見出し画像

個人のカフェの難しさと対策を真剣に考察する

独立する前って、結局いくらの売上あればいいのかって、経験があまりないとイメージしにくいですよね。
まずは、最低限必要な売上の部分を分解して考えていくとわかりやすいので、今回はモデルケースを用意しました。

8坪、12席(1坪1.5席)家賃12万円、雑費1万円、水光熱費5%、消耗品費1%、原価率30%で考えます。

※追記 8時間営業で計算しています🙇‍♂️

①損益分岐点(赤字にならないライン)

まずは、収支トントンのラインから。

損益分岐点の計算方法


計算嫌いという人は読み飛ばしてください(笑

損益分岐点は、固定費13万円(家賃と雑費)を限界利益率(1ー変動費率)で割ると、簡単に計算できます。
仮に変動費率は、水光熱費”5%”、消耗品費”1%”、原価率”30%”なので、変動費率は”36%”です。
1(100%)からこの変動費率を引いた数字が限界利益率です。
ここでは64%です。
つまり、固定費13万円÷0.64で計算すると必要な売上は20万円となります。

必要な売上は1日8,400円程度


月に6回休むとして、24日営業した場合、一日約、8,400円あれば赤字にはなりません。
客単価が1,000円だとすると、1日9人お客さんが入ってくれば赤字にはなりません。これくらいなら、いけそうな感じしますよね。

②手取り20万円が欲しい場合

では、生活費が20万円欲しい場合、前述の固定費にこの欲しい金額の20万円を足すことで必要な売上高が算出できます。

先ほどの13万円(家賃12万円+雑費1万円)+20万円(欲しい給料)を固定費として計算すると33万円÷0,64(先ほど計算した限界利益率)=約52万円

必要な売上は1日2万2000円程


売上52万円を24日で割ると一日に必要な売上は約2万2千円です。
客単価1,000円で22人です。

ちょっと大変になってきた気がしますかね。
さて、8時間営業した場合は、1時間に2.75人、つまり一時間に約3人です。
分解して考えると少しいけそうな気がしますね。

さて、ワンオペの場合、まずはこの52万円を目標にする感じでいいと思います。

③手取り20万円&アルバイトを使って営業した場合

ピークタイムに5時間働いてもらった場合、5,500円、数字が細かくなってしまうので、交通費を含めて6,000円としましょう。
24日営業で、6000円×24=144,000円、アルバイト人件費を約15万円で計算します。

必要な売上は1日3万2000円程

13万円(家賃12万円+雑費1万円)+20万円(欲しい給料)+15万円(アルバイト人件費)を固定費として計算すると48万円÷0,64(先ほど計算した限界利益率)=約75万円です。一日約3万2千円です。
客単価1,000円で考えると一日32名です。一時間に4名の来店が必要です。

さて、1時間に4名ということは、12席のうち7割が稼働(例えばテーブル席2席をお一人で利用する場合なども考慮)するとして約半分の席が8時間ずっと埋まった状態でなければならないということになります。席数の限界が見えてきます。

売上の限界を人時売上高から考察する

人時売上高とは、一時間の売上から、働いた人数を割った数です。
つまり、15時台の売上が1万円だったとして、2人で働いた場合、人時売上高は5,000円/1人となります。

カフェの人時売上高は5,000円が目標値となることが多いです。この売上を上回ってくると、かなりバタバタしたな、という印象です。
効率の良い業態だと、5,000円を上回ってくることもあると思いますが、ここでは一般論としての人時売上高で考えます。

逆に考えると、1人で1時間に取れる限界の売上は5,000円ということになります。

ケース③の売上75万円を一人で回した場合、1時間に4名(人時売上高4000円)というのは、開店から閉店までずっとお客さんが入ってきて、常に席は半分埋まり、バタバタしている繁盛店ということになります。
ワンオペはほぼ無理です。

ちなみに、ケース③の売上を他の業態で考えると、例えばワンオペ居酒屋であれば、客単価3000円だとして、1日11名で達成できてしまう数字です。
こちらの方がずっと現実的な数字に見えませんか?
カフェ業態の難しさは、客単価の低さに直結しているような気がしませんか?

さて、何が言いたいかというと、大手が作っているような、コーヒーを飲んでゆっくりしてもらうようなお店というのは、小さな資本、坪数のお店では数字的に見ても非常に難しい業態になるということです。

客単価が低いというのは、大きな弱点です。

客単価が低いという弱点を克服する

では、どうすればいいのか。
僕の考えでは解決策は3つあります。

①席数に縛られない売上を作っていく

これはテイクアウトの商品を強化することです。
僕の知り合いのカフェでは、ケーキが主力商品となって売上を作っているお店があります。もう7年ほど継続できています。

僕のお店は豆売りに特化しており、豆売上で客単価を引き上げています。レジ操作が煩雑になるので、客単価ではなく組単価でしか数字をとっていませんが、現時点で1,800円まできています。

カフェ以外に他の専門性を持たせることで、テイクアウト商品を開発していくのが突破口ではないでしょうか。

②カフェバーのようなアルコールを売る業態にして客単価を上げていく。

所謂、カフェバー、これは、あまりおすすめしません。
難しすぎます。
大手でも成功しているのは、一般的にパッと思い浮かぶのはプロントくらいではないでしょうか。
過去、他の大手チェーンが、ちょい飲みブームで、夕方以降のちょい飲みに参戦しまくっていたのを覚えていますが、ほとんど成功事例を見たことがありません。
かくいう私も取り組んだことがありますが、カフェでアルコールを飲ませるのは至難の技でした。
会社員時代に私が取った施策は、お店のファサード(店頭)のロウサンプルを夕方以降一斉におつまみ系ロウサンプルに切り替えて、照明を落としバーの雰囲気を出すこと、ただし、そこまでやっても売上の7割はカフェ売上だったので、自営業で、食材も多く抱えることもリスクなのでなかなか難しいと思います。
カフェ寄りのバーは日本では受け入れられにくい業態なのではないかというのが、僕なりの結論です。

逆パターンはありかもしれません。それはバーメインのカフェです。
ただし、営業時間は夜中心となってくるかと思います。
内装は夜の業態の内装にするのがおすすめです。
ちなみに、開業前に、勉強の為にバーテンダースクールに通ったことがありますが、そこの社長がおっしゃっていましたが、「カフェの内装で、カフェに失敗した時にバーでリカバリーすることは難しい」が、「バーの内装にしてカフェで失敗した時はバーでリカバリーできる」とのことを仰っていたのが印象的でした。
バーは客単価が高く利益率も高い業態なので、カフェに比べて潰れにくい印象があるかと思います。

上記のような2毛作と呼ばれる業態は営業時間も長くなることが多いので、自営業にはあまりおすすめできません。
大変です。

③フードに力を入れた食事メインのお店にする


フードをほぼ全員頼んでくれれば、客単価は1,000円を超えてきます。ただ、作業工程がかかるので人件費はかかってしまうのが難点。とは言え、食事系は、他にも競合するお店が多く、「そのお店でしか食べれない何か」が必要になってきます。料理が得意な方はこちらでしょうか。

まとめ

個人で大手と戦うには、コンセプトを明確にすること、お店の主力商品を明確にすること、客単価の高い業態にすること。そしてこれが大手には真似できないこと。これが僕の結論です。

なんとなく雰囲気が良くて、なんとなく美味しい物が出てきて、なんとなく夜はお酒も出して、みたいに考えている人いませんか?
危険ですので、今すぐコンセプトを練り直しましょう(笑

Twitterでも日々の気づきを呟いています。是非是非フォローしてください!

                   まっつー@飲食店経営者2年目



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?