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友人とカフェをやっています。

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カフェの扉の向こう【0】

扉が開く。カウベルがカランカランと鳴る。 私たちにとっては日常。お客様にとっては少しの間の非日常のひとときとなりますように。 昼の時間、そこはあたかも食堂のよう…

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3年前
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父が呼ばない私の名前

私はひとりっ子だ。ひとりっ子として育った。 でもある時、ひょんなことから腹違いの姉妹がいる事を知った。父の契約している生命保険の書類を見たときだ。知らない名前が…

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3年前
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カフェの扉の向こう【0】

カフェの扉の向こう【0】

扉が開く。カウベルがカランカランと鳴る。

私たちにとっては日常。お客様にとっては少しの間の非日常のひとときとなりますように。

昼の時間、そこはあたかも食堂のような賑わいになる。ひと種類しかない、月替わりのランチメニューが人気で毎月訪れてくださるお客様が多いからだ。

夕方近くになると、ぐっと静かな空間になる。

毎日訪れるような常連の方はいらっしゃらないけれど、好きなお席に足を運ばれるお客様の

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父が呼ばない私の名前

父が呼ばない私の名前

私はひとりっ子だ。ひとりっ子として育った。

でもある時、ひょんなことから腹違いの姉妹がいる事を知った。父の契約している生命保険の書類を見たときだ。知らない名前が記載されており、続柄が「子」となっていた。

「どういう事?」と聞いた。「認知しているから。」と一言だけ返ってきた。30年ほど前のことだ。

それから私は結婚して息子を生んだ。息子が小学生になった頃、自営業だった父の仕事用の車にキズがつい

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