見出し画像

入院振り返り日記 その2


私の病室は4人部屋でした
殆どの人が手術で同室だったので 後から入っては先に退院してしまうので
結果的に いちばんの古株になってしまいました

九月の半ばに新しく入ったMさんの第一印象は強烈なものでした
何故 このベッドなのか?から始まり延々と看護師さんに苦情を訴えていたからです
そもそもこの病院には来たくなかった
明後日が誕生日で 本当なら誕生日は自宅で過ごしてから入院する筈だった、等

苦情が収まる気配は無く声のトーンは荒ぶる一方だったのですが
そうか もうすぐ誕生日なんだな、と思った私はもう一人同室になった方に
そっと相談して
Mさんに誕生日のお祝いのメッセージカードを一緒に書きませんか?と
声をかけてみました

それが 殆どお話させて頂くきっかけにもなったのですが
9月18日の朝、お誕生日なんですね、とメッセージカードを渡したのです

Mさんは驚きつつ喜んでくれたようで そのカードをテレビ台の棚に
張り付けて飾ってくれました

それからも Mさんの苦情は特にトーンダウンするでもなく
うるさいおばさん、と自虐しつつ看護師さんに延々と訴える日々が
続きましたが
なんとなく そういうキャラなんだな、と慣れてきて
同じ病室で過ごした患者さんの中では一番長い時間を過ごす事になりました

ガンが分かってから辛いとか 悲しいと感じて泣いた事は一度も無いのですが
退院する時にMさんがくれたメッセージカードを見たときは
ポロポロ泣いてしまいました

そこには ずっと一緒にいたいけど、、、
という言葉があったのです

本当はMさんは不安で仕方なかった
不安ゆえに毒舌という鎧で武装していたのだと思います

Mさんが 純ちゃんが同じ病室じゃなかったら
本気で脱走していたかもしれない、と笑いながら言ってくれて
最初に勇気を出してカードを渡せて良かったなと思いました

ところで、入院中

病室には洗面台があったのですが
私はあまり鏡を見ませんでした

そこに映るのは どう見てもやつれている
ちんちくりんな自分の姿

病院の説明では化粧はしないで下さいという事だったのですが
患者さんの中には 明らかにちゃんとメイクしている方も見受けられます

女性である以上、皆 本当は少しでも綺麗にしていたいのかもしれない

私は「美しさ」について
ぼんやりと考えていました

鏡に映る自分は美しさから程遠い

けれども そんな分かりきった事では無い
美しく生きるって どういう事なんだろう、、と

Mさんのお誕生日から1か月

今日は純すけの誕生日

誕生日には 退院祝いと兼ねてご馳走を食べよう、なんて
計画していたのですが 
実際は 食欲はなく まだまだへべれけです

それでも金木犀の香る この季節に生まれて
また 誕生日を迎えられたのだなと この夏の出来事を
振り返りつつ
側にいてくれる家族に感謝の気持ちでいっぱいです

結局のところ
人からどう思われる、でなく
自分がどう生きたいか?なのです

外見的な美しさはこれっぽっちも無い私

これからの人生
どれだけ身近にいてくれる19も年下の旦那さんに
恩返しできるのだろう

やれやれ、といったところですが
とりあえず


happy  birthday  to me


そして
過去の記事だけでなく 私がフォローしている方へのコメントにまで
スキをつけてくれるフォロワーさん

本当にありがとうございます

私は そういう方の心に美しさを
思ってもいます


******

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?