「星のせいにして」エマ・ドナヒュー著
文学ラジオ第73回の紹介本
「星のせいにして」
エマ・ドナヒュー 著
吉田育未 訳
河出書房新社
100年前のスペイン風邪が大流行したダブリンを舞台にしたパンデミック小説をご紹介します。隔離病棟で妊婦のために孤軍奮闘する看護師の視点から語られる痛切な物語。今のコロナの状況や世界情勢と重なる部分があり、不思議な気持ちになりました。
看護師の主人公ジュリア・パワーが過ごす三日間を臨場感のある文章で描いています。スペイン風邪に疾患した妊婦の過酷な出産があったり、当時の貧困や信仰による理不尽な出来事があったり、読むのがつらい場面がありました。それでもジュリアが一つ一つの命に向き合う姿には心打たれるものがあり、ジュリアの周りの魅力的な人々の存在は救いでした。重たく、しかし美しい小説でした。
ラジオではネタバレなしで小説の簡単なあらすじや魅力、印象的なところを紹介しています。またテーマトークは「100年後の2122年に2022年を描いたら、どう映るか?」を話しています。ぜひお聴きください。
本書のあらすじ
1918年、アイルランド・ダブリン。スペイン風邪のパンデミックと世界大戦で疲弊しきったこの街の病院に設けられた〈産科/発熱〉病室には、スペイン風邪に罹患した妊婦が隔離されていた。孤軍奮闘する看護師のジュリア・パワーのもとへやってきたのは、秘密を抱えたボランティアのブライディ・スウィーニーと、テロリストと疑われる医師のキャスリーン・リン。死がすぐそばで手招きする、急ごしらえの小さな一室で、彼女たちは生命の尊厳を守るために闘いつづけた――
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