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カフェ月間売上の目標値を月坪売上から考える

今後、カフェ開業を考えているけど、「目標とする売上ってどのくらいに設定すればいいんだろう。」そう考える方、多いと思います。

前回記事(個人のカフェの難しさと対策を真剣に考察する)でも、利益から逆算して目標値をなんとなく算出できたかと思いますが、今回は、大手や繁盛店とも戦っていく上で、自分の店舗の立ち位置がなんとなく見えるような記事となっています。

さて、今回はお店の戦闘力とも言えるべき、「月坪売上」に関してです。

月坪売上とは

さて、この月坪売上に関してですが、競合を比較する上で面白い指標となります。

A店 月間売上 500万円
B店 月間売上 1000万円

この数字だけだと、B店の方が凄そうに見えます。

では、次の数字を付け加えたらどうでしょう。

A店 月間売上 500万円 / 10坪の広さ
B店 月間売上 1,000万円 / 100坪の広さ

そりゃそうなるよな、という印象を受けませんか?

お分かりかと思いますが、出店している面積辺りどっちが効率の良い売上が取れているかと言うと、A店となります。

1坪あたり月間いくらの売上が取れているかという指標を、「月坪売上」と言います。

以上のことを踏まえて、月坪売上に書き換えます。

A店 月坪売上  50万円 (500万円÷10坪)
B店 月坪売上  10万円 (1,000万円÷100坪)

このようになります。

僕は、スーパーバイザーという仕事をやっていましたので、自身の担当エリアだけではなく、全国の商業施設の情報を日々目にしていました。

カフェ業界における一般的な数字はなんとなく感覚的に持っています。

現在業界で働いている方でも、この指標は意識しないと、この数字はピンとこないと思います。
チェーン店にお勤めで、認識不足でドキッとしている方、商業施設の事務所に駆け込んで売上速報に目を通しましょう(笑)

とはいえ、私が勤務していた会社のマネジメントクラスでも、この数字を意識している人はほとんどいなかったと記憶しています。

さて、この月坪売上は繁盛店なのかどうなのかを見分ける数字として便利です。

実際に月坪売上から何が見えるか

以下、月坪売上の僕の感覚(というか一般的な感覚だと思います。)

10万円・・・なんとかやっていけるレベル(個人店)

20万円・・・繁盛店(チェーン展開できるのでは?)

30万円・・・大繁盛店(多店舗展開のお話が来ませんか?)

50万円・・・化け物レベルの繁盛店(各エリアを代表する名店でしょう)

100万円・・・カフェだと恐らく到達不能な数字(だと個人的に思ってます)

これから開業される方は、まずは、坪売上10万円を目指すといいと思います。


ちなみに、前回記事(個人のカフェの難しさと対策を真剣に考察する)のモデルケースにて8坪の広さでアルバイトを一人使って、なんとか生活できるレベルの売上というのが月間72万円でした。

ほら、月坪売上9万円(72万円÷8坪)となり、なんとなく数字の辻褄があってくるでしょう?

細かい計算は省きますが、仮に月坪売上10万円だとしたら、手取りは25万円くらいに上がっていく計算です。

なんとか生き残れます。

月坪売上に関しての注意点

注意して頂きたいのが、月坪売上というのは、利益に直結する指標ではありません。
新宿で10坪と、23区外で10坪だったら、新宿の10坪の方が売上が良くて当たり前です。
坪売上というのは、立地の良さにも直結する要素があります。

しかしながら、売上を横並びで比べる指標としては一定の役割があるかと思います。

僕が目撃してきたカフェの月坪売上

さて、ここからは業界にいた頃の話で、大手企業はどのような数字を叩き出してくるのかというお話です。

ここでは、僕も働いた経験のある、超大型ターミナル駅の商業施設での数字です。

バケモノみたいな売上を作っていたのがあのカフェ、以下、緑屋さんとします(察してください)。

45万円

僕が担当してたお店はデザート系をメインに切り替え客単価800円→1500円にできた結果、坪売上が1.5倍くらいに伸びて、開店時は35万スタートの最終的に50万円程度です。

一見、35万円て凄い数字に見えますが、ゴリゴリの赤字でした。

緑屋さんはどんなロケーションでも同様のパフォーマンスを出してくるブランド力と接客力があり、
一方僕の担当店は、立地にあぐらを書いたような高単価のお店で、
地方では絶対に戦えないようなお店だったので、
そうまでして客単価を上げないと緑屋さんの坪売上には届かないという話です。
僕も知見が決して広いわけではないですが、一般的なカフェの坪売上の限界地点はこのあたりだという感覚です。

月坪売上45万円てことは、10坪なら月間の売上450万ってことですね。

有名なセルフのカフェ(黄色屋さん)が、たしか22万/坪でした。

そこの店長さんのお話だと、そのお店がトップクラスの売上だそうです。
商業施設には店長会というものが存在し、他のお店の店長さんとお話しする機会があります。

さて、この数字から見ても緑屋さんの強さは際立ちます。

客単価が高い上に、ドリンク構成比が高く、テイクアウトも強い(別の商業施設ではコロナ渦で全滅状態だったのに)、前年売上とほぼ変わらないような売上を出していました。

恐るべきブランドです。

他業態の化け物店舗

さて、ここからですが、業態の照準をカフェから広げますと、さらに凄い世界が広がります。

某立ち食い寿司屋、ラーメン屋、お好み焼き屋は、そんなカフェの2倍の坪売上を叩き出していました。

つまり月坪100万程度。

これは、超超好立地での話ですが、カフェの客単価の低さは、坪売上にも直結して表れますね。

ただ、実際の利益で見ると、お寿司屋さんは原価が高い商売でしょうし、売上高が高くなるのは当然といえば当然なのですが。

さて、先の記述で、月坪10万円を目指すと良いと言いましたが、
仮に20万円という数字はどのような数字かと言いますと、この数字を切ってくると大型の商業施設で契約更新が難しくなってくるレベルです。

もちろん、商業施設が変われば大きく数字も変わってきますが。

大手カフェ系で商業施設に入っている所だと20万円を超えている所が多いと思います。

特に人気の商業施設は各店舗の売上のパーセンテージが利益となりますから、売上が低いと追い出されてしまう運命にあります。

店舗がどんだけ利益が出ていようが、関係ありませんからね。

利益だけでなく売上が求められるのが商業施設出店の肝となります。

で、結局、お前はどうなんだ、という話

さて、では、こんなことを言っておきながら僕のお店はどうなのか、
と言いますと、

調子がいい月は坪10万円を超えたことはありましたが、

「まだまだこれから頑張らないといけない」

という段階にあります。

とはいえ、豆売りを主力としていますので、少しカフェを主力とした店舗とは構造が違いますので、生活がギリギリというわけではありません(笑

とはいえ、生き残る売上が立っていれば、トライアンドエラーを繰り返し、改善していくことができるかと思っています。

実際に、運営してから1年経たずして改装の一手を打ちました。

この改装の結果に関しては、良かった部分もあり、反省点もありますので、もう少し数字が出揃ってきましたら、noteで公開したいと思います。

物件探し中だったら覚えておこう

カフェ開業の第一目標は坪売上10万円でいいと思います。

まず、お探しの物件があったら、そこの坪数に10万円をかけてみましょう。

10坪だったら100万円、

25日営業するなら、一日4万円を売ることができるのか?

そうやって自分に問いかけましょう

8時間営業するなら、時間帯売上5,000円、客単価800円だとすると、
一時間で6人か、

ゆったり席取りたいから、1席/坪だと、10席しか取れないから、7,割稼働したら、オープンから閉店まで満席にしないと成立しないから、席数を15席まで増やそう。

3名以上のお客さんも入れたいから、2名席を増やして、くっつけて4名席にするレイアウトにしよう。

でも、ここは距離が近すぎるから、パーテーションを設置してパーソナルスペースが保てるようにしよう。

カウンター多めにして、効率良く席を使えるようにしよう、でも目線の高さが同じだと圧迫感を与えてしまうから、

厨房の床は少し上げて目線をずらそうか。。。

でもそうすると施工費が上がるからどこか削らなきゃ。。。

などなど、頭痛がするまで悩みに悩みましょう

結果、それだけ悩んで決めたことでも運営中は想定外のことが連続します。僕だって1年で改装してますから(笑)

そこからどうやって改善していくかなので。

さて、長くなりましたが、坪売上だけが全てではありませんが、知っておいて損はないでしょう。

坪10万円を切っても戦う方法もあります。
固定費、人件費、原価率を極限まで落とす戦い方です。

この戦い方に関してはもう3000文字くらい必要なので別の機会に。


今回も長文をお読み頂きありがとうございます。

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まっつー@カフェ経営2年目 

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