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カフェの珈琲 その1

カフェをやろうと決めてから最初に学ぼうと思ったことは珈琲のことでした。

どこで植え付けられたのかわかりませんが、
いいカフェといえば珈琲が美味しいというイメージがあったのです。
マグカップに両手を添えてホッとリラックスしている、テーブルの脇に置いて作業の合間に口へ運ぶ一杯が妙に美味しく感じる、そんな感じです。
わざわざ行きたいと思うカフェならそれが当たり前という思い込みだったと思います。元々カフェに行くタイプの人でもなかったので。

ではコーヒーがそんなに好きなのか?と言われると、好きではあるが詳しいことを知りたいと特に思わなかった、が実際です。スタバやらドトールやら、コンビニで缶コーヒーやカフェオレを飲む、家ではカルディや成城石井で買った豆をコーヒーメーカーで淹れるだけでした。極めて一般的なコーヒー摂取のスタイルだと思います。

コーヒーの名店と呼ばれるお店については、会社が近かったこともあって銀座のランブルや奥さんの実家の静岡にあるコスモスコーヒー(南千住のバッハで修行された方が始めたお店)には行ったことがあります。ですが、特に何かを意識して行ったわけでもなく、何を基準にどう頼んだらいいのかさっぱりわかりませんでした。それこそ選挙で顔の知らない人に何となく投票するかの如く、何となく言葉の響きとか価格帯だけで選んでいました。美味しかった気はしますが、特に記憶に残ってもいないのです。ちょっといいコーヒーを飲んだ(のだろう)という体験をした気分以外は。

という状態でしたから、最初は手探りです。何から始めたかというと、とにかく幾つかのコーヒーの専門店に行ってみるということです。世の中で「良い」と評価されているものがどういうレベルにあるのか?それと同等レベルのことをやろうとすると、その難易度はどのくらいのものなのか?を知るというのがその目的です。

業界研究にも近しいかもしれません。
ただ仕事と違うのは「私がそれを好きだと感じられるか」という観点を一番大切にしようと思ったことでしょうか。
個人でお店をやる以上、誰かがやっている何かをトレースしても仕方ないですし、やるなら自分にしか気付けない視点や形でやらないと意味も意義もないと思ったのです。会社の仕事ならその大きな流れの中で全体に合わせることも必要ですが、自己表現の世界ですしね。

ひょっとしたら私はすごく珈琲の味覚音痴で、世の中で美味しいと言われるものを美味しく感じられないかもしれませんし。
こればかりはやってみないとよく分からない、でもとにかく動いてみようというところから始まりました。

次回に続く

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