倍速視聴してるやついる??いねぇよなぁ!??
映画を早送りで観る人たちを読んだ
あけましておめでとうございます、年末年始で読んだ本がけっこう面白かったので自分なりにまとめてみようと思い書いている次第。まぁ帰省してやることなんて孤独のグルメ見るのに限られてますからね。
前提として、私は早送りで映画見たりしてない古き良きオタクポジションらしい、自称。
タイパを求める
そもそも倍速視聴者はなぜそうなってしまったのかみたいなのも著書に書かれていた。Z世代は時間がない、人との繋がりが四六時中できるようになりおすすめ作品の洪水、要点だけ抑えて会話に参加できるようになりたい等々。
これらの環境を作ったのが現在のインターネットで、SNSの普及、動画配信サービスだろう。
まずは、SNSの普及。
著書でも挙げられていたが、やはりファスト映画が大きな議論のポイントになってくるだろう。今では逮捕されたこともあり、全盛期ほど見受けられなくなったが、まだまだ「まとめ動画」の需要は大きい。
YouTubeShortsやTikTok、インスタのリールもそうだが、短時間で見られるコンテンツを見る人は年々増えてきている。その中で、何かのまとめ動画をよく見かける。例えば、2ちゃんねる、海外YouTuberの動画、自身の動画を短くまとめて続きは本編で、といったものだ。
内容すべてを言ってしまうものや、続きが気になるような終わり方にしているものと分かれている。前者は、まとめ系、後者は広告系だと分類しているが、互いに短い時間で見れるという点では同じ。これらの動画が大量に流れてくる。
そして消費者は、エネルギーを使うことなくだらだらと動画を延々と見ることができ、なおかつ嫌だったら飛ばせばいい。すでにYouTube等で自分の好きなものをカスタマイズされ提供されている状態にプラスして、余計に自分の見たいものしか見なくていい状態が加速してしまっている。
これにより、映画などの作品に対しても見たくない部分は飛ばすなどといったことが常習的になってしまっている。
次いで動画配信サービスについて。
これは本での例えを自己啓発系でみた。図書館で借りた本は雑に読んだりそもそも読まなかったりするが、お金を出して買った本はしっかり読もうとする。
映画の場合は、レンタルしてきたものはしっかり見ないと返却期限がきてしまい、お金を払ったのが勿体ない。しかし、動画配信サービスではお金を払ったらいつでも好きな時に(その映画が配信されている間は)見れるという訳だ。
ここで面白かったのが、「レンタルでは新作の方が高くて、動画配信サービスでは旧作のが高い。」と書かれていたことだ。全てに当てはまるわけではないが、アマプラを見ると新作でもレンタルしなくてはいけないものは500円くらいするが、新作がいきなり無料で見れたりすることもある。新作を追加料金なしで見れることをアピールすれば新規加入者も増えるだろう。
このように動画配信サービスの普及によって、レンタルよりも雑に作品を見ることができる環境があり、さらに日頃から見たい部分しか見ないような週間のある若者が組み合わされば結果は歴然であろう。やはり若者は仕事だでなくプライベートでもタイパを求めるのだ。
若者はサプライズが嫌いらしい
最近ツイートで「プレゼントもらったけどつかえないしいらない。前もって相談してほしい、もしくは現金」みたい内容のものを見かけたことはないだろうか。どうやら、若者はドキドキすることをストレスだと感じて避けるようだ。前もって説明して欲しいみたいな要求がありネタバレを先に受けたりと、「時間をかけたのにつまらなかった、それなら最初から内容まとめて教えてもらっておわりにする。」みたいな状況が生まれる。コスパやらタイパやらを求める若者には確かにそうだろうが、この感覚は分からない。。。
声のデカいバカ
昔の作品は、難しいものが多かったと書かれていた。確かにエヴァだったり2001年宇宙の旅、名作と呼ばれるものの中には分かりづらくマニアが盛り上げたり、考察を深めるものもあった。しかし、あまりSNSが発達していない時代ではそういった「すごい人」たちの考察や評論しか目につかなかったであろう。現代ではSNSの発達により誰でも感想を言い合える環境がある。昔でも「わけわかんなくておもんない」といった感想はあったであろうが、可視化されにくかった。しかし、バカでも発言権が容易に取得できる現在ではその声が制作陣に届いてしまっている。そのようなネガティブな意見ばっか出てしまうと困るというわけで、制作する方も大変らしいのだ。
そうなると、分かりやすく作らざるを得ない。
例えば、なろう系やラノベの名前が典型的だ。一発で分かる。また、なろう系など小説投稿サイトでは読者からの感想がダイレクトにリアルタイムで届く。これが相まって読み手の我儘がまかり通ってしまうのだ。これは作品を読み手の読みたいようにルート取りしてしまい、作者の書きたいように書けていないのではないか。
これらのせいで、作り手がより分かりやすくといった作品作りに移行してしまい、昔ながらの凝った、考察しがいのある作品は生まれにくくなってしまっているのではないか。
結局倍速視聴(Z世代)の気持ちは分からなかった
私自身、倍速で見るのは大学生の時の講義と、情報取得の時、B級ホラーぐらいだ。完全にやっていないときは言えないが、それでも少ない方だろう。倍速視聴者だって自分の好きな作品はわざわざそんなことしないだろうし、作品に簡単にアクセスできるようになり、作品であふれかえってしまっている現代だからこそ倍速視聴者がいるのだと思う。
私はそんなに流行作について話すようなコミュニティがないので、話してても知らねぇ~となるだけである。なのであまり若者よりではないのである。おそらくこのZ世代とは、学生で友達が多くて流行の話題が出やすいといった前提条件があるのだろう。私は若者ではなく、老害であることに気づいた方がいい。人付き合いしていく中で、倍速視聴して身内と話さなきゃいけないよう消費して努力しなくてはいけない。これは割と社会人になってからも周囲の人と仲良くしていく必要のある一種の処世術なのかもしれない。若者も大変なのであろう。
しかし、このような状況は別に悲観することなく、新しいコンテンツが生まれるのかもしれないと思った。小説投稿サイトの話でもしたように、映画でも読み手側の意見が取り入れられるようになるのかもしれない、良くも悪くも。時代の流れに合わせた作品などが生まれてくるのもまた面白いと思う。私は変わらず、映画館で膀胱我慢大会をしながら長時間映画を見るのは変わらないと思うが、このような「鑑賞者」ではなく「消費者」のための作品作りがされるのは少し気になる。要は飽きさせない作品や、考察やバックグラウンドの話を知らなくても楽しめる作品。
簡単に欲しい情報にアクセスできるようになり、欲望が満たされやすくなった現代、今後人間はどのようになっていくのか。身をもって実感していきたい。
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