日本で食べるマクルーバ⑤東京・神田「アルミーナ」
12月2日から始めたアラブの炊き込みご飯、マクルーバの食べ歩きも、はや5回目になった。マクルーバといっても、店によってかなりバリエーションがあることが段々わかってきた。「飽きるんじゃないか」という指摘もあったが、いまのところそうした感情とは無縁だ。今回は、東京・神田のパレスチナ料理店「アル・ミーナ」へと向かう。
ここのものは、長粒米を使い、スパイスはおだやかめ。肉は鶏肉のみ。カリフラワー、ニンジンなど野菜もたっぷりはいっていた。オーナーシェフのシャディ・バシィさんがみずから、ボウルをひっくり返してくれた。底にナスが貼り付いたのは、ご愛きょう。
これまで食べたものと違うユニークな点は、トッピングだった。香草ディル、ザクロ、ザクロソース、正体不明の黄色いソース、そしてフライドオニオンをたっぷりと。ナッツ類はのせなかった。別皿でもってきてくれたヨーグルトソースにもディルが入っていた。さっぱり感をかもしだした。
下の写真が、マクルーバにかけるためのヨーグルトソース。ディルを使ったことで、ヨーグルトのコクや酸味に加えて、さわやかなハーブの味わいが加わる。ご飯の上にトッピングしたうえにかけるので、「追いディル」といってもいいかも知れない。
サラダは、揚げパンを刻んでふりかけた、パレスチナを含むシリア地域でポピュラーな「ファットゥーシュ」と呼ばれるもの。揚げパンのカリカリ感と、青菜のみずみずしさが調和していた。ここにも香草ディルがふりかかっている。
前菜のディップ類を紹介する。ひよこ豆ペーストのホンモス(フムス)、オリーブの実を細かく切ったもの。さやいんげんの煮物。など。白い薄型パンにつけて食べた。
デザートは、食感がユニークなセモリナを使った「バスブーサ」というアラブの焼き菓子。生クリームが添えられていた。紅茶は、ハーブの「タイム」が入っていて、変化球。なかなか味わいがある。この店にはアルコール飲料は置いておらず、食中のドリンクには、ノンアルコール「レモネードモヒート」を頼んだ。ミントの代わりに大葉が使われていたのも面白い。
話が前後するが、アミューズとして、デーツにバターをはさんだものが出てきた。こういう食べ方、初めてみた。でも、よく考えると、レーズンバターが美味しいのだから、何の不思議もない。心にくい演出で、家でも試してみたい。使っていたのは、ヨルダン川西岸ジェリコ産の大ぶりなデーツ。バシィさんは、はイスラエル北部ハイファ出身のパレスチナ人だ。
デーツ・バターをアミューズにしたり、ノンアルコール・モヒートに大葉を使ったり、マクルーバにディルをふりかけたり、とシェフのオリジナリティーを随所に感じさせる店だった。他の料理もそうした仕掛けがありそうで、また改めてパレスチナ料理を楽しみに行ってみたいと思ったのだった。
マクルーバの食べ歩きのほうは、年内はあと一回。来年1月中に10店を制覇しようと思っている。こうご期待。
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