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自分軸の作り方#19〜【不登校】「過干渉な妻」を手放す覚悟の夏〜

「自分軸の作り方#17」で、私の誕生日に、夫と長男にハグのお願いをして、二人が抱き合った話を掲載したが、そこまでの道のりについて、語ってみたいと思う。

 夫の、子供に対する態度に首を傾げることが多かったのは、子供がまだ小さかった時からだ。面白がって子供をコントロールしようとする面があった。

 夫は、首をかしげて「ありがとー」と、かわいく上手に言えるようになった長男に、可愛いから、嬉しいからという理由で「ありがとーは?」と、何度も言わせていた。1回や2回ならまだ許せたけれど。7回も8回も続けて「ありがとうは?」とリクエストして、ありがとうを言わせる。

私は、「ありがとう」は、誰かに感謝の気持ちを伝える言葉、コミュニケーションを結ぶために使う言葉なので、大切にしてほしかった。

だんだんイラっとして夫に「そんな何回も何回もありがとう言わせなくてもよくない?」と、言ったことがある。でも、なぜ私がイラっとしているか、伝わっていない様子で、黙り込んだ。

 夫は、子供たちが低学年の頃から「親がコントロールして勉強できるように、ある程度レールをしいて導いてやらないと、勉強するようにはならない。それが子供の幸せだ」と言っていた。休みの日も、宿題ができるまでは出かけないぞと言って、目の前に座って宿題ができるのを、難しい顔をして監視する。それで出かけるのが遅くなると「宿題をさっさとやらないから、せっかくの休みなのに」と責めた。

 勉強ができる子に育てるための雑誌類も、よく買って読んでいた。

 幼いうちは、もっといっぱい遊んで伸び伸びとさせてあげたいと伝えてみたが、夫は自分が学歴がなくて社内でどれほど苦労してきたかを主張してくる。私は会社勤めをしたことがないし、男社会は厳しいのか、と納得して、夫の方針に従った。

ときどき私が広い公園に誘い、ボール遊びをすることはあったが、夫は、あまり体を使った遊びを好まない。自分から子供を公園に誘ったことが、ない。夫の父親も、孫と遊ぶことはなくて、自分の好きなことを黙々とやるタイプなので、夫は自分の父親と遊んだ体験が、少ないようだ。

 長男が低学年の頃、スキー場に行ったこともあるが、ゆっくり待つのが苦手な夫は、すぐダメ出しをするので、子供たちが全然楽しそうじゃない。雪を掘って遊ぶほうが面白い、と言って雪を掘り出すと、「せっかくスキーに来たのに」と機嫌が悪くなる。子供と私が三人で雪遊びをし、しばらくすると一緒に雪だるまを作って楽しそうになるので、私がホッとする。なんとなく、遊びに出かけてもいつも緊張してしまうのが常だ。

 私自身、小中学生時代ほとんど勉強しない子だった。進路を決めた高2から急に猛勉強し始めたスロースターターだったし、親に勉強しろと言われて、できたためしがなかった。私は医療従事者で、医療の資格を取れば就職はできると思ったので、何か資格を取ればいいと思うよ!と伝えるが、医療従事者にはあまり魅力を感じていないようで、いい顔をしなかった。「目標が定まったら、人間ってやる気が出てきて、すごい集中力が発揮されると思うよ」と伝えてみたが、夫の理解は得られない。どうも、大企業のエリートにしたいようだ。幼いうちに留学させたほうがいい、ということもすごく主張していたが、子供たちは嫌がっていた。

 そして子供たちがコロコロコミックや、少年ジャンプを読んでいると不機嫌だった。そんなことをしている暇があるなら、塾の宿題に取り組めよ。という態度。

その理由としては、夫の幼馴染のH君のケースを挙げていた。小学生の頃からコロコロコミックや少年ジャンプを買い、いつもそれを読んでいた。そしてH君は現在、定職に就くことなく、半ニート生活を送っている。(当時、自分は欲しくても漫画を買ってもらえなかった。)

なので、コロコロコミックと少年ジャンプを読み続けていたらニートになるかもしれない、と恐れている。

私は、「いったいコロコロコミックや少年ジャンプが何万部売り上げていて、そのうちの何%がニートになっていると思う?日本一売れている漫画だよ?私も小学生の時は漫画ばっかり読んでたよ」と伝えてみるが、ジャンプ→ニートの呪縛は、なかなか彼をとらえて離さない。

そして、長男が小3、次男小1の頃。

子どもたちの日曜の朝のお楽しみは、仮面ライダーを観ることだったが

「仮面ライダーはもう、卒業でいいんちゃう?」と、息子たちに言いはじめた。もう3年生だし、いつまでも仮面ライダーっていう年じゃない。そろそろ勉強に本腰を入れたらどうだ、みたいな話だった。

 「仮面ライダーなんて、満足するまで堪能したら、勝手に卒業するものでしょ」とも伝えてみたが、まったく響かない。それまで仮面ライダーベルトを嬉々として並んで買ってくれた父親。でも、子供たちに働きかけて早々にオーメダルや、ガイアメモリを箱に入れさせ、押し入れにしまっていた。
 転居してから、夏休みや冬休みに帰省した時に子供達は仮面ライダーベルトを押し入れから出して遊んでいた。本当はもっと遊びたかったんだなーと、可哀想に思っていた。

「コントロール」「レールを敷く」今その言葉を聞くと、ちょっと寒気がする。

 思春期の子供が、なぜ反抗するかって、自我の目覚めとともに、親の敷いたレールに乗せられていると感じることや、コントロールされていると感じることにいら立ち、「俺は親の思い通りにはならねえよ!」という気持ちが噴出するためだろう。

 夫は親に反抗しなかったらしい。反抗できなかったんだと思う、と以前にも書いたが、最近聞いた話によると、勉強できないと叩かれたりしていたらしい。そして、夫の姉が優秀だったので、「お姉ちゃんはよくできるのになあ」「男と女が逆だったらよかったのになあ」と、現代では炎上しそうな内容の言葉を、親や親戚一同から、投げかけられていたようだ。

夫は子供に手を上げることはないが、思い通りにならないと、とにかく不機嫌になり、目が怖くなり、子供はよく「お父さんは睨むから怖い」と言っていた。

 話は長男が中1のころに戻る。夏休みには自宅に帰省し、夫のお盆休みが始まると、姑とともに家族でドライブに行った。外の景色を見ながら、いろいろお喋りをしていたが、運転中の夫に長男が「ねえお父さん」と言っても、返事をしないことがあった。夫は母親にはすごく気を遣って、すごく優しく、助手席の実母と喋っている。

そんなふうに、父親に無視されるし漫画を読めば睨まれるので、子供たちは、近所のゲームセンターに遊びに行くときには私だけにそっと行き先を伝えて出かけた。そうすると、「子供たちはどこへ行ったんだ」と私に聞いてくる。

「遊びに行くって言ってたよ」「どこに」「さあ」「どうせゲーセンだろう。知ってるんだろ。知らないふりして」と攻めてくる。

「気になるなら自分でどこに行ってきたか、聞いてみたらいいじゃん」

というと、

「話しかけてこないのは子供の方だ。いつもコソコソお母さんとだけ喋って。

いつも、3対1になる」


その時、私の心にどんな思いが渦巻いていたか、想像していただけるだろうか。

 子供たちからすると、話しかけても無視されるし、楽しく漫画を読んでいたら睨まれるし、お父さんに見つかったら何を言われるかわからないから、仮面ライダーベルトもこっそり出して遊んでいる。自分がどれほど威圧的か、子供の気持ちになって考えてみたらいいのに!

 怒りとか、悲しみとか、残念さとか、複雑すぎて表現するのは難しいけれど、とにかく、この人がこんなだから、子供の心を私が守らなくてはいけない!とすごい使命感を感じていたのを覚えている。

こんな私の煮えたぎるような思いを沈めてくれたのは、ふと思い出した親の会の先輩ママさんの言葉だ。

「夫に対して、もっと協力してくれたらいいのに、と思っていたけれど、それが夫に対する過干渉だと気づいて、過干渉をやめたら、夫がすごく、いいアドバイスをしてくれるようになったんです」

そうおっしゃった方の言葉。

このこじれまくった父と子の関係をいったいどうしたらいいのかと考えた結果、

私の知っている方法、一つしかない。夫にも自信の水を入れることだ。

 夫が子供のことを何か言う度、私の感情は煮えくりかえっていて、

まるで卵を産んだ親のカラスが、巣に近づく者を大声で鳴きながら、つつきまわして威嚇するような、攻撃的な気持ちでいっぱいだった。

そんな思いで、「夫の良いところをみつけてそれを言葉にする」なんて、  ・・・。だけど!

こぶしをキュッと握った。

だけど、もうこれしかない。それが親子関係の立て直しに必要だから。

私は子供を守ると決めた。子供に自信の水を入れると決めた。

だから、この人にも、自信の水を入れる。あの子たちを守るために。

そう覚悟を決めたのは、長男中1・次男小5の、夏のことだった。

⬆️私が思い出した、「夫への過干渉」という言葉を親の会で伝えてくださった、先輩ママさんの記事です😊


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