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カフェバグダッドと日本SNS発展史⑨(了)--SNSからZINEへ

さて、SNSからみたカフェバグダッド活動の振り返り連載も、これで最終回。Tik Tokとか、Threadsが登場するのか、と予想している方もいらっしゃるかも知れない。

しかし、実をいうと、この2つのSNSについては、あまり言及することがない。Tik Tokに関していえば、まず、動画というものが苦手なので、手も足も出ないという感じだ。Threadsについていうと、Twitter(X)の代替とした期待されていたこともあったのだろうが、現在のところ、シフトする強い理由が見当たらない。

ということなので、特定のSNSプラットフォームについて、語る対象になるものは、もはやなさそうだ。

この連載の最後に、あえて言及するべきことがあるとすれば、ZINEについてだろう。「ZINEはSNSじゃないよね」という声が耳鳴りのように聞こえてくるが、ある意味、ZINEについて考えることは、SNSについて考えることでもあるような気がしている。

ちょっとZINEを始めた経緯から振り返ってみる。初のZINE制作は2021年6月。「カフェバグダッド・アンソロジーvol.1」という、中東についてのエッセイ集のような冊子。これは、どういうタイミングでの制作だったかというと、「文学フリマ岩手」の開催に合わせたものだったのだ。

当時、私は岩手県に住んでいた。文学フリマというイベントがあることを知り、そこに、ZINEを作って出品したら面白いのでは、と思ったのだ。しかし、この文学フリマ岩手は、コロナ禍を理由に中止なってしまう。もうがっかりしたのだが、気を取り直して、boothという同人誌販売プラットフォームを利用して、ネット販売を開始する。ありがたいことに、そこそこの注文をいただき、その後、ネットでの販売を継続していくことになる。

文学フリマのほうは、というと、その年の秋、2021年11月に文学フリマ東京に初めて参加する。数か月遅れで、しかも場所が東京になってしまったが、対面即売も始動させることになったのだった。

それからというもの、文学フリマについていえば、大阪、京都、福岡、札幌などに遠征することになった。計10回の参加を数える。中止になった岩手も、翌年盛岡で無事開催された。比呂啓さん、じょいっこさんとの共同出店の場合も多かった。

リアル空間での出店である文学フリマの面白さは、なかなかうまく表現できない。あえて言う。たまたまブースを訪れてくれる人とブースを目指して来てくれる人、その両者が混在するのは、ある意味SNSぽくはあるのだが、実際に面と向かって話ができる、その大切を実感できる場でもあるのだ。

それを気づかせてくれたのが、ZINE作りだといえそうだ。カフェバグダッドは今年で設立20年を迎えるのだが、それを記念して、イベントスペースを借りたトークショーを企画している。まもなくアナウンスできそうだが、4月上旬の5日間にわたり開催する予定だ。

その後、アナウンスしました

この連載の最後の言葉としてふさわしいかどうかわからないが、ブログなどのSNSを利用しながら、リアルの場でのトークイベントを開催した初期のカフェバグダッドのあり方は、とても座りのよいスタイルだと、20年たった今でも思う。

その基本線は今後も変わらない、と宣言して、この連載をひとまず閉じたいと思う。



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