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無意識の世界 


静かな海辺 波音が私の呼吸と同調する
水平線は闇夜に墨色の海を浮かばせる
満月が眩しいくらいに鏡面し
的皪とした光が波に揺れる

私の無意識の世界

無意識の中に身を沈める時
置いてきた過去に別れを告げる


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『サヨナラ初恋』

届けれなかった恋心を
思い出した時
私はこの無意識の世界に居た

波打ち際に彼が座ってる
13歳の少年のままの姿で
突然
彼の中から悲しみの怪物が姿を現す

私は近づけなかった
遠くから彼をみつめるだけ
当時と同じように
何もできない

ふと、私の足元に
小さな黒い生き物がやってきた
よく見ると手足がついてる!牡蠣の子?

その正体は彼の悲しみの怪物から
分かれて現れた姿
私は牡蠣の子?に似た
小さな黒い生き物を
優しく撫でた

すると黒い怪物から
沢山の牡蠣の子⁉︎たちが
現れて
私の側に寄ってきた

私は小さな黒い生き物達を
抱きよせた

彼の悲しみを
受け止めたかった


悲しみの怪物は消え
牡蠣の子⁉︎に分裂したのだ。

小さな牡蠣の子たちと
私は一緒に波打ち際を散歩した。

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『鏡の国のアリス』で
セイウチと大工が登場する場面
牡蠣の子たちは
夜の海辺を散歩する
最後にセイウチと大工に食べられてしまう
本を読んだ当時
子どもの頃の私には衝撃的で
食べられた牡蠣の子たちが
ただ可哀想でならなかった。

このストーリーのように
しばらく歩くと
セイウチと大工に出会った
「お嬢さん。僕たちにあずけてくれないか。」と

セイウチと大工は
最後に牡蠣の子たち
をすべて食べてしまう



私の無意識の世界に
もう彼もいなかった
彼がひとりで抱えた悲しみ

あとで知った転居の理由
彼の悲しみも
私の後悔も牡蠣の子?にたくして
全部 食べてもらったのだ。

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〈最近シンクロした事〉

韓国ドラマで
この無意識の世界がシンクロした

『愛の不時着』の回想シーン
幼いユン•セリが母親を待つ夜の海辺
朝まで母は戻って来なかった。

寂しくて泣きたくなる気持ちを閉じ込めて。
セリは「하나 , 둘 , 셋 …」と数える


月夜の海
幻想的な世界なのに
胸が締め付けられる


セリと義母もこの時
お互いの気持ちをここに
置いていってしまったのだろうか。

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無意識の世界に
身を沈める時
私は過去を手放す


2023/02/09


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