半年間働いて分かった、アメリカビジネス文化の好きなところ5選
どうも、世界と人間のすべてに興味のある男@シリコンバレーです。
英語も投資も事業開発も全くの未経験。
28年間、日本でぬくぬくと育ってきた”純国産”の男が、ビジネスの最前線であるシリコンバレーにきて、はや半年が経った。
草野球をしていた人がいきなりメジャーリーグに来てしまったような感覚で、初めの3ヶ月はサンキューとソーリーを繰り返しながら、米人の投げる"豪球"に"号泣"する毎日。最近、ようやく球速に目が慣れてきて、バットを振れるようになってきた……気がする。
ただ、今でも辛いのは、こちらから質問をしたのに、相手が何言っているかわからないとき。
向こうからしても、「は?お前が聞いてきたんだろ」って感じだ。
僕の感覚では、相手が分かっていなさそうと思ったら、多少ゆっくり話すとか、簡単な言葉で言い換えるのが普通なのだけど、こっちでは同じスピードで、同じことを言ってくるから、1回聞き取れなかったものは2回聞いても無理。
とまぁ、色々と苦労もあるけれど、米国ならではの良いところもたくさんある。
そこで、今回は半年間働いてみて分かった、米国のビジネス文化の良いところを5つご紹介したいと思う。
1.ファーストネーム&ニックネーム呼び
こちらでは、相手を呼ぶときは初対面でもファーストネームや、ニックネームだ。
日本では社内でさえも、基本的に苗字+さん(場合によっては苗字+さまもある!)が多いと思うが、ファーストネームやニックネームで呼び合う文化ができたら、それだけで、一気にコミュニケーションは活発化するだろう。
また、苗字に戸惑うことも減る。世の中には、"五十山田"さんや、"金玉"さんなど、(いろいろな意味で)読みづらい苗字の方がいる。取引先に"神"という苗字の方がいたが、仏教徒の僕にとっては、「神さま」という宛先は何となく抵抗感があった。
こんな時にも、ファーストネームやニックネームがあれば、事故を未然に防止できて便利だ。
もちろん、敬語もないから「ご足労をいただく」のか「ご足労をおかけする」のかとか、「御社」か「貴社」か、とか、無駄にややこしいことを考えなくてもいい。
2.無駄なく簡潔なメール
次の文章を読んでみてほしい。日本でよく見かける、ビジネスメールだ。
いったい何度、お世話になったら気が済むのか。
これを要約すると、
"Thank you."
以上だ。
何ということだろう。新入社員が1時間かけて得意先にお礼のメールを書いて先輩に添削をお願いしている間に、米国では1件商談を決めている。
そもそも、米国の場合、まずこういった表敬的なメールは送らない。日本の生産性が低いといわれる理由の一つに、こうした無駄に長くて中身のないメールが多すぎることは間違いなくあると思う。
3.名刺よりLinked-in
入社してすぐにビジネスマナーとして叩き込まれるのが、「名刺交換」。
「いいか!名刺はお相手の"顔"だ。相手の顔を扱うように、丁重にしなさい」
先輩上司からこんな風に教わる。
冷静に考えると、"相手の顔を扱うように"っていうのがどういうことなのか、ピンとこない。
が、とりあえず「はい!承知しました」と答える。
名刺=顔を扱うときの主なルールは、こうだ。
名刺(顔)は両手で扱う
名刺(顔)に書かれた文字が隠れないように端を持つ
名刺(顔)は折り曲げたり、汚したりしないようにする
名刺(顔)は胸より上の位置で扱うことを心掛ける
名刺(顔)は役職順に交換する
商談中は、一番偉い人の名刺(顔)をケースの上に置いておく
顔に置き換えてみても、やっぱりピンとこない。
第一、顔を汚すなとか、交換するとか。
アンパンマンが脳裏にちらつくのは、僕だけだろうか。
とにかく、無茶苦茶効率が悪い。
名刺を無くしたり、忘れたり、切らしたり。
受け取った後も、管理するのが大変だ。あの人の名刺どこいったっけ、というようなことになったり、メールアドレスを打ち間違えたりする。1年も経てばその人が別の会社に転職していたりして、メールがエラーで返送されることもしばしばだ。
そこで最近は、名刺を電子化するツールが出てきているが、僕は声を大にして言いたい。
最初から電子で良くないか?
米国ではLinked-inというビジネス用のSNSが発達しており、ネットワークのイベントにいっても、ほとんど名刺交換せず、Linked-inで繋がって終わりだ。名刺よりはるかに多くの情報を入手できるし、管理も容易だから日本でも普及して欲しい。
4.最少人数・最小時間で終わる会議
米国で会議に出て、よく聞かれるのが「あなたの役割は何?」だ。
会議に出ているからには、何かしらの役割があると考える。僕の場合は事業開発担当とITマネージャーだから、会議に出るとしたら、どちらかのキャップをかぶって出ることになる。当然、会議中にもバンバン質問が飛んでくるし、一言も発しないなら、存在価値がないとみなされる。
カメラとマイクをオフにして、パンツ一丁で鼻くそをほじって漫画を読んでいるおじさんはいない。
特にシリコンバレーでは、"スタートアップ・ファースト"の精神で、彼らの時間を無駄にしてはならないとの意識が強い。スタートアップは基本的に半年とか1年しか命(資金)がないから、1回の面談に勝負をかけている。稟議に3ヶ月かかって、その間、役職の違ういろいろな人に同じ説明を3回も4回もさせた挙句、稟議が通らずごめんなさい……では済まない。あっという間にシリコンバレーの狭いコミュニティの中で噂になり、信用を失ってしまう。
ゆえに、会議には必要な役者をなるべく揃えた上で、その1回で最大限、必要なジャッジをする。恋愛と同じで、断る場合も、すぐに断ってあげるのが礼儀だ。それは彼らの時間を尊重することになる。
もちろん、日本の会議でありがちな、「では、今後ともよろしくお願いします」という、結局だれが何をお願いされたのかよく分からないことも、ない。そもそも、英語に日本語のような「宜しくお願いします」という言葉に該当するような訳語が存在しない。お願いするなら、「誰が・誰に・何を」を明示しなくてはならないような、言語体系になっている。
5.仕事より家庭を大事にする
人にもよるが、傾向として、そういう文化があるように感じる。
職場のデスクに、家族の写真を飾っているひとが多い。僕の職場でも、どんなことがあっても自分の家族を最優先するようにとのルールがある。長期休暇をとって家族と旅行に出かける人の割合も、日本よりも多いような気がする。
また、こちらではペットも家族の一員として、犬や猫の人権(ひとではないが)がより広く認められている点も魅力的だ。犬や猫を連れてきていい職場が多いし、お店やホテルなんかも、たいていのところがペットの連れ込みOK。
今これを書いている時にもちょうどカフェにワンちゃんが入ってきて癒されている。
ただ、聞いていたよりも、仕事をめちゃめちゃやる人が多い印象で、9時-5時で働いてあとはプライベートの時間、という感じではない(業種にもよると思うが)。
基本的には無茶苦茶はたらきつつも、何かあれば家庭を最優先するという感じか。
その他
そのほかにも、能力と収入がちゃんと比例するところも素敵。僕の所属する会社には、社内の自動販売機のドリンクの発注管理の仕事がある。そして、その仕事を管理する課長がいる。課長だから少なくとも、1500万くらいはもらっていると思われる。これも大事な仕事には違いないが、ウェルチにするか、なっちゃんにするかを考える仕事の対価としては、ちょっともらい過ぎてしまっているだろう。
また、転職もしやすい。面接の際に給料の交渉をすることも、普通らしい。能力と収入が結びつくから、会社をやめてMBAを取ったりして能力を高めて、さらに良い職に就く、みたいなこともしやすい。
シンプルだけど、理に適っている。
だけどこういうのは、その国の国民性みたいなものとも密接に関係するから、日本でやってうまくいくのかは正直分からない。
だから、どっちが良い、悪い、ということではないけれど、僕はビジネス文化という点ではアメリカが合理的で、好きです。
ただ、生活するには、色々と大変なことがあり、やっぱり日本文化っていいなぁと思うところもたくさんあるので、次回は生活に焦点を当ててみたいと思います。
ではまた!
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