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B2プレーオフ進出チーム紹介(西地区編)|Weekly FE名古屋2021-22 #31

 先週に引き続き、B2プレーオフ進出チームの紹介をしていきます。今回は西地区編です。
 いちFE名古屋ファンの私見に過ぎないので、軽い気持ちでご覧いただければと思います。

 前回の東地区編はコチラ。

西地区1位 香川ファイブアローズ

チームの特徴

 一試合平均の3P試投数がリーグトップ(28.3本)でありながら、3Pの成功率でもリーグトップ(36.1%)という、3Pを最大の武器とする攻撃型のチーム。中でもテレンス・ウッドベリーと兒玉貴通は、プルアップ(ドリブルからのジャンプシュート)など苦しい体勢からのシュートが多いにもかかわらず40%前後の確率で3Pを成功させている。

 ディフェンスに関しては特別良い成績というわけではないが、どんなときも手を抜かずにできることをやりきろうというマインドはチーム全体から感じる。
 それについては、チームのキャプテンであり1stディフェンダーでもある兒玉が常に120%の力でディフェンスをすることで、それを見ている他の選手を背中で引っ張っているという側面もあるだろう。166cmの小兵が最前線で身体を張っている姿を見て発奮しない選手はこのチームにはいない。

 そして香川について特筆すべきは、圧倒的な勝負強さだ。シーズン通しての勝率は36勝16敗の69.2%だが、3点差以内で決着した試合では5勝1敗の勝率83.3%、5点差以内で決着した試合では8勝2敗の勝率80.0%となっている。
 その要因が何かを結論付けることはできないが、その1つには、天性の負けず嫌いであるウッドベリーがチームに与える影響というのもあるのではないだろうか。
 聞くところによると、ウッドベリーはチーム内の練習でさえ負けそうになると何かと言い訳を並べて自分が勝つまで練習を終わらせないようにするそうだ。それに付き合うチームも大変だろうが(笑)、その勝利へのこだわりがチーム全体に作用して、ウッドベリーのみならず他の選手にまでも重要な場面での勝負度胸を植え付けているのかもしれない。

キープレーヤー

アンガス・ブラント

(写真提供:マメちゃんさん(@natsuki30en))

 3Pの試投割合が高いチームにおいて貴重なインサイドの得点源。ピック&ロールからもポストプレーからも得点を計算することができるため、3Pに頼るチームのオフェンスが手詰まりになってしまうことを防いでくれる。それでありながら3Pも37.3%の高確率で沈めてくるとあっては、相手のディフェンスは対応に困るところだろう。
 また、リムプロテクターとしての役割も重要で、ブロックの本数こそそれほど多くはないものの、相手のシュートに対してしっかりとプレッシャーを掛け、その後のリバウンドにも手を抜かず参加するなど、香川のインサイドを献身的に支えている。

西地区2位 熊本ヴォルターズ

チームの特徴

 ジョーダン・ハミルトン&LJ・ピークがチームの顔なのは間違いないが、佐々木隆成や木田貴明など日本人選手にも得点力のある選手が多い超攻撃型のチーム。古野拓巳の負傷離脱の影響もあってやや安定感を欠いている印象はあるが、佐々木がPGを務める時間帯が長くなったことで爆発力はむしろ増したとさえいえる。

 チームのコンセプトに掲げた「圧倒的なスピード」は伊達ではなく、ファストブレイク(速攻)からの得点は一試合平均17.9点でリーグトップ。オープンコートでスピードに乗ったハミルトンやピークを止めるのは至難の業で、スピードスター佐々木を含め、各チームはまず熊本のオフェンスをいかにスローダウンさせるかを考えなければならないだろう。
 さらに、ハーフコートではベンジャミン・ローソンの高さも脅威で、ハミルトンやピークとのピック&ロールは大きな武器になっている。フィールドゴールの試投割合を見ても決して3Pに偏り過ぎているわけではなく、しっかりとインサイドにアタックできていることがわかる。ローソンを除けばそれほど身長が高い選手はいないが、ハミルトンやピーク、さらには身体能力が高い日本人選手たちが積極的にオフェンスリバウンドに飛び込んでくるため、セカンドチャンスからの得点も越谷に次ぐリーグ第2位(12.3点)だ。

 また、オフェンスの爆発力が目立つチームではあるが、決してディフェンスが悪いチームではなく、むしろボールマンへの圧力はリーグ屈指といえるだろう。佐々木、磯野寛晃、本村亮輔などは体幹も強く、フィジカル負けした相手のハンドラーからボールを奪って速攻につなげる場面も多い。インサイドのディフェンスも、パワー不足という弱点はあるがローソンの高さはそれを上回るインパクトがある。

 ただし、オフボールのディフェンスには隙がある印象で、ボールマンへ意識が向きすぎるあまり、ボールを持っていない選手に簡単に裏を取られてしまうケースが見受けられる。また、ディフェンスからオフェンスへの切り替え(ポジティブトランジション)に関しては確かに圧倒的なスピードを見せているが、オフェンスからディフェンスへの切り替え(ネガティブトランジション)に関してはお世辞にも早いとは言い難く、ハミルトンやピークが判定に不満をあらわにしている間に相手の外国籍選手に得点されてしまうという場面もある。
 これらは集中力の問題でもあるため、プレーオフに入って各選手の集中力が増せば解消される気もする一方で、それが癖になっているのであればプレーオフでもこのままかもしれないが、果たして。

キープレーヤー

ベンジャミン・ローソン

(写真提供:マメちゃんさん(@natsuki30en))

 単体ではハミルトンやピークほどのインパクトはないかもしれないが、最も替えが効かない選手は誰かといえばローソンだろう。リーグ戦の成績を見ても、仙台や越谷、愛媛など得点源がインサイドに偏っているチームを苦手としているのは明らかで、そうしたチームに勝つにはローソンのインサイドでの活躍が不可欠だ。
 また、もう1つ熊本が苦手としているゾーンディフェンスの攻略に関してもカギとなる選手の1人で、ハミルトンや木田の3Pが決まっているうちはいいが、それが不調なときはローソンがインサイドでオフェンスを引っ張ることができなければ手詰まりになってしまいそうだ。

西地区3位 西宮ストークス

チームの特徴

 高確率で決められるペイントエリア内(IP)のシュートか、そうでなければ成功したときに得られる得点が多い3Pシュートを重視しよう、という現代バスケの潮流に逆らっているチームが西宮ストークスだ。
 ペイントエリア外(OP)のシュートの試投割合は23.5%でリーグトップとなっており、プレーオフ進出チームの中では断トツに高い(2位は佐賀の17.6%)。かといってそのエリアからのシュート成功率が高いかといえばそれほどでもなく、成功率37.7%はプレーオフ進出チームの中で第4位となっている。これがどこまで意図した結果なのかはわからないが、数字だけを見ると、お世辞にも効率的とは言い難い。

 ただ、それでもなお高い勝率を維持できているのは選手のレベルの高さを感じる部分である。ターンオーバーも少なく、ターンオーバーからの失点やファストブレイクからの失点はリーグ1位であるFE名古屋と大差ない水準だ。プレーオフ進出チームの中で仙台に次いで低いペースで試合をしている点からは、勢い任せではなく再現性のある戦い方をしようという意識も垣間見え、ベテランぞろいのチームにふさわしい老獪さを感じることができる。

 シーズン終盤になって調子が上がっていない点が気になるところだが、ここのところ毎試合のようにスターティング5を変更していることも含めて、プレーオフに向けて何か作戦を仕込んでいる可能性もある。B2で1番のベテラン軍団がプレーオフでどのように変貌するのか、あるいは変貌しないのか、要注目だ。

キープレーヤー

川村卓也

(写真提供:マメちゃんさん(@natsuki30en))

 オフの契約発表でもキャプテンの谷直樹を差し置いて大トリを務めるなど、まさに昇格への「ラストピース」として期待されて加入。リーグ戦では、日本人でチームトップの平均7.2得点を記録した。ただ、十分といえば十分な成績ではあるものの、怪我の影響もあってか加入当初の期待感に比べるとやや物足りない印象もあるのが正直なところ。
 平均得点やシュート成功率はB1でプレーしていた昨季よりも成績を落としており、出場時間が短くなっているにもかかわらずターンオーバーは増えているなど、新たなチームへの適応に苦労しているようにも感じる。
 近年の西宮は、西地区1位として出場した昨季のプレーオフでワイルドカードの仙台にアップセットを食らうなどBリーグ初年度にB2を制したときの勝負強さを失ってしまったかのように見えるが、横浜時代には残留を決める一発を沈めたこともあるスターはプレーオフでさらにステップアップしてチームを救うことができるだろうか。

西地区4位 佐賀バルーナーズ

チームの特徴

 得点ではレイナルド・ガルシアがリーグ3位(22.8得点)、マイルズ・ヘソンがリーグ4位(21.8得点)であり、スティールではガルシアがリーグ1位(2.8本)、ヘソンがリーグ2位(2.2本)というように、攻守両面でガルシアとヘソンのコンビが強力なチーム。
 序盤は主力選手の怪我からくるベンチの層の薄さが弱点となりなかなか勝率を伸ばせなかったが、シーズン途中に西川貴之、ペリー・エリス、そして特別指定選手として角田太輝が加入してからは上位チームからも勝ち星を奪って無事にワイルドカードを確保した。

 最大の特徴はリーグ1位(9.0本)を誇るスティールからの速攻で、ガルシアや角田を筆頭に各選手がボールマンに激しくプレッシャーを掛け、隙あらばダブルチームを仕掛けてボールを奪い取るディフェンスは、ボールハンドラーに不安のあるチームにとっては悪夢のようだ。今季途中にはBリーグにおける一試合の最少失点記録(36点)を更新したことも記憶に新しい。
 ややギャンブル気味に激しいディフェンスを仕掛けている分、それを突破されて簡単なシュートを許してしまうことも多く、相手のフィールドゴール成功率はプレーオフ進出チームの中で最も高い確率(44.3%)となってしまっているが、スティールやオフェンスリバウンドで攻撃の機会を増やしてシュートの本数で相手を上回ることで優位に立っている。
 何より、スティールした後のガルシアやヘソンの突進は、多少のギャンブルをしてでもそれに賭ける価値はあると思わせるほど強力で、特にガルシアはファウルを誘う技術も上手く、わずかでも気を抜くと簡単にバスケットカウントを奪われてしまうだろう。

 気になるのは怪我から復帰したばかりのガルシアや、最終節の熊本との2試合で出場がなかったエリスのコンディションだが、万全ならどこが相手でもアップセットを狙えるだけの実力がある、今季のプレーオフで一番のダークホースといえそうだ。

キープレーヤー

角田太輝

(写真提供:蝦夷さん(@azcvamm))

 特別指定選手ながら平均得点は10.9得点でB2の日本人では5位の成績。20得点以上もすでに4回記録しており、12月末に加入した選手であることを考えると驚異的なペースだといえる。
 ディフェンスでも目を見張る活躍を見せており、平均スティール1.6本は越谷の畠山俊樹に次いで日本人第2位。過去には1試合7本を記録したこともあり、オフェンスだけでなくディフェンスでの爆発も期待できる選手だ。
 一方で、まだ安定感がある選手とはいいがたく、激しいディフェンスを仕掛けるあまりファウルトラブルに陥ったり、不用意なターンオーバーをしてしまう場面もある。安定感を一朝一夕で身に付けるのは難しいが、それを補って余りある強みのある選手であることは間違いないので、その強みを最大化して弱みを最小化するためのベンチの采配にも注目だ。

最後に宣伝

 話は変わりますが、アースフレンズ東京Zの元HCでもある東頭俊典さんからオファーをいただき、東頭さんが運営する『Get Better Now by ELPIS』というYouTubeチャンネルでB2プレーオフについて語ることになりました。

 チャンネルの他の動画を見ていただければわかるように、そうそうたるゲストが出演されている中でなぜ僕が…という感じではありますが、僕のような素人でも好き勝手に発信し続けていればこういう貴重な機会をいただけることもあるという一例として、日本バスケの裾野を広げる一助になれればいいな、なんて壮大なことを思ったり思わなかったり。
 そんなことはさておき、とりあえずは自分が楽しめればいいかというくらいの軽い考え(東頭さんすみません)で好き勝手しゃべりますので、ぜひ皆さんも気軽に視聴&チャット等で参加して楽しんでいただけたらと思います。

 5/5(木祝)の21:00~、ELPISのYouTubeチャンネルでお待ちしています!

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