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自分軸の作り方#21 〜【不登校】夫の子供返り〜

 ここまで、長男と夫のエピソードをたくさん書いてきた。
次男との関係は、というと、わりと相性がいい。

 夫が体を動かす遊びをあまり率先してやらないと以前に書いた通りだ。
そもそも次男は運動が大の苦手だし
何が好きかというと、
ゲームや、デュエルマスターズ や、ポケモンカード、ガンプラなど。
プラモデル はガンダム以外のものには興味がない。
作り始めると、集中力が半端ないので、あっという間に作り終える。

 夫もガンプラが大好きだ。ガンダムのイベントには、遠方でも参加する。
 もともとゲームも好きで、中学生の頃ハマった時期があったようだが、
小学生の頃は、ファミコンが欲しくても買ってもらえなかったらしい。
それもあって、子供がゲームを楽しんでいるのを見ると、すごく面白くなさそうにしていた。

 次男は空気を読むタイプではないので、
ゲームやガンプラについて、普通に夫によく話しかける。なので夫は、長男には冷たかったが、次男とは、次男が登校できない時期にも、よく喋っていた。

 私は、休みの日は家族でウォーキングなど、なるべく運動する機会を持つよう、働きかけていた。

 次男は、家にいるときは、黙って本(主にゲーム攻略本)を読んでいることが多く、口数が少ないのだが、ウォーキングしている時には、すごくよく喋る。
 
 ある時「歩きに行こう!」と誘うと、夫は、ガンプラをたくさん置いている少し遠い店まで歩こう、と言い、次男もそれに賛成だった。2人は並んでお喋りしながら歩く。

 その時、長男は父親を避けて、私と並び父親とかなり距離を空けて歩くので、それについても夫は不満そうにしていた。

 夏休みに「いつも3対1だ」と言った夫に、そのときは んなもん自業自得だよ💢と怒りを感じた私。でも、よく考えたら、仲間外れにされて寂しいって訴えている言葉だと気づいた。

 少し反省した私は、4人で歩く時には夫と並ぶことにしたのだ。
 そういえば。
 長男と夫が険悪になり始めた時、夫に「外に行こう」と誘われて、2人でウォーキングに出かけ、途中で見つけたお洒落なブックカフェに「ここ、入ってみようか」と言われて入ったことがあった。
もともと私も本は好きだし、ブックカフェは初めての経験で、素敵だなぁ、と思ったんだけど、
家に置いてきた子供が気になってしまい、1時間も落ち着いて本を読んでいられない。文字は追ってるけど、頭に入らない感じだった。

 子供のことばかりに関心を寄せる私の態度がなおさら夫の不安や不満に繋がったんだろうと思う。

 コンプリメントトレーニングに申し込むとき、夫に「とりあえず頑張りたい、本を読んでみて欲しい」と伝えて渡したけれど、読んでいる様子はなかった。
「お金払って本当に登校できるようになるなら、やってみれば」と、人ごとのように言っていて、夫は全く自分とは無関係なことのように振る舞っていて、私は一人で頑張っていると思っていた。

 思えば反対せずに私の意向を尊重してきれたんだな。
不登校ビジネスに引っかかったと疑うことなく、私を信じてくれていたんだな。
自分は働いて家族を養うことを、自分のできることとして頑張っているんだな。
そう思うことができるようになってきた。

 「親の、ものの見方、考え方、行動の仕方が変わる。」コンプリメントトレーニングの中で、何度も語られることだけれど、

 自分の気持ちと、子供の気持ちばかりに目がいって、すごく視野が狭くなっていた。
夫の良いところに注目するようになると、自分の心にも光が当たって、見えなかったものが見えるようになった感じがする。

 自己啓発系の本には、
「人と過去は変えられない、自分と未来は変えられる」と、よく書いてある。

 何冊読んでも、読んだ時は「そうか!」と、やる気になり、頑張ろうとするが、自分のクセを変えることは至難の技だ。時間と共に忘れ、いつも三日坊主になっていた。
でも、
子供のこととなると、頑張れるものだ。
考えるだけでなく、意識するだけでなく、
具体的に「言葉にする」「ノートに書く」という、アウトプットを繰り返して定着させるので、この方法はすごく有効だと思っている。どんな言語も習慣も、アウトプットして身につくのではないだろうか。

自分の見方を変えること。
良いところだけを伝え、
それ以外のことは、言わないこと。
簡単ではなかった。
どちらかと言うと、「言わないこと」の方が、苦しくて辛かった。

これもよく言われている言葉だけど、「何をするか」よりも、「何をしないか」の方が、大切なんだと思う。

トレーニングは、90日。
それからも続けたコンプリメント。

夫への歩み寄り、
夫を観察して、良いところを見つけて言葉にする。
最初の一歩は、自分の感情との戦いが激しくて、踏み出すのに覚悟が必要だったけれど、転がり始めると、慣性の法則で、気持ちも言葉も動き出すものだ。

夫に自信の水が溜まってくると、
夫の闘争逃走反応が、薄れて行った。
攻撃性が弱まり、仲間意識が芽生えてくる。
そうすると、夫の放つ不機嫌オーラが消えて、
子供達の気持ちがリラックスしてきて、
子供達に、一歩進む気力が湧いてくる。

そんな流れが、我が家に生まれ始めた。

10月に長男が急に登校し始めたことも、夏休み以降、家庭内の雰囲気が柔らかいものに変化したことが大きいのではないかと思っている。

 夫は長男の合唱コンクールのビデオを、一番よく取れる場所はどこか探して、すごく嬉しそうに撮影していた。それを見ている私も、すごく嬉しかった。

 コンプリメントトレーニングに期待していなかった夫のも、さすがに認めざるを得なくなったようで、
時々子供達に「おお、すごい力があるね」と口走るようになってきた。

そして…
夫も、急に子供返りを見せた。
赤ちゃんみたいにはならなかったけれど、
悪ふざけする小学生男子みたいになった。

へんな駄洒落や冗談を、食事どきに連発し出した。

そして私にちょっかいをかけてくる。
食事の支度をしている私の背後にそーっと近づいてきて、
「カンチョー!」って指を立てて、お尻に突き刺しにくる。
「ちょっとぉ!何すんの」
と言うと、ヒャッハーと笑いながら逃げて行く。
それを見て、私も笑う。

君も一緒に遊びたかったんだね。
すごく遅い反抗期だったのかな。

我が家の長男は、実は夫なのかも知れない。
子育ての日々は、まだまだ続くのであった。

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