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あるステーキ屋への憧れ

今回紹介するのは鬼頭宏昌さん著の「小さな飲食店成功のバイブル」(インデックスコミュニケーションズ)です。

この本そのものもいいのですが、私はこの本の中に出てくる「ステーキ屋さん」に飲食店経営の原点であり究極の姿を見る気がして、とにかく勝手に憧れています。この本ではステーキ屋さんのことをこのように紹介しています。

・・・以下抜粋・・・

「~前略~これといった特徴のない洋食店を、専門店化により特徴を持たせることで、商圏を広げる戦略に打って出たわけです。当時、客単価数百円の洋食店を、客単価1万円以上の高級ステーキ店に業態転換したわけですね。【遠くからわざわざ来る店にしたかった】と当時の心境を店主は語っていました。もちろん、業態転換直後は集客で苦労したことと思います。しかしカウンター15席のみで客単価1万5千円程度と思われるこのお店は、ほぼ毎日、すべての席が埋まっています。~中略~一人1万5千円もするような店にはなかなか新規客は来ないので、口コミしてもらえるような店になることは至上命題です。そのために、ステーキ店の命である肉の品質には徹底的にこだわっていますし、原価率も相当かけていると思います。どう見ても50%以上はかかっているのではないでしょうか。おそらく、同じレベルのステーキを、他店で食べようと思ったら、倍近い値段がかかることは間違いないと思います。市場は価値のあるものを必ず評価します。すなわち価格に対して、はるかに価値の高い商品を提供することができていれば、いつか必ず経営は軌道に乗ると思います。そして、そのように本当に価値のある飲食店の口コは、空間を飛び越えていきます。
~中略~
飲食店の価値の本命は常に商品ですので、個人店ではあれば、戦略的に原価率をかけることで価値向上を狙うことが商圏を広げる最短距離だと思います。
~中略~
そのステーキ屋はオープンして30年以上たちます。普通に考えても30年以上と聞いた時点で、下積みが長かったことは察しがつくかと思います。しかし地道な努力を続けてきた結果、追加投資で店を綺麗にした様子も一切ない、かなり古い店なのですが、いまだにお客様は確実に来ています。常連客が多数を占めていますので、お客様が来ないと悩むこともなければ、フリーペーパーにクーポンを出して必死に客を集めることもないのです。ああいった姿を見ると、純粋に羨ましいと思います。売れない時代から30年以上、毎日最高のステーキを提供することだけを考え、お客様の満足を追求してきたことのご褒美を受け取っているようにすら見えます。私にはあの店主が飲食店経営の最大の成功者に見えるときがあります。大きなお世話ですが、収入と気苦労のバランスが著しくいいわけです。」

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どうですか?このステーキ屋行ってみたくなりますよね?

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