、

事業家集団が送り込んでいるA○Kの自己啓発セミナーでは、死人が出ているのだ。

そもそも自己啓発セミナーとは何なのか。これは自己を超越する、新しい自分になるのを目的としたセミナーで、大雑把に言うと「全ては自分が源である、考え方を変えれば無限に成功できる、したがって『正しい』考え方で洗脳すれば全て上手くいく」という思想のもと、受講者をセミナールームに閉じ込め、「自己啓発セミナーの教義的に正しい」例え話をされたり、初見では大抵失敗する仕組みのゲームに挑戦させ、徹底的に罵倒して自信を喪失させた後に「正しい」やり方でゲームを成功させる。その後も自己啓発セミナーの教義を叩き込むワークを行った後に「素晴らしい!あなたは生まれ変わりました!」とか言って目を閉じさせ、再び目を開けたらそこには紹介者がおり号泣しながら抱擁...大体こんなイメージだ(ちなみに僕は人格改造マニュアルでこのあたりの話を知った、あれは実に勉強になる本だった)。

上の記事にもある通り、自己啓発セミナーはもともとマルチ商法の会社で行われていたセミナーだった。事業家集団が構成員を送り込むのも実に自然な流れだ。この手のセミナーでは大抵最終段階でセミナーへの勧誘を行うことになっており、これもマルチとそっくりである(基本的な内容〜勧誘に至る流れはここが分かりやすい)。このため強引な勧誘が行われることがあり、高額なセミナー費とも相まって90年代に問題となった。上記のような内容は「人間の潜在力を開発する」ことを目的としたヒューマンポテンシャル運動というムーブメントの中心地であった、エサレン研究所で開発された心理療法から来ている。このヒューマンポテンシャル運動というのはニューエイジという宗教思想運動の中の一つなのだが、実はこのニューエイジ、オウム真理教や幸福の科学の源流なのだ。これについては話すと長くなるので、拙チャンネルの動画(きりたんと学ぶスピリチュアルの精神史シリーズ)を参照されたい。


つまり、自己啓発セミナーとカルト宗教は単に似ているだけでなく、思想的にもとても近い場所にあるのだ。それを特によく表す事件がある。成田ミイラ化遺体事件である。20年ほど前のことだ。成田のあるホテルからミイラ化した遺体が発見された。何故ミイラ化していたかというと、遺体の家族がライフスペースという団体の代表、高橋弘二の「シャクティパットで病気が治る」「これはまだ生きている」という言葉を信じて遺体を放置していたためだ。アラサー以上の人であれば、「定説です!」「それはサイババの勝手なんです。」といった珍回答を会見で連発する、いかにも教祖然とした男性を覚えているだろう。ところがこのライフスペース、元々は宗教団体ではなく自己啓発セミナーの団体だった。もともと自己啓発セミナー事業を行っていたのが徐々に変質し、最後にはほぼカルト宗教団体になってしまったのだ。自己啓発セミナーがカルト宗教と紙一重であるのがよく分かる。

そしてこの死亡事故である。僕の頭をよぎったのはやはりオウム真理教だった。オウム真理教は1988年にオウム真理教在家信者死亡事件を起こしている。この事件は暴れだした信者への対応を間違えて死なせてしまった事件であり、故意に殺したわけではないのだが、この後オウム真理教はオウム真理教男性信者殺害事件坂本堤弁護士一家殺害事件と殺人を重ねていくこととなる...。

僕の背筋が凍えたのは、この事件に辿り着いた時だった。

ちなみに死亡事故を起こしたセミナー会社はまだ活動しており、事業家集団からも変わらず受講生を受け入れている。HPに掲載されている受講料は下記のとおり。

B○SICセミナー:93,500円
S○EKセミナー:253,000円
K○OCKリーダーシップコース:104,500円

うーむ、なかなか高い。といっても自己啓発セミナーでは50万、100万を超えるものもあるというから、業界では標準的な価格なのかもしれない。
ちなみにセミナーの順序としてはK○OCKが最後のはずなのだが価格が安くなっている。これは自己啓発セミナーではよくあるパターンで、上にも書いたように最後の段階で勧誘を行うためだと考えられる。

今回も思ったより長くなってしまった。次回は事業家集団関連店について記載したい。

to be continued...

次の記事:マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話 ~事業家集団(新橋)編⑧~

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