京都駅でコーヒーイベントに参加した話
Enjoy coffee time
9月上旬、ピークを超えたとはいえ、いまだに30度を越す暑さである。
こんな日に屋外イベントでコーヒーを出して、飲みにくる人はいるのだろうか?
一抹の不安がよぎる・・・。
今回初めて「Enjoy coffee time」というイベントに参加することになった。
簡単に内容を説明すると、自家焙煎店を中心とした10店舗(2日間で20店舗)が一堂に会し、色々なお店のコーヒーを飲み比べてもらおうというものである。
各店で1杯分をオーダーすることもできるが、5枚綴りのチケットを買うと、1枚でハーフサイズのコーヒーと交換でき、より多くのお店のコーヒーを楽しむことができる。
今回が19回目になり、初めての京都駅開催とのことであった。
イベント出店の経緯
当店はここ数年、屋外イベントへの出店はしていなかった。
それを知っている常連さんからは「何で今さら?」という疑問の声を多くいただいた。
というのも、こういった屋外イベントやマルシェなどに出店しているコーヒー屋は若い人が多く、何となく私のような中年は出づらいのである。
まして定休日に仕事をするなど、妻と子供をこよなく愛するマスターらしくないじゃないかと思われたのかもしれない。
「まだまだ若い人には負けませんよ!」と威勢のいいことを言ってみたが、最近は働きすぎで両膝の半月板を損傷(私はこれを満月版損傷と呼んでいる)し、体力の衰えは少しずつ感じている。
それでも、今年は夏の期間中に交代で休みを増やしていたので(この経緯は「季節によって売り上げが〜」に掲載)、気持ちにゆとりがあったのが大きかった。
また、イベント参加の経験がないスタッフに“お祭りワッショイ”の楽しさを味わってもらいたいという理由もある。
準備段階からバタバタ
車が搬入口に着いたのは、9時を10数分ほど回ったところであった。
搬入時間は9時からで、イベントは10時にスタートする。
初めての参加で社長出勤とは我ながらいい根性である。(約1名、時間に大らかな人間がおりまして・・・)
搬入口に荷物を降ろすと、そこから会場のテントまで数十メートル。急いでいる我々には、かなり遠く感じられた。
見かねたイベントスタッフが台車を貸してくれ、何とかテントに荷物を運び終えたときには、すでに周りは着々と準備を進めているところであった。
さあ、急いでセッティングしなくては、と思ったものの、事前に何をどこに配置するか全く決めていない。
私は昔から事前に計画するのが苦手で、その場その場で何とかするという性格なのである。(これを私は場当たり的合理主義と呼んでいる)
マスターの指示で動けば大丈夫だろうと思っていたスタッフはたまったものではない。
「こいつはダメだ」と、さっさと見切りをつけ、各々でセッティングし始めた。
さすがはウチのスタッフである。あれはどこだ、これはどこだとやっているうちに何となく形が出来てきた。
その間、私はというと「受け取ったチケットはどうすればいいのか?」「カップにどのくらい注ぐといいのか?」など、当然事前に確認しておくべき事を開始数分前になってようやく確認していたのであった。
準備が整ってきたところで、流れをつかむため1杯コーヒーを淹れてみようと粉にお湯を注いだとき、「今から参加者で記念撮影をするので中央に集合してください」と無情にも声がかかる。
かくして撮影後に蒸らし時間5分という実験的なコーヒーが出来上がったのである。
優雅に1杯飲んでから始めようと思っていた計画はあっさり崩壊し、とにかく淹れたものはさっさと飲んじまおうと、勢いよく口に含んで振り向けば、すでにそこには最初のお客さんがチケットを持って待っていたのであった。
勝手がわからぬままスタートへ
鼻からコーヒーが出そうになるのを堪えた私は、満面の笑みで「いらっしゃいませ!」とチケットを受け取った。
しかし受け取ったものの、どうしたものか?
チケット1枚で2分の1量を提供することになっている。だが抽出は2分の1量では粉が少なく淹れにくい。1杯分を淹れて、残った半分は廃棄するしかないか、などと悩んでいると、あっという間に後ろに列ができ始めた。
「とりあえず、1杯分淹れてくれ・・」と、その時たまたま抽出する場所にいたスタッフに指示を出す。
ちなみにこの日は私を含めて4人のスタッフで参加したのだが、この時点でたまたま立っていたポジションに終了までいることになるとは、この時点で誰も想像していなかった。
とにかく先頭の人のオーダーを取る。2分の1杯では淹れにくいので前から3〜4人くらいのオーダーを聞いて、まとめてスタッフに通す。こうすればロスを出さず淹れることができそうだ。
しばらくそうやって続けていると、イベントスタッフがやって来て、「すいません、列を2つに分けてもらえませんか?」と言う。
見ると行列の長さは会場中央の飲食スペースを超えて端っこにまで達している。
「おおお、10年以上やっているがこんな行列ができたことはない」などと感慨にふけっている場合ではない。駅のホームじゃあるまいし、いったい列を2つに分けるなんてどうしたらよいのか?
「受け取り口を別にして、オーダーを受けた人はそちらに並び直してもらうといいですよ」と、察したイベントスタッフが教えてくれた。
「その手があったか!」いや、普通に考えたらそれしかないだろう。
早速そのように案内していくと列が整理されてきた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?