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FE名古屋のアリーナ事情|Weekly FE名古屋2021-22 #23

 今回のWeeklyFE名古屋は特別編として、誰もが気になるFE名古屋のアリーナ事情についてまとめてみました。

 なお期待されている方もいるかもしれないので先に断っておきますが、僕はリーグやクラブの関係者でも地方自治体の関係者でもないただのファンなので、記事中に一般公開されていない新情報は一切ありません。
 その旨をご承知の上でご覧いただければと思います。

FE名古屋のアリーナ事情

 B2優勝B1昇格を目標に掲げ、成績面では十分にその目標を射程圏に捉えている今季のFE名古屋ですが、となれば気になるのがBリーグのクラブライセンスの行方です。
 ご存知の方が多いと思いますが、いくらB2で優勝したところで、B1への参加資格となる『B1ライセンス』が交付されないことには、B1に昇格することはできません。

 そしてこのB1ライセンス、FE名古屋は過去一度も交付されたことがありません。

 ライセンス審査は、翌シーズン分の審査について前年の11月30日までに申請を行い、毎年4月ごろまでに結果が公表されます。
 そしてつい先日、来シーズンにあたる2022-23シーズンのクラブライセンスについて、第1回の判定結果が発表されました。

 FE名古屋はB1ライセンスについて継続審議。その内容は「施設基準の確からしさ」となっています。つまり、B1の施設基準を満たすアリーナを確保できるのか、という点が問題になっているわけです。
 FE名古屋がB1ライセンスを申請するにあたって、アリーナが課題になるのは今回が初めてではなく、Bリーグ初年度から続く課題になっています。過去にも、アリーナの面で基準を満たすことができなかったという公式コメントがありました。

(コメント抜粋)ライセンスに関しましては、昨年同様、5,000人のアリーナ建設に向けた確証を提出できずB2ライセンス付与との結果となりました。
坂口代表取締役社長(現:シニアアドバイザー)コメント

 さて、このアリーナに関して、FE名古屋の現状と今後についてまとめていきたいと思います。

使用中のアリーナ

 まずは現在FE名古屋が使用しているアリーナについて紹介します。

・枇杷島スポーツセンター

 現在FE名古屋がホームとしているアリーナ。所在地は名古屋市西区。
 名古屋駅から近くアクセスのよいアリーナではありますが、常設の観覧席は1,750席で、仮設の席を追加してもB1の施設基準を満たす5,000席には届きません。

・千種スポーツセンター

 Bリーグ初年度からサブアリーナとして利用しているアリーナ。所在地は名古屋市千種区。
 名古屋駅から近いとは言えませんが、地下鉄で一本で行ける上に、アリーナの目の前には東山動植物園という名古屋有数の観光スポットもあり、アウェイで訪れるには悪くないアリーナです。
 ただしこちらも常設の観覧席は1,136席と、仮設の席を追加しても5,000席には届きません。

 この通り、現在FE名古屋が利用しているアリーナのままでは、いくらB2で優勝したとしてもB1に昇格することはできません。
 つまり、FE名古屋がB1昇格を果たすには、別のアリーナへのホーム移転が必須となります。

既存のアリーナ

 次に、移転先の候補となる既存のアリーナについて紹介します。

・日本ガイシスポーツプラザ

 メインとなる日本ガイシホールの座席数は10,000席。現時点では名古屋市内で最大のアリーナです。
 当然B1ライセンスの基準は満たすものと思われますが、コンサートや各種のイベントに引っ張りだこの会場ですので、FE名古屋のホームアリーナとして確保するのはほぼ不可能だと思います。
 また、日本ガイシスポーツプラザには、日本ガイシホールの他に常設の観覧席が3,500席ある日本ガイシアリーナもありますが、こちらは夏季はプール、冬季はスケートリンクになっています。
 横浜ビー・コルセアーズがホームアリーナとしている横浜国際プールの例もありますが、アイススケートが盛んな名古屋で、冬季に30日+αを確保するのは現実的ではありません。

・パークアリーナ小牧

 過去、枇杷島スポーツセンターの改修工事中に利用したこともあり、B1の名古屋ダイヤモンドドルフィンズの試合でも使われているアリーナです。収容人数は最大約5,000人で、B1ライセンスの基準を満たす可能性があります。
 ただしネックとなるのは、所在地が名古屋市外(小牧市)であるという点です。このアリーナをホームとするには、ホームタウンの移転が必要になります。
 Bリーグでは、信州ブレイブウォリアーズや群馬クレインサンダーズのようにホームアリーナのためにホームタウンを移転や追加するケースもありますが、アリーナがあるとはいえ名古屋市から小牧市への移転を決断するのは相当な覚悟が必要でしょう。

 このように、既存のアリーナへの移転についても、B1の施設基準を満たすアリーナを確保することは難しい状況です。

名古屋市内に新設された又は新設の予定があるアリーナ

 では、既存のアリーナ以外に新設された又は新設の予定があるアリーナではどうでしょうか。
 実は愛知県(名古屋市)は、アジア版オリンピックともいえるアジア競技大会の2026年の開催地に決定しており、今まさに、新しいアリーナ計画が続々と進んでいるところです。それに絡んで新設されるアリーナもいくつかあるので、そちらを紹介します。

・パロマ瑞穂アリーナ

 名古屋市瑞穂区のパロマ瑞穂スポーツパーク内で、Jリーグの名古屋グランパスの試合会場でもあるパロマ瑞穂スタジアムに隣接する位置に新設されたアリーナです。
 建設計画が発表された際には一部のブースター界隈で期待されましたが、基本的にはスポーツを「する」アリーナであって「観る」アリーナではなく、常設の観客席も1,144席と、B1の施設基準を満たすアリーナではありませんでした。

・愛知県新体育館

計画概要→https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/336000.pdf

 上述のアジア競技大会にあわせて、現ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)を移転して新設されるアリーナです。最大収容人数は現ドルフィンズアリーナの倍以上となる17,000人で、日本全体でも最大級のアリーナとなります。
 こちらは名古屋ダイヤモンドドルフィンズが利用予定ということです(うらやましい)。NBAのロサンゼルス・レイカーズとロサンゼルス・クリッパーズのように共同で利用する手がなくはないと思うのですが、Bリーグがそれを許すのかはわかりません。何となくですけど難しそうです。

・久屋大通アリーナ

 名古屋市の中心部、久屋大通公園の南エリアの再整備の構想に含まれているアリーナです。
 当初は5,000人規模のアリーナが想定されていましたが、最近の調査では地下構造物との兼ね合いで3,000人規模のアリーナが妥当という話になりつつあります。記事にもある通り5,000人規模が絶対に不可能というわけではなさそうなのが救いですが、中心部の地下で大規模な地盤改良が必要となると、そう簡単に話が進みそうにはありません。

 というように、まだ計画段階のものもあって現時点で断言はできませんが、新設のアリーナへの移転についても一筋縄ではいかなさそうです。

FE名古屋の今後について

 以上のように、使用中のアリーナではB1の施設基準を満たせず、既存のアリーナ、新設のアリーナを確保することも難しい、というのが残念ながらFE名古屋の現状です。

 ただ、だからといってFE名古屋がB1ライセンスを諦めているわけではないというのは、先の第1回の判定結果からもわかる通りです。B1ライセンスを目指さないのであれば、最初からB2ライセンスで申請すればいいわけですからね。
 対外的なポーズというのも一応考えられはしますが、B1ライセンスとB2ライセンスの違いは施設基準だけではない中で他の基準はすべて満たしていることを踏まえると、本気でB1ライセンスを目指しているというのは信じて良さそうです。

 では、アリーナについてFE名古屋はどう考えているのか。それについて触れている記事を1つ紹介します。

 記事の中で特に気になるのは以下の部分です。

B1ライセンスに必要な5000人収容のアリーナについては名古屋市に常にお願いしていますが、なかなか前進していないのが現状です。今後も行政にはいろいろなお願いをしていきますが、行政以外のオプションも探っていかなくてはいけません。
坂口シニアアドバイザー

 「行政以外のオプション」が何を指すのかは定かではないため、これは憶測でしかありませんが、もしかしたらアイシンが民設民営でアリーナを建設するシーホース三河のように、たとえばFE名古屋のメインスポンサーである豊田通商が主体となって、民設のアリーナを建設することも検討されているのかもしれません。
 そこまでいかずとも、公共施設の建設・維持管理・運営に民間の資金や能力を活用するPrivate Finance Initiative(PFI)方式でアリーナ建設に主体的に参加するという方法も考えられます。
 また、アリーナの建設計画というのは非常にデリケートな問題で、関係する情報も厳重に管理されているので、群馬クレインサンダーズの新アリーナの件で知られた企業版ふるさと納税のように、まだ我々が知らない手法を用いた建設計画が水面化で進んでいる可能性もあります。

 いずれにせよ、FE名古屋は第1回の判定結果では「施設基準の確からしさを継続審議」とのことなので、B1の施設基準を満たす既存アリーナの確保の確実性、あるいは、B1の施設基準を満たす新設アリーナの建設計画の具体性が問われている可能性が高いと思います。

 今現在、4月に予定されている審査に向けてFE名古屋のフロントスタッフの皆さんは必死に努力してくださっているはずです。
 FE名古屋以外に継続審議となったクラブも含めて、意中のライセンスが交付されることを心から祈っています!

蛇足

 この件に関して、ファンの立場からできることはそう多くはありません。しかし、ただ祈る以外にもできることはあります。

 そのひとつが、FE名古屋をもっと盛り上げていくことです。

 FE名古屋が盛り上がれば、既存のアリーナの管理者やアリーナの新設にかかわる関係者にもアリーナの必要性が伝わり、それがアリーナの確保に繋がっていくはずです。
 選手やコーチングスタッフ、そして、B1ライセンス交付のために尽力しているフロントスタッフの皆さんのためにも、もっともっとFE名古屋を盛り上げて、アリーナの必要性を伝えていきましょう!

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