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原価率から見る、珈琲屋は儲かる業態なのか

原価率から見るカフェ業界の構造

さて、今回も前置きはいらなと思うので早速。
僕は会社員時代はカフェ畑出身ですので、カフェに焦点を絞って計算していきたいと思います。
ちなみに、今回の内容は、業界にいたら「そりゃそうでしょ」と言った内容です。開業を目指す原価率とはなんぞやという人向けの記事となっています。

交差原価率という考え方

交差原価率という考え方をご存知でしょうか。
原価率と部門構成比率を交差させて、相対原価率(お店全体の原価率)を算出することができます。
これ、めちゃくちゃ便利なので飲食店経営をされている方は覚えておくといいと思います。
3ステップで算出可能です。

ご自身の店舗、または開業予定の店舗のイメージに置き換えて一緒に計算してみてください。

ステップ1 部門ごとに《原価率》を出す

ドリンク 原価率15%
フード  原価率30%
スイーツ  原価率30%
珈琲豆  原価率60%

珈琲豆に関しては、仕入れた豆を売る場合で計算しています。

ステップ2 各部門の《構成比率》を出す

ドリンク 構成比率 35%
フード  構成比率 30%
スイーツ 構成比率 30%
珈琲豆  構成比率 5%

ちなみにこの構成比の合計は当たり前なのですが100%にならなければなりません。

ステップ3 部門の原価率と部門の構成比を《掛け算して合算》

ドリンク 原価率 15%(0.15) × 構成比率 35%(0.35)=【0.0525】
フード  原価率 30%(0.3) × 構成比率 30%(0.3)=【0.09】
スイーツ 原価率 30%(0.3) × 構成比率 30%(0.3)=【0.09】    
珈琲豆  原価率 60%(0.6) × 構成比率 5%(0.05)=【0.03】

最後に【 】の中の数字を足していきます。
ここでは0.2625
つまり原価率26.25%となります。

カフェの原価率は20%から30%の間

上記のように一般的にカフェの原価率は20%から30%の間ではないでしょうか。
戦略的に原価率を30%以上にしている場合を除き、カフェでこの合算した原価率30%を超える場合は、原価率が高すぎます。

ちなみに、カフェは原価率が低いと言われる所以は、このドリンクの構成比が高い傾向にあるからです。

その為、カフェはドリンクで儲けるのが一般的であり、テクニックとして外への訴求はドリンクをメインにした方が原価率は下がる傾向にあります。

シーズンドリンクを強く訴求しているカフェチェーンがあると思いますが、それは季節感を出すという理由以外にもドリンクの構成比を上げたいという理由が強くあります。

また、ワンドリンク制にしているところもありますが、フードとかケーキだけを注文されていては、儲けが出ないからです。

もちろん、ワンドリンク制にするかどうかも経営判断なので、正解は無いと思います。

珈琲屋(ドリンク+豆が主力の場合)

さて、これが、ドリンクと珈琲豆の専門店にした場合に、どのような原価率に変化していくでしょうか。

まずは、先ほどのカフェの原価率のままで計算

ドリンク  原価率15% ×構成比率40% = 0.06
珈琲豆  原価率65% ×構成比率50% = 0.325
スイーツ 原価率30%  ×構成比率10% = 0.03

合算した原価率というのは、0.415、つまり41.5%です。
全て仕入れて珈琲専門店とすると、難しそうですね。

さて、これが自家焙煎だった場合、どのように変化するでしょうか。

ドリンク  原価率5% ×構成比率50% = 0.024
珈琲豆  原価率25% ×構成比率50% = 0.125
スイーツ 原価率30%  ×構成比率10% = 0.03

合算した原価率は17.9%となります。

仮に、同じ売上だった場合に、原価率という点で注目すると、カフェよりも珈琲専門店の方が圧倒的に儲かります。

この原価率の数字にシビアになることは飲食店経営においては、非常に重要で、たかが1%、されど1%です。

原価率は1%にもこだわる

100円で販売している商品の仕入れが50円だとしたら、49円になる仕入先を見つけるだけで1%原価率は落ちます。

たった1円かもしれません。この原価率の1%、2%をあまり気にしない方が多いかもしれませんが、これを大きな塊で見ていくと、非常に大切な数字だということがわかります。

僕が会社員時代に担当していたとある店舗は、1店舗で年商1億2000万円程でした。
例えば僕の提案でメニュー構成比を変化させて、原価率を2%落としたとしましょう。


僕はこのアイデア一つで会社に年間240万円の利益を永遠にもたらすことになります(永遠は大げさですが)。

さて、これが個人店だった場合です。

前回記事でも例として上げました月坪売上が10万円だった場合のケースで考えます。月坪売上って何?という方、是非、前回記事(カフェ月間売上の目標値を月坪売上から考える)をお読みください。
個人店なので、10坪、月坪売上10万円、つまり月商100万円だったとすると、年商1,200万円となります。

原価率を2%下げたとすると、手元に24万円が多く残ります。
24万円あれば美味しいご飯たべれるし、欲しいもの色々買えますよね。

さて、これが業態の構造の違いで、24万円どころの騒ぎではなくなります。

前述のカフェの原価率は26.25%、珈琲屋は17.9%、その差は8.35%です。

月商100万円、年商1,200万円と同じ売上だった場合、月間8万3500円、年間100万円の利益差となってきます。

原価率だけを見たら、圧倒的に珈琲屋の勝利なのだが・・・

さて、圧倒的にと書きましたが、実際には違います。

珈琲豆屋は集客までに時間がかかり、軌道に乗るまで生き残れないという側面もありますし、販路をインターネットや業務用の卸に広げないと、そもそもの売上高が自体が取れません。

いくら利益率が良いからと言っても、カフェに比べて集客のフックがめちゃくちゃ弱いです。

だって、日本で年間にカフェに行く人口と、珈琲専門店に珈琲飲みに行く人口を想像してください。

カフェに行く人の方が圧倒的ですから。

さて、先ほど、フードの原価率は30%程度と書きましたが、これをあえて高くすることで、話題性を出し集客のフックにすることも可能です。

例えばクリームもりもりの、パフェとか、フルーツどっさりのパンケーキとかですね。

インスタでよく見ますよね。

このように飲食店経営においては原価率をどう捉え、利益を出すかという経営のセンスが問わることが多々あります。

そして、10年後の廃業率から見ると、生き残る人は全体の5%、儲からずに廃業して行く人が95%です。

儲かる儲からないの話で言うと、儲かる人は全体の5%、儲からない人は全体の95%です。
5%の人が儲かると呟き、95%の人は儲からんと呟いているのが現状だと思います。

結論

売上さえ取れれば珈琲屋は結構儲かる!(そしてこの売上を取れずに皆さん苦労している)

僕が働いていてきた経験とか会社の社風に影響されている部分は多々ありますが。。。

儲からないのであれば、儲かるにはどうしたら良いかを考え抜くこと。

投資をするのであれば、何年でその投資を回収するのか。

計画の無い投資は、投資ではなくただの浪費です。

費用対効果を説明できないなら、会社だったら稟議書の決裁おりませんよね。

珈琲が好きで、振る舞うことが好きなのであれば、趣味の世界で友人を招いて珈琲やカフェラテをご馳走したっていいじゃないですか。

開業するということは、勝者5%の中に入り込む戦いに身を投じるということです。

さて、それでも挑戦したい、やらなきゃ後悔する、そんな人は、是非、僕のTwitterのフォロー&noteでのフォローを!

微力ながら会社員時代の経験や、実際に自身が現在飲食経営をしていて気づいたこと、
カフェ開業を目指す方にとって有益だと思うことを記事にしています。

【余談】僕が会社員時代に(いい意味で)どんでもなくやばいと思った経営者

以下、計算苦手な人は読むことを非推奨します。

今回のお話の原価率の理解から発展させた内容となります。

FLRコストは70%は優秀な数字という常識

飲食店は一般的にFL(原価率+人件費率)コスト60%以内というのが、常識中の常識です。

FLのコストに加えて、家賃R(レント)10%程度にするのが一般的。

実際には、10%には収まらない人が多いと思います。僕もまだまだ収まっていません。

上記内容をまとめると、原価率(F)+人件費率(L)+家賃比率(R)を合わせた合計が70%になると構造的に優秀だということになります。

俺のイタリアンの構造

さて、何年か前に彗星のごとく現れた「俺のイタリアン」という業態。

高単価商品を高原価率で高回転させるという業態です。高単価とは言いましたが、原価率をすごく高くしているので、ユーザーはめちゃくちゃお得感がありますね。

この業態は高単価、高回転の為、売上高が跳ね上がります。
そして高原価率を可能にする数字が隠されています。

売上高が上がることで、比率の数字と常識がバグる

売上高が異常値になってくると、常識が常識ではなくなってきます。

仮の数字で計算しますが、

家賃50万円だとすると、一般論では10%に収まれば優秀な方なので、家賃50万であれば500万売ればいいわけですね。優秀。

これが、月間2,000万の売上となると家賃比率は2.5%です。
つまり、売上高が跳ね上がることで飲食店の今までのFLRの構造の常識から外れて、わけわからないことになるわけです。

FLRのうちR(家賃)が2.5%だとすると、残りのF(原価率)L(人件費率)で、67.5%かけていいわけですね。

僕も創業者で坂本さんの本は読んだのですが、悔しいながら、その本、後輩に借りパクされて、詳細な数字出てたのですが書けません、すいません(笑

でも、当時は業界の常識を覆す内容にワクワクしながら読んだのを覚えています。

ただ、業態の肝となる部分はこの数字の部分だけではありません。

恐ろしい程に緻密な戦略が張り巡らされています。

ご興味あれば一読されて見ては如何でしょうか。

さて、今回も長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました!

まっつー@カフェ経営2年目






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