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ガンジス河でバタフライをしたかった親友とインド貧乏旅行

もう10年も前の話になるのですが、大学の卒業旅行でインドに行きました。「まり子、インド行こうよ」と声をかけてくれたのは、大学も、ゼミも同じで、偶然大学二年生の時に一緒に世界一周旅行をした親友でした。

その親友は、二年次か三年次に一度インドに行って赤痢になって帰ってきました。大学で見かけないなぁと思ったら「インド行ったら赤痢になった。大学来て、体調悪いって言ったらゼミの先生にすぐ病院に行けって言われて、病院行ったら赤痢だった。家に保健所の人が消毒に来たよ」。

赤痢になったにも関わらず、なぜ卒業旅行にインドをチョイスしたのかわかりませんでしたが、「金欠だし、安いし楽しいよ」と言われて、「じゃあいこうかな」と返事をしたのが始まりだった気がします。

旅のルートを自分で決める

バックパック旅行の醍醐味は、何と言っても自分で全ての旅程を決められる点です。当時は、ニューデリー、ジャイプール、ヴァナラシ、コルカタ、アジャンター遺跡、エローラ遺跡を二週間かけて周りました。

野良犬、野良牛、野良イノシシ、道路には車と混ざってラクダがいて、話しかけてもいないのにインド人が「ノープロブレム!ノープロブレム!」と話しかけてきて、うちの宿にとまれとかタクシーに乗れとか、色々言われたことをよく覚えています。「ノープロブレム」と言われた時は大抵プロブレムが発生しました。

ガンジス河でバタフライしたかった親友

当時のインドは、ものすごく美しい国でした(ここ数年行ってないので最近はわかりません)。遺跡もダイナミックで、ずっと見ていても飽きないくらいの感激を覚えています。ガンジス河も、ぬるっとしてて滑るし臭いし、夜は火葬をしていて子供の遺体を流したりしてましたが、ボートに乗って岸辺を眺めると、綺麗だなぁと思わず見とれてしまいました。ちなみにボートを漕いでいるインド人には何度も尻を触られ喧嘩もたくさんしました。

このガンジス河で「どうしてもバタフライがしたい」と親友は言いました。当時、『ガンジス河でバタフライ』という映画が公開され、主演の長澤まさみさんのファンだった親友は真似してバタフライがしたかったんです。私は、「赤痢になったんだから、やめたほうがいい」と思いました。また、朝のガンジス河では、洗濯・歯磨き・マッサージされてるおじさんなどもいて、前述しましたが河はぬるっとしてるし、「絶対に泳げない」と思いました。足をちょっとつけるだけでもぬるっとして滑りそうだし、現地のインド人も滑ってひっくり返ってました。

でも、友人は泳ぎました。フォームがものすごく綺麗で、流れが早いガンジス河に負けることなく、すいすいと泳いでいました。ガンジス河は、現地の人でも泳ぐの結構大変と聞いたのですが…。

後から聞いて知ったのですが、親友は小学生の頃に水泳でジュニアオリンピックに出たことがあるらしいです。そんなに才能があるのにやめちゃったの?と驚いたのですが、6年生の時に泳ぐのが嫌になっちゃったそうです。でも、そのスキルを活かして、赤痢になることなく、ガンジス河を華麗に泳いでいました。

お金がない

「インド、お金なくても大丈夫だよ!」と言われ、1泊500円前後の宿に泊まっていたのですが、2週間で2-3万円しか持っていなかったので、旅の終盤には金欠になり、一日一食バナナのみの生活を送っていました。

旅の最後は、南インドの方にあるエローラ遺跡、アジャンター遺跡を見に行ったのですが、暑いのに水も買えなくなり、物乞いに「ペンとお金交換しない?」と交渉までしていたことを今思い出しました…

お金がなさすぎて水が買えなくて困っていたところ、同じ宿に泊まっていた親切な日本人男性が水を買ってくれました。果物もくれました。この方は鳥取から来ていて、「日本に帰ったら、いつかお水の恩返しをします!」と後に訪ねて行きました。家に泊めてもらった上に、スーパーで大量の水を買ってプレゼントしたのですが、今考えるとすごく迷惑…そんなに水いらないし…。

知らないものを見ること

旅の醍醐味とは何でしょう。私はまだ見ぬ世界に出会えることと、誰と一緒にその世界を見るかだと思っています。人によっては、じっくり1人で街や遺跡を見て、自分の中で消化して味わいたい人もいるでしょう。私は、どんなにささやかな風景でも、友達と一緒に時間を過ごして「あの時、楽しかったねぇ」と時間を共有できるかどうかが重要だと思っています。

インドの帰り、そのまま空港から大学の卒業式に出席しました。一番安いエアチケットが、ちょうど卒業式の日に帰国の便だったんです。周りのみんなは、綺麗な袴や着物を着ていて、いい匂いがしたのですが、私と親友はインド帰りでジャージだし臭くてちょっと嫌な気持ちになりましたが、振り返ってみるといい思い出です。

旅先で会う人、一緒に旅する人、初めて見る風景…旅に出ることで、明日を踏ん張る活力が湧きます。「自分で全てを計画して見に行きたい」そう思うようになったのは、このインド旅行が全ての始まりです。

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