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乾いた国からやって来た猫

猫という生き物は、どんな環境でも、淡々と生きているような感じが、なんとなくあるから、多分、湿度の変化にも十分対応できるんだろう、と思っていた。でも、本当のところはどうなのだろう。

3匹の元捨て猫が日本にやってきてもうすぐ2年半がたつ。

エジプトの首都カイロと日本の東京と、実は夏の気温は、体感気温でいえばそれほど変わらない。カイロは、湿度が低く、東京は湿度が高いからだ。

東京の、特に今の季節、つまり梅雨の時期の湿度は、人間であっても辛い。特に、エジプトのものすごく暑いけれどもカラッとした夏を過ごしたことのある場合は。ましてや、エジプト生まれの猫だ。全般的に湿度が高い東京での暮らしは、体質に合わず、とても厳しい環境なのではないのか、と時々想像したりもする。

この3匹の猫の正確な生年月日はわからない。2014年7月下旬に、カイロのナイル川の中州の島、ゲジーラ島の路上に捨てられていたのを保護した。一緒に野菜かごの中に入っていたので、きょうだいなんだろうと理解した。勝手に、この記事の表紙の写真の順でいうと、右から「喜美」(よしみ)、「小梅」(こうめ)、「寛平」(かんぺい)と名付けた。

かつての「みんなの党」の党首だった政治家の髪型に似ていたので「喜美」。鼻が小さな梅干しのようだったので「小梅」。なんとなく、関西のある芸人に似ていると思ったので「寛平」。とそれぞれ命名した。この夏、4歳を迎えることになる。

毎日のことだが、朝からカンカン照りで、このまま放置したら、数時間で死んでしまうのは明らかだった。

捨てられているのを見つけた以上、ほかに手段もない、と思い、保護することにした。カイロのアパートには、幸い1部屋、ほとんど使っていない部屋があったので、将来はそこを3匹用に使えるだろう、と思った。

缶入りの粉ミルクを哺乳瓶にいれてあげたら、何とか飲むようになった。

家には、以前イランに住んでいた時に拾った猫一匹がすでにいた。3匹と仲良くなりそうもなかったので、別の部屋にいてもらうことにした。

ドアを網戸にしたら、風通しもよくなり、結構、快適そうな住環境になった。2014年のエジプトの夏は、例年にない猛暑で、たまに体調を崩すこともあったが、子猫たちは、すくすく成長していった。

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