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アラフォー夫婦 東南アジア最高峰キナバル山に登る(持ち物準備編)

夫の駐在を機にマレーシアに引っ越して丸一年。
ロックダウンの停滞を経て、夫婦で温めてきた大きな目標にいよいよ挑むことに。
目指すはボルネオ島に聳える東南アジア最高峰、キナバル山。
元々日本でも細々と山登りを楽しんでいた登山歴4年の我々ですが、4000m峰を自力で登るのは初めての経験。
二人とも体力に自信があるわけではないけど、マレーシアならではの絶景を見てみたい意欲だけは旺盛。
そんなアラフォー夫婦のキナバル山登山に向けた持ち物準備について書いてみたいと思います。

キナバル山の気候は?

山登りの準備をするにあたり、気温・気候は十分頭に入れておかないといけません。
登山口のティンポホンゲートは標高1866m、宿泊するラバンラタ小屋が標高3272m、その先の山頂が4095mです。
一般的に高度100m上がる毎に0.6度気温が下がると考えると、下界のコタキナバルが気温30度だったとして、
登山口:約20度
山小屋:約10度
山頂:約5度
となります。
もちろん天候や時間帯によって気温は変わりますが、事前の目安としては大体これくらいを想定していました。
また熱帯のキナバル山は湿度が高く、長時間の登山となるため雨に遭う確率も高いと想定しました。
比較的気候が安定している時期の登山とはいえ、山は天候急変もあり得ますので、この辺りは日本の夏山に高山に登るのと同じ備えになるかと思います。
また、山小屋には暖房施設がないのと山頂アタックは深夜出発となるので寒さ対策も重要です。

トレイルマップ

持ち物リスト

では早速我々の持ち物リストを実際の経験を踏まえたメモ付きでご紹介させていただきます。
なお、必要なものは各人で異なると思いますのであくまでも我々のケースとしてご覧ください。

出発前の装備点検

衣類

・帽子
・長袖シャツ
・ボトムス
・サポートタイツ
・下着
・靴下
・予備の服(シャツ・靴下)
・極暖タイツ(パジャマ用)
【メモ】天気に恵まれたので登りは半袖Tシャツでもよかったが、日焼け・虫対策としてモンベルの速乾長袖Tシャツをベースレイヤーとして着用。小屋手前の高山帯までは森林が続くので日差しはそこまで気にならない。2日目の山頂アタック直後の岩稜帯で天候良ければ容赦無く日差しに晒されるので帽子があったほうがよいと思う。ボトムスはC3fitのサポートタイツ+ノースフェイスのアルパインライトパンツで問題なかった。ローカルの登山客は短パン素足やタイツのみの軽装も多かったが、体力怪しく転ぶリスクあり&虫に刺されやすい体質の私からすると長袖長ズボンでよかったと思う。

雨対策

・レインウェア上下(ゴアテックス)
・防水スタッフサック
・折りたたみ傘
【メモ】長い道中天気は刻々と変わるのでどこかで必ず雨に降られる前提での準備が必要。我々も当初概ね好天だったが高山帯に入ったあたりで霧雨と翌日は途中からずっと小雨にあった。両方ともレインジャケットで対応。撥水パンツで小雨だったのでレインパンツまでは使用せず。ザックは元々防水仕様のため、ザック用レインカバーは持たず。ザックが防水仕様でない場合はレインカバーは必携。ウェアとザックが防水だったので結果として折りたたみ傘は使用せず(というか終始ポールを握っていたため使用できず笑)。

高度が上がると霧雨も

寒さ対策

・ニットキャップ
・フリース
・ダウンジャケット
・グローブ
・ネックウォーマー
・カイロ
・保温アルミシート
【メモ】山小屋には暖房がない。山小屋ではベースレイヤーにフリース、ネックウォーマーという格好をしていた。山頂アタック時は好天に恵まれほぼ無風状態&登頂が日の出と同時だったため御来光待ちの寒さをしのぐ必要なくダウンを使用せず終わる。山頂アタックは午前2時開始も結果的にフリースの上にレインジャケット、グローブ、ニットキャップでちょうどよかった。以前登頂した友人は早く山頂に着いたため御来光待ちが寒く、ダウンに保温アルミシートまで使ったと言っていたので、持ち物には必ず含めたほうがよい。保温シートやカイロはKL市内のダイソーでも購入可能。

道具類

・ザック
・登山靴
・トレッキングポール
・水筒
・防水時計
・サコッシュ
・サングラス
・ヘッドライト(+予備電池)
・カメラ(+充電器)
・スマホ
・手ぬぐい(or タオル)
【メモ】登山靴は日本でも履き慣れたゴアテックスのミドルカットを着用。頂上付近の岩稜帯で足首のホールド感は安心感があった。登山靴は必ず履きなれたすべりにくいものを。トレッキングポールは山頂アタックのロープ使うエリア以外はずっと使用。特に下りは2000m以上を一気に下るので足への負担がかなりくるので1本でも持っていったほうがベター(事務所での貸し出しもあるらしいが未確認)。山頂アタックは夜中なのでヘッドライトはマスト。4時間ほどつけっぱなしなので念のための予備電池も。山小屋では食事時に温かいサバティーがいただけます。これを保温水筒にいれて山頂で一服が美味しかった。。ただ保温水筒はそれなりに荷物になるので重量との相談を。

小物・洗面道具類

・パスポート
・ファーストエイドキット
・薬類(高山病の薬・痛み止め・胃腸薬など)
・トイレットペーパー(or 流せるティッシュ)
・消毒液
・日焼け止め
・虫除け
・リップクリーム
・汗拭きシート
・歯ブラシ
・めがね
・コンタクトレンズ
・洗面用具(メイク落とし・基礎化粧品)
・メイク用具(眉ペンシル・SPF50 BBクリーム)
・マスク
・モバイルバッテリー
・ビニール袋
・サンダル
【メモ】今回の登山で怖かったことの一つが高山病。下に詳しく記載。小屋までのトレイルには7箇所の休憩場所があり全てに水洗トイレがある(驚)。ただトイレットペーパーがないので、水に流せるティッシュかトイレットペーパーが必要。ゴミ箱があるのでゴミを持ち帰る必要はない。トレイルは非常によく整備されており蚊も少ない印象だったが、途中ですれ違ったポーターが蜂にさされていたので油断は禁物。虫除けは必要。山小屋は設備が整っているが部屋に虫がかなり入ってくる。電気が使える時間が3時間くらいに限られるので、スマホ充電は必ず行うこととモバイルバッテリーを持っていくと安心。今回2人部屋個室に泊まったところバスルームにボディシャンプーがあったので洗顔剤はこれで代用可能と思った。

食料

・行動食(エナジーバー・ドライフルーツなど)
・アミノ酸ドリンク粉末
・塩入り飴
・飲料水
【メモ】登り用ランチとお水500mlは公園事務所で手渡される(これがかなりの重量)。エージェンシーにより内容は異なるが、パン・チキン・ゆで卵2個・茹で野菜・クッキーと結構なボリューム。登りは1400mを6時間ほどかけて登るので小まめなエネルギー補給が必要。食べやすいドライフルーツやエナジーバーを休憩所ごとに食べました。飲料水は女性の私が水筒に500mlと1.5ℓペットボトルを準備したが、事務所で500mlの飲料水をくれたのが誤算で、合計2.5ℓを担いでいくことになる。結果700ml近く余った。尚、ペットボトル飲料水は山小屋で購入できます。500mlと1.5ℓがあり、我々は下り用に1.5ℓを2本購入。スナック類も山小屋で購入可能。

ラバンラタ小屋の食堂の様子

ポーター利用

ここまで読んで結構持ち物あるなー、こんなに持っていけるのかなと思った方に朗報。山小屋までポーターを利用できます。10kgまでRM130でした(2022年5月現在)。ガイドとポーターは別の場合もあるし、ガイドがポーターを兼ねる場合もあって、我々の時はガイドがポーターを兼ねてくれました(その場合でもRM130は必要)。
2人分の荷物約7kgをバックに詰め込んで渡すとそれを大きなザックにいれ担いでくれました。雨が降るときちんとカバーや傘をさして濡れないようにしてくれます。
我々の数倍の重量を担ぎながらもスイスイと登り下りするポーターたち。こんなに荷物預けて果たしてポーターは大丈夫なのだろうか。。と心配になりますが、心配御無用の体力の持ち主たちです。日本ではこんなサービスないので(あるのかな?)、ありがたいことです。
長い登山になるので体力消耗を考慮すると自分の荷物はできるだけ軽量化することと、事前のトレーニングが大事です。
山小屋でしか使わない道具やあれやこれやを全部ポーターに預けても、ザックに飲み水やランチ、行動食、レインウェアや小物をいれるとあっという間に重たくなります。出発前に測ったら6kgほどありました。
事前にKL近郊の低山で体力作りはしたものの、重い荷物を背負って長時間登るという練習をしておけばよかったと少し後悔。
いずれにしても、山を楽しむ余裕を残すためにポーターをうまく活用することをお勧めします。

荷物を運ぶポーター

高山病対策

以前日本で立山に行った時、夫が室堂手前で軽い高山病?(二日酔い?)的なものかかったことがあったので、今回の登山で一番心配していたのが高山病です。
キナバル山山頂4095mの酸素濃度は地上の61%ほど。山小屋のある3200mでも70%ほどとなります。
低酸素に徐々に体を慣らしていく必要があり、急激に高度をあげることは危険とされます。高山病の症状がでたら高度を下げる以外の対処方法はありません。実際高山病になる人が少なくないらしく、患者らしき登山客を背負ったガイドが駆け降りていく姿も目にしました。
ツアー会社のサイトを見ると薬局で予防薬を購入できるということで、出発前にKL市内の薬局CaringにてAPO-Acetazolamideという薬を処方してもらいました(日本での商品名はダイアモックスというものらしいです)。
コタキナバル市内でも購入可能なようです。

錠単位での販売


我々の場合は、標高1800mのキナバル公園へ入る前夜から飲み始め、朝晩食後に1錠づつ、山頂アタックの朝まで飲みました。
詳しくは薬剤師さんが説明してくれますが、高所に上がる12時間前から飲み始めるなど計画的な服用が必須です。
薬以外の対策として、ゆっくり登る・深呼吸を心がける・締め付ける服装をしない・水分を十分にとる、などできることはあります。
幸い2人とも頭痛や吐き気などの症状がでることはなく、ほぼ体調万全で登れたと思います。
ただ、山小屋であまり眠ることができず、その時は興奮と緊張のせいかなあと思っていましたが、今から思えば高山病の症状だったのかなとも思ったり。
いずれにしても4000m超という富士山より高い山に挑むわけですからできる限りの対策をしていくことをお勧めします。

最後に

周りのローカルのパーティを見ていると日本の登山装備の常識とは程遠い驚くほどの軽装で登っています。
持ち物多すぎたかな?着込みすぎたかな?と少し拍子抜けしましたが、登山の備えは人それぞれの経験や体力で変わってきます。
我々は若いわけでも体力がそこまであるわけでもないので、道具やポーターに頼り、しっかり備えをすることで精神的に余裕が生まれたと思います。
キナバル山登山は刻々と変化する景色と植生がとてもユニークで、最高に美しく楽しいトレイルです。
道中必要なもの以外はできるだけポーターに預け、身も心も軽い状態で、貴重で美しい景色を楽しむことに全力を注ぐべし!です。
みなさまの登山が安全で楽しいものとなりますように!

次の記事では実際のキナバル山登山の記録を綴りたいと思います。

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